愛ゆえの反乱 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「あんた!何で晃の事を知っているの?」

そう今日子から電話が来たのは私が聖夜と会って3日後の事であった。

「晃?そんな男と会った覚えは無いけど・・」

「この前!歌舞伎町の「ゼロ」に会いに行ったでしょ!」

「えっ??聖夜って君の別れた旦那だったの?」

私は白々しくそう驚いたように今日子に言う。

「そうよ!あいつ昨日の夜に私の家に電話をかけて来たのよ!

昼間の仕事と夜の仕事とどっちの俺が父親として相応しいと思う?

なんて言いながら・・

聞けば昼間の仕事がしたければ何時でも電話をしろ!なんて

名刺を置いて行ったオヤジが来たそうじゃない!

あんたでしょ!名刺に坂本誠って書いてあったそうよ!

何で知ってるのよ!私の事を調べたの?」

今日子の口調が少しだけ激しくなる。

「いいや・・違うよ!聖夜が君の別れた旦那だなんて知らなかった。

個人的な用事でね!彼を訪ねたんだ。

その時の話の中で嫁さんと子供を何時か迎えに行くと言うから・・

飲み屋を手土産になんて言ってるからさ!

昼間の仕事がしたいのなら連絡しなとお節介おやじになった訳さ!」

「ふぅ~~~ん!そうなんだ!」

今日子はまだ疑わしそうにそう呟いた。

「どうでも良いけど、私はあいつとよりを戻すつもりは無いからね!

余計なお節介は止めてよね!

それに私は今、あなたが好きなのよ!あなたと付き合いたいと思ってるのよ!

だから・・抱かれたのよ!私・・そんな好きでも無い男に簡単に抱かれるような

安い女じゃ無いんだからね!」

男と女の関係は何時も騙し合いだ。

その嘘に騙されるのもよし・・

嘘だと去るのもよし・・

それは自分自身が決める事である。

「実は嫁が家を出て行ったんだ!

俺、とんでもない勘違いをしてあいつをもの凄く傷つけてしまってさ!

実はあの聖夜と嫁が浮気をしてるって勘違いしていてさ!」

一瞬、今日子が深いため息をついたのが感じられる。

お前も一枚、この件に噛んでいるんじゃないのか?黒幕の指図で・・

私はそう喉まで出た言葉を必死に飲み込んだ。

「そうなの・・それはお気の毒に・・

なら、夕ご飯とか洗濯とか大変でしょ??

私、行ってあげようか?」

「えっ?それは遠慮しておくよ!気持ちはありがたいけど・・

実は誰かにはめられたみたいなんだ!理由は解らないけど!

まんまとね!正直、俺が馬鹿だったのは確かだけど・・

少しね!このままでは済まさないぞ!なんて思ってたりして!

君に迷惑をかけたくないんだ!解るだろ?」

そんな意味深な私の言葉の意味を悟ったのか今日子はそれ以上何も言わなかった。

「そう!何か困った事があったら電話してね!」

そう言いながら今日子は電話を切る。

疑いたくないが、今、一番、疑わしいのは木村である。

私に嘘の報告をして来た私の親友・・

あいつと知り合って何年になるのだろう?

もう二十年近くの付き合いになる。

私は燦然、あいつに世話になって来た。

何時もおごって貰っていた。遊びにも連れて行ってもらった!

人付き合いがあまり得意で無い私を孤独な世界から救ってくれた・・

何時も私が励ましながら飲んでくれたのは木村だった。

そんな彼が私を騙す理由があるのだろうか?

私が持っていない沢山の物を持っている彼が何のために私を騙すと言うのか?

信じたくなかった・・

いや!まだ、その時点で私は親友を信じていたのかもしれない。

友美が家を出て2週間が過ぎたある日、私の家に一枚の封筒が届いた。

中身は確認しなくても宛名を見て想像が出来た。

友美からの手紙・・

そして中身は薄っぺらな紙に署名と印鑑が押された紙切れが一枚・・

「離婚」と言う言葉にまったく現実身を感じない。

他人事のように私はその送られて来た「離婚届」を見つめていた。

それでも私は友美に連絡をする事はしなかった。

全てを明らかにしなければ何と謝罪してよいか解らなかったし・・

私が妻以外の女を抱いた事実は永遠に消すことは出来ないのだから。

そんなある日、私が仕事をしてると携帯電話が鳴る。

「今から蒲田の店に来れない?面白いものを見せてあげるから・・」

それは今日子からの電話であった。

そんな1本の電話から私の新たな苦しみが始まった。