苦しみの序曲 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「お前!同窓会に出るんだよな?」


そう木村に言われ恐ろしい情報網だと思った。


「ああ・・よく知ってるな!初めてなんだ!出るの・・

俺も年を取ったらしい・・」


「実は俺も初めてなんだ!なんとなく昔を懐かしむ年でもまだ無いしな!」


「それなら、何で急に出ようなんて思ったんだ?」


「えっ・・あ~唯の気まぐれかな・・」


木村が電話した訳がなんとなく解った。


ただ、心細かっただけのようである。それが証拠に木村は言った。


「当日、良かったら待ち合わせをして一緒に行かないか?」と


その提案は正直、私にとっても願っても無い事であった。


「ああ・・そうだな!そうしょう!処で同窓会ってどんな服装で行けば良いのだろう?

平日だったら仕事帰りとか言ってスーツで良いと思うが、休日だし」


「ああ・・俺もそれを悩んでいた・・なにせ!初めてなもので・・」


話し合いの結果、無難なチノパンにシャツとジャケットを着ていく事に決まった。


「なら、当日、駅の改札で!また、近づいたら連絡をするよ!」


「ああ・・ヨロシク・・」


木村とは学生時代からの親友であった。


何時からだろう?あまり交流が無くなったのは・・・


高校、大学、そして社会人になってもあんなに遊んでいたのに・・


あ~そうだ!あいつが結婚してからだ・・そうだ・・


特にあいつの嫁さんが苦手と言うわけではなかった。


しかし、何となく少しずつあいつとの会話にずれが産まれて来たのだ。


独身者と既婚者と言う大きなずれが・・


別に劣等感があったわけではない。ただ、なんとなく距離を置いた。


それから数週間後、私は新宿の東口の改札の前に立っていた。


どうも都会は苦手である。人の群れが嫌いであった。


「よう!お待たせ!お前・・変わらないな!4年ぶりか?会うの・・」


「ああ・・お前も変わらないな!奥さん!元気か?子供は・・」


「あいつは元気だよ!子供はまだだ・・」


少しだけ聞いてはいけない事を聞いてしまったと後悔した。


私は、木村が子供が授かる事を念願していたことを誰よりも知っていたからだ。


「行こうか!」


そう木村がまるで人込みから逃げるように歌舞伎町に向かい歩き始めた・・