楽しそうな妻と娘を見送り私は出かける支度を始める。
ふと妻の楽しそうな!そして幸せそうな笑顔を思い浮かべる。
私は誰を憎んでいるのか??
私と言う旦那がいながら若い男を愛してる妻にか??
それとも旦那が居ることを知っているのに妻と付き合ってる男にか??
いいや・・・
きっと、私が一番、憎んでいるのはそんな妻に何も出来ない自分自身なのかもしれない。
私は実は若い頃、あまり良い恋愛をしていない。
妻の友美と出会う前、数人の女性と交際をした。
しかし、その殆どが旦那の居る家庭を持っている女であった。
当時の私は何時も思っていた。
自分の妻を繋ぎ止めておけないような男は愚か者だと・・
そして自分は・・・
家庭を持っている女を愛してたのではない・・
たまたま、愛した女に家庭があった・・
だから私は悪くない・・と
ふと、思うのだ、今まで私が抱いて来たそんな女の家庭のことを・・
旦那は知っていたのだろうか??
自分の妻が自分以外の男を愛し・・
そして自分の目を盗んで自分以外の男に抱かれて居た事を・・
実は、一度だけ旦那にばれた事があった。
凄い剣幕で自宅に乗り込まれ罵声を浴びせられた。
人間としてお前は最低だと!ののしられた・・
慰謝料だ!訴えるだ!とまくし立てられた・・
そんな現状を収めてくれたのが私の母親であった。
母が地べたに頭を擦り付けながら泣きながら男に謝罪をした。
今でもその光景が私の脳裏から消えることは無い。
勝手な・・本当に自分勝手な理屈で私は一つの家族を壊してしまった。
愛してる・・・
愛してるって意味がわからない・・・
愛してるのならば・・
相手の家庭を壊しても許されるのか???
当時の私はそれは仕方がないと思っていた。
しかし、今、自分自身が同じ立場に立って痛感した。
何を自分勝手な能書きをたれてんだ!若造!と・・・
相手を殺してやりやい!
自分の妻が私が知らない男に抱かれていると思っただけで・・
私はその男に猛烈なる殺意を抱くのだ・・
愛ってなんだ??
愛は誰かを不幸せにしても成り立つものなのだろうか??
お天道様を真っ直ぐに見れない・・・
日のあたらない道を歩き・・
世間に顔向けできないルール違反を犯してる愛も・・・
それも愛と言うのだろうか??
罰が当たったんだ!きっと・・俺に・・
私はそう心の中で呟いた。
店に行ってあらかじめ用意していた今日子に売るテレビをハイエースに積み込んだ。
「何も店長が行かれなくても??
配送の人間に・・」
私の部下がそう呟く・・
「いや・・少しばかり厄介な客でね!
私・・ご使命なんだ・・
後でごねられてもな!」
そんな私の言葉を聞いて部下は少しだけ尊敬の眼差しを私に向けた。
車に乗り込み走り出す。
今日子の住むマンションに・・・
私は何をしてるのか??
家族との楽しい時間を犠牲にしてまで・・
娘の笑顔を消してまで・・私は何をしてるのか??
車を運転しながらふとそんな感情が私を包み込む
右折するウインカーを出すとそこには小奇麗なマンションが立っていた。
私はマンションの来客用の駐車場に車を止めると今日子に電話をした。
「どうも!坂本です・・テレビをお持ちしました!」と
そんな言葉から私の苦しみは始まった・・
人生は辛すぎて私の手には負えない。