会場は大歓声に包まれ可愛らしいセーラー服を身にまとった20人の天使たちが舞い始める。
一応は予習はして来た。何度も投稿動画を見ながら彼女達のオリジナル曲も覚えて来たつもりであった。しかし、肝心のまいの姿を私はどうしても見つける事が出来なかった。
30過ぎのオヤジにとって舞台に立っている眩しい程の光を放つ彼女達の姿は全て同じに見えてしまうのだ。なんとも情けない。
「りさ~~!」
「あい~~~!」
ファン達の何とも重い声援が大音量の音楽に負けないくらいの大きさで会場を包み込む。
まいは何処だ?まいは!
私は必死でまいの姿を探した。私がやっとまいの姿を見つけたのはもう既に5曲目のバラードになった時で舞台の隅の方で自信なさげに必死に踊っている彼女をやっとの事、確認できたのだ。
5曲目のバラードが終わると一瞬の沈黙が走る。
舞台の照明は落とされて一人の女性にスポットライトが当たる。リーダーのりさである。
「皆!今日はありがとうね!来てくれてりさ!マジ!うれし~~よ!」
そんなりさの言葉にりさファンはまるで自分だけに言われているように大はしゃぎをする。
そんな彼らを私は冷静に見つめてしまった。
「そんじゃ!お礼に聞いて!ロックが静かに流れる夜・・メンバーの自己紹介も入れるからね!ファンの子は声援をヨロシクね!」
そうりさが言い終わると一瞬、再び舞台が暗くなり軽快なリズムの音楽が流れ始め再びりさにスポットライトが当たる。どうやらこの曲はりさのソロから始まるようだ。
「過ぎ去る季節の風を私は何回、感じただろう?その度にあなたを想い涙する。ロックが静かに流れる夜・・私はあなたに再び・・恋をした!」
そんなりさのソロが終わると一斉に19人の少女達の大合唱が始まった。
実にノリのよい曲に会場の興奮はマックになり多くのファン達が自分の存在をアピールするかのように曲に合わせて飛び跳ねていた。
間奏に入ると一人、一人、メンバーの自己紹介が始まる。
そして最後に・・
「今日!初ライブなの!まいちゃんで~~~す!皆!応援してあげてね!」
そんなりさの言葉の後にまいにマイクが渡される。
頑張れ!緊張して強張ったまいの顔を見つめ私は思わずそう叫んでしまった。
「ま・・まいです!よ・よろしく!」
きっと、そんな言葉がやっとだったのだろ?私は心の中で「良く頑張った!」と声援を送る。すると「も~ぅ!もっと何か言えないの?アピール不足よ!まいちゃん!」
りさが嫌味っぽくそう言った。