ああ・・無情(最終回) | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

私は今でも時々思うのだ・・

家族で食事をしている時に・・

私の目の前で嬉しそうに笑っている女を見つめながら・・

お前は・・いった誰なんだと・・

そんなある日、私は木村の自宅に招かれていた。

妻は娘を実家に預け美香の店のオープンの手伝いに行っていた。

久々に男だけで飲もうぜ!と木村から連絡を受けて私は仕事が終わると蒲田に向かった。

「なんか!いろいろ合ったよな~」

木村が少しだけ赤い顔してしみじみと呟いた。

いろいろとやったのはお前だろ!人事みたいに言うな!

そんな言葉が喉まで出掛かる・・

「あっ!悪いんだけど俺、ちょっと美香に頼まれたいたもの届けに行ってくるから!」

そう木村が言い出したので丁度、タバコを切らしていた私はタバコを買いに行く途中で俺が寄ってやると木村に言った。

私は木村から預かった小さな袋を手にぶら下げながらほろ酔い気分で美香の店に向かった。

店の玄関が閉まっていたので裏口にまわる。鍵が閉まっているかと思ったが鍵は偶然も開いていたのでそのまま店の中に入って行った・・

店の中で美香と友美の話が聞こえる・・

たまには主婦同士の話を盗み聞きしてやれといたずら心が芽生え私は物影に隠れ二人の会話に耳を傾けた・・

「それにしてもこんなに上手く行くとは思わなかったわよね!丁度、あの加藤とか言う馬鹿が現れたのがラッキーだったわ!」

美香のそんな言葉に私は耳を疑った・・

「本当にそうよね!美香!ここまで上手く行くとは思って無かったわ!それであんたこれからどうするのよ?」

「えっ・・もちろん!離婚するわよ!あんな男・・この店は慰謝料代わりよ!土地の名義も私の名前にしてあるの!それで借金はあいつの名義だし・・そうね!あと1年もしたら正式に離婚するわ!」

「マジで!それにしては随分、豪華な慰謝料ね!これ・・」

「冗談じゃないわよ!私が何年、あの馬鹿男と糞両親に尽くしたと思ってるのよ!

これでも足りない位だわ!でも正直、焦ったわよ!誠が探りだした時は・・・

ほら、最初のメールと待ち合わせの時の電話は、誰なんだ!なんて言い出してさ!

全部、加藤よ!なんて私もいっちゃったりして!あいつ、結構、感が良いのよね!

でも、私の誘惑に乗らなかったのは褒めてあげないとね・・・

あっ!でも、あの今日子とか言う女を抱いちゃったから同じか!

ホンと!男ってしょうも無いわよね~女もだけど・・」

そう言いながら美香は意味ありげに友美を見つめた。

私はその会話を聞いて本当の黒幕が誰なのか初めて知った・・

この二人がぐるだったのか・・

「でも、あんた、よく誠との浮気を責めなかったわね!何で・・」

「あんた何言ってるのよ!みすみす専業主婦なんて楽な仕事を逃すわけ無いじゃないの!

私はあなたみたいに独立心なんか無いの!あいつに毎月、お金を持って来て貰う方が何倍も楽なのよ!あんな浮気の一つや二つでみすみす逃さないわよ!金のなる木を・・

それに・・私だってしてるしね!う・・わ・・き・・」

脚が震えた・・これが夢である事を・・私は神に祈った・・

すると友美に携帯が突然に鳴った・・

「もしもし!うん・・えっ・・大丈夫よ!旦那とは上手くやってるし・・

そう・・ばれてないわ!ばれっこないから安心して・・

どう?今月のフランス料理は・・美味しい?精々奥さん孝行をしてくださないな!

えっ・・も~う!愛してるわよ!もちろん・・・」

美香の笑い声が聞こえた・・・

「あんた・・まだ!あいつの付き合ってるの?もう何年になるのよ!」と

あいつ?誰だ・・あいつとは・・美香が知ってる男か・・・

今月は・・フランス料理・・奥さん孝行・・

私は・・ハッ!と息を呑み・・そのまま静かに店を後にした。

お前は誰なんだ・・・俺の目の前で当たり前のように笑っている・・お前は・・

俺は何でお前と一緒に暮らしてる?お前の望みは・・お前は誰なんだ・・

そうか・・私は勘違いをしていたよ!俺達の間に愛があると・・

おれは・・ただの金を運んでくる都合の良い男だったんだな・・そうか・・

外に出ると急に私の携帯電話が鳴った・・

「もしもし・・会いたいの・・あなたと・・忘れられないの・・」

そんな1本の電話から私の新たなゲームが始まった・・

そうだ・・私もきっと愚か者なのだ・・きっと・・・

そして男と女の関係なんて所詮はそんな物なのかもしれない・・

人生は辛すぎて私の手には負えない・・

                        終劇