多分!続く・・№31(人生は辛すぎて私の手には負えない) | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

夕食を済ませ安藤君を部屋に送り届けると私は自分の部屋に向った。

長いホテルの廊下をふら付きながら歩いているとある部屋の前に一人の女性が立っている。

「良いな~なんな美人!」

なんて思いながら彼女を見つめるとそれはハルでそしてその部屋は私の部屋であった。

「どうしたんだい?私に何か用事かな?」

私は酒で麻痺したうつろな目で彼女を見つめながらそう呟いた。

「先生!相談に乗って頂きたいことがあるんです!」

胸元が大きく開いたシャツから豊満な胸が私の目に飛び込んでくる。

そして彼女から何とも表現できないような淫靡な甘い香水の香がした。

「明日で良いかな?少しぐらいは時間が取れると思うよ!」

そう私は彼女に言うとハルは少しだけ切なそうな顔をした。

「どうしても今夜、聞いてもらいたい話があるんです!」

私は仕方なしに彼女を部屋に招き入れた。

「それで話って何ですか?」

ソファーに座り私の前で足を組むハル・・

ミニスカートの隙間から白い下着が見え隠れしている。

なんとも艶かしい光景である。

私は動揺を隠すかのようにタバコに火を着けた。

「それで?話とは?」

そんな私の言葉にハルは意を決したように重い口を開く。

「まいちゃんとどの様なご関係なのですか?」

どの様な関係??そんな彼女の質問の意図がイマイチ理解出来なかった。

「どのような関係とは?」

「それは・・男と女の関係とか?」

「えっ?くだらない冗談です・・」

私がそう呆れたような顔でハルに言うとハルは一瞬、目をそらした。

「そうなんですか?あんまり熱心にあの子に肩入れをしてるから特別な関係なのかと思ってしまいました!今回だってあの子の為に詩をお書きになったみたいだし・・」

「それは違いますよ!まったく関係ない!」

そんな私の言葉を聞きながらハルは何度も足を組み換える。その度に艶かしい下着が私の目に飛び込んで来た。

「それなら先生!私を応援してもらえませんか?加藤さんもなんか勘違いをしているようなのです!だからまいみたいな女をメインボーカルなんかにして!本当は私にって話だったのに・・ね!お願い!私を応援してよ!」

そう呟きながらハルは立ち上がり私の横に座るとそっと私の足に手を置いた。

甘い香が鼻に付いた・・その香は何とも毒々しい毒花の香のような気がした。

他人の手で作られた栄光は実にもろい物だよ!

誰かに作ってもらった栄光は実にもろく直ぐに消えてしまう・・

そんな事はきっと、ハル自信も十分に解っている事なのだと思う。

女を武器にしてこんな何の力も無いオッサンを誘惑してまでもそんな力が欲しい物なのか?それが彼女達が掴もうとしている夢なのだとしたらその夢はなんとも安っぽい夢のような気がする。

ハルの私の足にそっと置かれたしなやかな腕が不自然に上下する。

不自然な腕の先の掌は私の股間を優しく求めて来た。

「明かりを消して頂けますか?」

まるでそれがこれから始まる秘め事の開始の合図かのようにハルはそう呟いた。

ハルは豊満な胸を私にぴったりと密着させそっと唇を私の唇に重ねようとした。

私は手の平を自分の唇の前にかざしその行為を阻止しながら・・

「私!そんな安い男では無いのよ!ごめんなさいね!」と微笑みながら呟いた。

一瞬、ハルは驚いたような顔をした。

確かに彼女は美人だ!こんな女を抱けるなんてこんなおっさんにしたら快挙に違いない!

しかし、私は思うのだ。

こんな女に良い用に使われるのは真っ平御免だ!と

「君は確かに美しい!でもね!僕は君を抱いても何の役にも立ってあげれないよ!

君が小説家になると言うのなら多少は力になれると思う。でも僕は芸能人ではない!

ましてアイドルでも何でも無い!だから何の力にもなってあげれないんだ!」

ハルは少しだけ考えたような顔をする。

「失礼ね!私はそんな事は考えてもいないわよ!あなたの力なんか借りなくても私を助けてくれる男は沢山いるもの!私はただ、あなたの事が・・」

戯言である。女の言葉は99%・・私は戯言だと思う。

「あのインチキプロデューサーにでも頼むんだな!お得意の色気でも使って!

あっ・・もう手なずけているんか?それは・・失礼」

そう呟きながら私はタバコを吹かした。

「失礼なのはどっちよ!帰るわ!私・・」

ハルはそう叫びながら私の部屋を出て行った。

部屋の中にハルの甘い香水の香だけ残った。

「少し勿体無かったかな?そう言えば最近、女を抱いていない・・」

そうなんとも未練がましい言葉を呟き私は窓を開き甘い香水の香を外に逃がした。

夢を見ていた。それは遠い昔の世界・・

まだ、今日子と出会ったばかりの頃の世界であった。

私は笑っていた。今日子も楽しそうに笑っていた。

そんなもう遠い記憶のような霞がかかった昔の世界の夢であった。