それにしても解らないのは木村と加藤との接点であった。
木村と加藤がどのようにして出会ったのかが私には理解できなかった。
そして二人が企む目論見とは??
きっと、加藤の目論見と木村の目論見が何処かで結びついたに違いない。
しかし、なぜに私が??
きっと、どちらかの目論見が私に関係してる事は確かであった。
私は悩んでいた。
どうする?今、ここで怒鳴り声を上げながら二人の前に出るか?
それとも、もう少し事実関係を探るか?どうする??
知らず知らずにグラスを持つ手が怒りで震えているのが自分でも解る。
ふと、私の掌に温もりを感じる・・
そこには今日子の柔らかい真っ白な手があった。
「お前・・俺を騙すために俺に抱かれたのか?」
私は口にしてはいけないと何度も思っていた言葉を言ってしまった。
そんな私の言葉に今日子は少しだけ悲しそうな顔をした。
「信じてもらえないかも知れないけど、最初はあなたを騙すつもりだったの!
木村さんにあなたをそそのかせって言われたから・・
でもね!あなたに接する度にその心が揺らいだ・・
あなたの優しさに触れるたびに・・心が揺らいだ!
あなたに抱かれたのはあなたを騙すためでは無いわ!
こう見えても夜の女よ!あなたなんか体を使わなくっても簡単に騙せる!
でもね!私・・あなたをいつの間にか愛してしまった。
あなたに抱かれて思ったの・・
今まで色々な男に抱かれた・・
でも、あんな安らぎを感じた事は今まで無かった・・」
男も女も基本的に嘘つきである。
そんな事は百も承知だ!今日子の言葉は本当は嘘なのかもしれない・・
でも、私は信じる事にした。
なんとなく、もしも今日子が私を騙しているのなら・・
最後まで騙され続けるのも悪くは無いと思ったからだ。
私はきっと、大馬鹿なのかもしれない。
私は今日子の手を強く握り直し呟いた。
「ありがとう!その言葉だけで十分だ!」と
今日子はそんな私を見つめながら恥ずかしそうに微笑んだ。
「お前・・俺にこんな事を知らせてしまって大丈夫なのか?」
そう私が今日子に尋ねると今日子は笑顔で言った。
「愛する男の為なら女は何でも出来るものなのよ!
自分を守るために一生後悔をするよりかはマシだわ!」と
そんな話をしてると木村が席を立つ。
「それでは加藤さん!例の話、本当にお父様にお願いしますよ!
頼りにしてるんですから!坂本は地獄の底まで落としてやります!
その後はあなたが煮るなり焼くなりお好きにしてください!」
そこには私が知っている木村の姿は無かった。
加藤はそんな木村の言葉に小さく頷いた。
木村が席を離れると栞が慌てて席を立つ。
会計に向かう木村に甘えるしぐさを見せた。
木村は数回、栞のお尻を助平そうになぞり耳打ちした。
「今夜、何時ものホテルで可愛がってやるからな!」と
そんな木村の言葉に栞は少しだけ恥ずかしそうに微笑んだ。
木村が会計を済ませ店を出ると加藤は直ぐに席を立った。
栞は慌てて加藤の元に戻る。
「加藤さん!また来てくださね!」
そう栞が加藤に微笑むと加藤は少し不機嫌そうに言った。
「使い古しはいらね~~んだよ!気安く俺に話しかけんじゃね~よ!」と
栞の顔が一瞬、引きつる・・しかし、さすがはプロである。
そんなの関係が無いとばかりに・・甘えた声で言った。
「今度は一人で来てね!サービスするからね!」と
加藤はまんざらでもない様にニャッと笑うと数回、栞の尻をなでて店を出た。
私は栞に気づかれないように店の外に出でた。
「ふざけやがって!」
その時、初めて木村に対する怒りが口に出た私は携帯電話を取り出し木村に電話をかける。
「はい!どうした誠??」
「あっ・・なんか辛くてさ!また今度、飲まないか?」
「そうか!解るよ!その気持ち・・俺でよければ何時もで付き合うぜ!遠慮するなよ!
俺達は親友だろ!こんな時のために俺が居るんだからな!
また、電話しろよ!待ってるから・・」
タクシー乗り場に携帯電話を耳に当てながら笑っている木村が見える
きっと、この馬鹿が!何時まで親友ごっこだよ!なんて思ってるに違いない!
私はそっと携帯電話をポケットにしまった。
このままでは終わらせない!絶対に・・この代償は払ってもらうからな!木村・・
私はそう心の中で何度も呟き歩き出す。
そしてもう一度、携帯を取り出すと電話をした。奴の天敵のもとに・・笑いながら