悲しみ行進曲 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

どの位の時間が過ぎたのだろう・・


周りの人間と会話をしていくうちに少しずつ、誰なのかがわかって来た。


しかし、結局、佐藤は来ていないようである。


私はなんとなくガッカリしていた。正直、来なければ良かったとさえ思ったくらいだ。


すると閉まっていたドアが静かに開き、一人の女が少しだけ申し訳なさそうな顔をして入って来た。


「ごめん!ごめん!出がけにごたついて・・」


そう言いながら舌をペロッと出し微笑む癖・・


変わってないなお前・・そんな癖も少しだけつり上がった目も・・そして美しい顔立ちも・・


「友美!遅いよ!まったく~~こっちに座りなよ!」


西川がそう急かすように佐藤に言った。


今夜、初めてこの西川と言う女に感謝をした!偉いぞ!お前・・本当に・・


「どうも!佐々木・・いや!旧姓、佐藤です!」


西川が少しだけ意味ありげな微笑を浮かべ誠を見つめた。


「よう!佐藤!久しぶりだな!木村だよ!お前、昔と全然、変わらないな・・

佐々木と結婚したんだろ!」


「あっ!木村君!あなたも変わらないね!そう!もう、8年になるわ!結婚して・・」


「あれ?佐々木って確か、四星だったよな!」


「そうよ!営業!毎晩、遅いの・・やんなっちゃうわ!」


こんな時、木村は本当に凄いと思う。私にはこんな風に自然に佐藤と話をする事が出来ない。


ある意味、これも一種の才能だと思う。


「坂本君!久しぶりね!」


そんな私の態度に痺れを切らしたように佐藤が私のそう話しかけた・・


「よう!久しぶり!元気そうで・・佐々木と結婚したんだ!知らなかった・・」


「そうなの!子供も二人、居るのよ!本当に信じられないわ!自分でも・・」


四星商事・・


ふと、会話の所々に出て来るそんな会社名に聞き覚えがあった。


その名前を何処で聞いたのか思い出せないのだが・・


「佐藤!四星は山田貿易の下請けだからな!坂本によく旦那の事をお願いしておいた方が良いぞ!」


木村がそんな私の歯がゆい気持ちを見透かしたかのように助け舟を出す。


あ~そうか!あの四星か・・佐々木?そんな名前の営業が居たかな?覚えが無い・・


佐々木は頭が良くてスポーツ万能で顔が良くて完璧な男であった。


そんな男だから優秀な営業マンになっているに違いない!


それならば、私と一度や二度くらいは会っていても良さそうな物なのだが・・


「おい!誠!お前も何かしゃべれよ!名刺!名刺!名刺の一枚もやれよ!」


木村はそう急かすように言う!


「ごめん!仕事にプライベートは持ち込みたく無いんだ!だから・・」


「本当につまらない男だよ!だから結婚できないんだぞ!」


そう木村が言うと西川と佐藤は少しだけ驚いたような顔をした。


各々の思惑を胸にした同窓会が終わろうとしていた。


「え~~っ!2次会はカラオケに行きますが!参加する方は・・」


幹事の市川のそんな言葉が聞こえる。


「どうする?友美?参加する?」


そんな西川の言葉にチラットと佐藤は私を見たような気がした。


「行こうぜ!主婦の皆様もたまにはリフレッシュしないとね!なっ!誠!お前も行くだろ!」


「ああ・・行くけど・・」


「まったく!お前はよ~全然、昔と変わらない!優柔不断だよな!よく、営業が勤まるよ!」


「それでは!これにていったんお開きにします!また、来年!お会いしましょう!」


そんな市川の閉会の言葉が聞こえると次々に皆が帰り始める。


どうやら2次会の残ったのはホンの10名程の成功者と呼ばれる男達を数人の女性陣であった。