聖なる夜に微笑む悪魔 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「また違う香水の香りがするのね・・」

友美がベットに入りながらそう独り言のように呟いた。

「あなた本当に木村さんの家族と一緒に居たの?

奥さんからはそう電話をもらったけど・・」

「そうだよ!木村の家族と会っていたんだ!

木村と木村の嫁さんと娘とね!」

そんな私の言葉に一瞬、息を呑んでもう一度、友美が言った。

「本当に?」と

「しつこいな!お前!いい加減しろよ!」私は不機嫌そうにそう怒鳴る

きっと、さっきの電話は余程の自体を招いているに違いない。

友美と言う女は殆ど私に対してそんな言葉を言う事は今まで無かったのだから

私は何度も何度も心の中である言葉を繰り返す。

「何か悩みがあるのなら言えよ!俺たち夫婦だろ・・」と

しかし、実際にそれが言葉となって出る事は無い。

そんな言葉を言った後の妻の言葉が怖かった。

それから数日後、私は仕事で新宿に居た。

大きな商談がありその打ち合わせに来ていたのだ。

無事に打ち合わせも終わり部下と夕食でもと話しながら歌舞伎町を歩いていた。

町は多くの人間で溢れ路上ではテッシュを配ったり店の呼び込みをする人間が目立つ。

ふと・・私はある男を見つける。

私は、彼を発見した瞬間・・その場から動けなくなった。

「あの野郎・・・絶対にあいつだ!」

忘れたくても忘れられない男の顔・・

この数ヶ月・・私はこの男の顔をひと時も忘れた事は無い。

そしてこの男を恨み続けていた。

「悪い!用事を思い出した!

君たちだけで飲みに言ってくれるか??」

私はそう部下に言い彼に3万円握らせる。

少しだけ不思議そうな顔をして彼らはその場から立ち去った。

店の物陰からその男を観察する。

「ねぇ~店に来て見てよ!サービスするから!

メチャ!いけ面揃いだから!料金も激安だし・・」

そんな彼の言葉から彼がホストか水商売の男である事を感じた。

何で?何処で知り合ったんだ!あんなホストと・・

私にはどう考えてもこの男と妻との接点が見つからない。

木村は言っていた。

「最近はネットとか出会い系の掲示板が沢山あるから・・

寂しい主婦をターゲットにした」

そう木村は言っていたが妻はそんなタイプの女では無い事は私が一番知っている。

ならば・・何処でこの二人は出会ったのか?

偶然、何かの時に店に妻が行ったと言う事か?

友達に連れられてとか・・そんな感じなのか?

そんな事を考えているとその男は歩き出す。

しばらくすると一軒の店に入っていった。

ホストクラブ「ゼロ」

そう大きく書かれた看板の横に在籍してるホストの顔写真と名前が表示されていた。

「聖夜・・・

清い夜だって!アホか!人の嫁さんをもてあそんでいるくせに!」

彼の源氏名は「聖夜」と言った。

№2と書かれて居たのでそれなりに人気もあるらしい。

一瞬、店に乗り込もうと思ったがそれは止めた。

正直、そんな度胸も無かったし確信も無い。

まだ、何処かで妻の事を信じている自分が居るのだと苦笑いをした。

私がその場を立ち去ろうとした時に私を嗅ぎ覚えのある甘い香りが包んだ。

「えっ?この香水の香りは・・」

私は急いで振り返りその女を捜した。

見覚えのある後姿・・

何でお前がここに居る??き・・今日子・・・

その女は今日子に間違い無かった。

私は目で今日子の行き先を追った・・

そして今日子は無情にも「ゼロ」と書かれた看板の店に入って行ったのだ。

偶然なのか?別に今日子がホストクラブに遊びに来ていても別におかしな話ではない。

しかし、あの男が居る店とは・・

あまりにも話が上手く出来過ぎては居ないか??

今日子と聖夜はグルなのか??

もしもそうなら今日子が私に近づいて来た意味も解る。

私を自分に夢中にさせて妻と離婚をさせようと言う企みなのか?

でもおかしい・・なんとなくこの聖夜と言う男がそんな人を使ってまで・・

私と友美を別れさせようとする男には思えなかった。

そこまでして友美と一緒になりたいと思うだろうか??この男が・・

それに今日子と聖夜が繋がっていると言う確証も今の時点では無いのだ。

私は何ともすっきりしない心持でその場を去るのであった