愚かななる男 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

11時を過ぎると途端にお客の数が減る。


最終電車のそれがリミットだからだ。


それでも数人の客が残りその客に付いている女は楽しそうに酒を飲んでいた。


時計を見ると11時50分・・


すると客に付いている女達が一斉にママらしき女の所に向かう。


今日子の同じでその顔は少しだけ優越感に包まれていた。


すると客の居ない女達が少しずつ店の後片付けを始めた。


どうやらアフターに行く女は後片付けをしないで良いらしい・・


アフターに行く女達が片づけを始めた女たちをまるで使用人を見るように見つめる。


この世界も大変だと思わず苦笑いを浮かべた。


「お会計!お願い!」


そんな事を考えていると今日子が私にそう告げる。


そして会計のときに何やら紙を一枚手渡される。


アフターに行く証明書のようだ。


こんな物まで書くのか!


たしか成績になると今日子は言っていたが・・


会計を済ませると私は一度、店の外に出された。


そこには私と同じようにお目当ての女とこれから夜の街に繰り出す男が待機してる。


こいつら・・明日は仕事じゃないのか?


思わずニヤケ顔の彼らをマジマジと見つめてしまった。


すると一人ずつ私服に着替えた女達が店から出てきた。


その中に栞も居る。


見れば、見るほど友美に似ている。


栞は一瞬、私と目が合うと何とも言えない淫靡な微笑を私に向けた。


「ごめんね!お待たせ!」


最後に出て来たの今日子であった。


甘い香水の香り・・・


なんとかならないのか?この匂い・・


そう喉まで言葉が出たが言うのは止めた。


外に出るとまだ、肌寒い・・


それもそうだろう・・もう夜中なのだから・・


今日子は私の腕にきゃしゃな細い腕を絡ませる・・


「何処に行く?少し・・飲む?」


「えっ??」


私は眠かった・・私は基本的に女を口説く事ぐらいで努力なんかした事が無い。


恋愛とはそんな物では無いと思っているからだ・・


「付き合わなくって良いんだろ?帰るよ!俺・・」


そう私が今日子に言うと少し怒り顔で今日子が言う・・


「あ・・あんたね!贅沢な男ね!」と


贅沢??私は贅沢な男なのか??


今日子にしてみれば私は贅沢な男らしい・・


こんな美人と普通・・歩けないよ!


それに飲みになんか行けないよ!


なんて顔に書いてあるのが少しだけ可愛く思えたのはきっと、私が麻痺してるから??


「なら・・少しだけな!」


そう言うと私は行きつけのドイツ居酒屋に向かった。


「ここ・・よく来るの??」


「えっ・・昔ね!木村とか仲間の溜まり場だったんだ!

朝までやっているんだ!この店・・」


店に入ると店長は私の顔を覚えていたようで嬉しそうに話しかけて来た!


「坂本君じゃない!久しぶりだね!

それに今夜は美しい女性がお供かい!」


そう言いながら今日子の顔を見た瞬間・・


一瞬、彼の顔がこわばる・・


今日子も少しだけ動揺してるようだ・・手の震えが感じられる・・


「初めまして!店長の堺です!」


そんな彼の言葉に今日子の手の震えが止まった・・・


「どうも!良いお店ですね!この店・・・」


そう言いながら近くの二人席に腰掛てハーフ&ハーフを注文する。


「この店・・・初めてなんだよな??」


そう私が訪ねると今日子は無言でうなずいた・・


「美味しいわね~~」


そう嬉しそうにビールを今日子が飲み干す・・


「ビールなんか今さっきまでいっぱい飲んでたろ??」


そう私が聞くと


「仕事のビールとプライベートのビールは味が違うのよ!

まして・・」


「まして・・なんだよ??」


「えっ・・まして・・大好きな人と飲むビールは最高なの!」


上手い事を言う・・さすが夜の女・・・


でもそれが営業トークと解っていても少しだけ嬉しいと思う・・


男とは何と愚かな生き物なのだろう・・


本当に・・男とは・・本当に・・


そっと・・今日子の手の平が私の手の平に重なる・・


艶かしい目つきで今日子が呟く・・


「これから・・どうする?」と