「これからどうする?」
そう聞かれて私は一瞬、困った顔をした。
「帰るよ!これ飲んだら・・
君だって子供が待ってるんだろ?」
そんな私の言葉に今日子は少しだけ渋い顔をする。
「一つ聞いてよいか?」
「えっ?何??」
「君は私とどうなりたいんだ?」
それは私の台詞でしょ!
そんな今日子の心の声が聞こえそうであった。
「私・・あなたの事が好きになってしまったの!
悪い??」
私は想像していなかった彼女の答えに少しだけ動揺した。
好きになった・・私を??
本当は喜ばなければいけない言葉なのかもしれない・・
こんな美人に好きだと言われ・・
多分、私の人生で二度と無いチャンスだと思う。
でも・・なんとなく喜べない。
何かがひっかかる。
彼女が水商売の女だからではない・・
そうだ・・
木村だ・・木村を見つめる時の今日子の悲しげな顔だ
それが私の心に引っかかっているのだ。
こいつは何か絶対に企んでいる。
それが何なのか今の私には解らない。
でも一つだけ・・
この女が本気で私を愛してる事は無いと確信していた。
「俺を愛してるって??本気なのかい?」
「ええ・・そうよ!本気よ!」
「そうか!解った!」
そう私は呟き今度は私から今日子の手を握った。
「出よう!」
そんな私の言葉に今日子は小さく頷く。
席を立ち店長に支払いを済ませ私達は店を後にした。
私が店を出る時に店長が笑顔で言った。
「坂本君!また、来てよ!」と
「ああ・・今度は木村達と一緒に来るよ!」
そう私が言うと彼が言いにくそうに私に言った。
「余計なお世話かもしれないけど・・
彼女、うちの店に来るの初めてでは無いんだよ!
数回・・木村君と来てるんだ!
坂本君と彼女がどんな関係か知らないけど・・
ごめんね!忘れて!」
私はそんな彼の忠告を無関心そうな顔をして聞いた。
今日子が・・木村と・・
小さな疑惑が少しずつ大きな疑惑に変わって行く。
そして本当の今日子の狙いは何なのか?
ふと・・そんな疑問が頭に浮かんだ・・
ならば・・探ってやる!お前の狙いを・・
愛してるって口では簡単に言えるのだ・・
ただ、相手の本当の気持ちなんか絶対に解らない。
気持ちは・・本心は自分にしかわからないのだから・・
「遅かったわね!」
店の外に出ると今日子が不機嫌そうにそう呟く。
そして私の手を引っ張るように京浜蒲田の駅の方に歩き出した。
行き先はなんとなく想像できた。
商店街の裏側には数件のラブホテルが隣接してる。
「これからどうするの??」
私は今日子と歩きながら自分がこれからどうするべきか考えていた。
どうする??このままこの女とホテルに行くのか?
それとも・・止めるのか?
でも止めたら・・この女の狙いが解らなくなるに違いない。
ならば・・抱くのか?どうする・・どうすれば??
そんな事を考えていると突然に今日子の足が止まった。
きらめくネオンが私の視線に飛び込んできた。
「入る??どうする??」
静かに今日子が呟く・・
どうする?俺??どうする・・・
私は別れ道のど真ん中に立ち・・
どちらに行くべきが悩むのであった。
人生は辛すぎて私の手には負えない。