「あら珍しいわね!あなたから電話が来るなんて!」
「お前・・知ってただろ!木村が俺が騙していた事!」
そう私が激しい口調で怒鳴ると美香は楽しそうに言った。
「あら、案外早く気がついたのね!つまらない!」と
「お前・・ふざけんなよ!」
「それであんた、今、何処に居るの?もしかして蒲田?」
白々しく美香は私に呟く。食えない女である。
「ああ・・そうだ!蒲田だよ!」
「うちの旦那様は一緒じゃないの?
そんな訳無いわよね!こうして私に電話して来てるんだから・・
良かったら今から会わない?どうせ何か私に話があるんでしょ!
今、旦那から今夜も接待だから遅くなるって電話があったのよ!
誰の接待なんだか?知らないけどね!」
美香は楽しそうにそう私に言った。
「京浜蒲田の改札に来て!」
美香はそう私に言うと電話を切った。
私はそのまま京浜蒲田の駅を目指し歩き始める。
駅に着きしばらくすると改札から美香が現れ私の顔を見るなり笑いながら言った。
「あんた!相当、激しくいじめられたのね!顔・・げっそりしてるよ!」と
私は不機嫌そうな目つきで美香をにらみつけた。
「お~こわ!とりあえず何処かに入りましょうか?」
私は美香と二人で馴染みの飲み屋に向かった。
「で?私に何が聞きたいの?」
注文したハーフ&ハーフが来るとそれを美味そうに飲み干しながら美香は言った。
「木村の狙いは何なんだ?親友の俺を騙してまで手に入れようとしてるものは?」
私が真顔で美香にそう呟くと美香は少しだけ私を馬鹿にしたような顔をした。
「あんた本当に良い奴よね!」
そう言いながらボーイにおかわりを注文する。
「良い奴ってどう言う意味だよ!」
私は思わず声を荒げて美香に怒鳴る・・
美香は周りを気にしながら私を諭すように言った。
「怒らないでよ!別に悪い意味で言ったのではないのだから・・」と
「あいつはね!昔からこれっぽっちもあなたを友達だなんて思って居なかったのよ!」
その言葉は私にとって衝撃的な言葉であった。
「友達なんて思って居なかっただって!
だってあいつは何時も俺を誘ってくれて!いろいろな物をおごってくれて・・
飲みながら沢山の夢を語って・・
それに・・それに・・
お前なんかが知らないくらいの沢山の時間を俺達は一緒に友として過ごして来たんだぞ!
お前!適当な事言うなよ!」
そんな私を美香はより哀れそうに見つめ・・
そしてそんな私を愛しそうに見つめた。
「あなたはね!あいつにとって丁度良いおもちゃだったのよ!
暇な時には呼べば直ぐに来るし!適当に友情だとか友達とか言っていれば逆らわない!
適当にたまにおごってあげてあいつは優越感に浸れる・・
俺より貧乏で哀れな奴がここに居るってね!
あんた、私と彼が付き合って居た頃、よく、一緒に居たでしょ!
あれはね!あなたにアリバイを作ってもらって居たのではないのよ!
見せびらかしていたのよ!私を・・もてないあなたに・・
女に全然、縁の無い童貞の哀れな男に・・見せびらかして優越感に浸っていたのよ!」
「嘘ばっかり言うんじゃね~~よ!」
店に居た数人の客が驚いたように一斉に私を見つめる
そして美香と私を見つめながらヒソヒソ話を始める・・
「別れ話かしら?女の方は美人だもんね!男も大変よね!」
「最低!何よあれ・・大声出してみつともな~~い!馬鹿!」
私にはそんな周りの陰口など関係が無かった。
それ程、木村を侮辱した言葉が許せなかったのだ!
美香は私を睨みつけながら言った
「あんた・・いい加減に認めなさいよ!逃げているだけじゃ駄目なのよ!」と
氷のような・・
私の全身を凍らせるようなそんな冷たい言葉で・・
「あんただって・・本当は昔から気が着いていたんでしょ!
本当のあいつにの心に・・」
美香はバックからタバコを1本取り出し火をつける。
冷たい・・まるで敗者でも見るような目であった・・
しかし、その奥にある暖かな優しい視線はきっと、私だけが気が着いてあげれる
視線だったのかもしれない・・
本当の美香を知ってる・・私だけが・・
落ち込んでいる私を気遣うように美香が言った
「あなたには私の家がどう写っているか解らないけど・・
結構、今、うち・・やばいのよね!」
真顔でそう呟く美香を私は驚いた顔をして見つめた。