「店長!結婚したい女が居るんで・・」
そう部下に言われ私はいともあっさりと・・
「そうか!止めておけ!」と呟く。
彼はきっと、ありがたい私の結婚論でも望んでいたのか少しだけ不機嫌そう顔をした。
私は仕方が無いので彼に聞いた・・
「君は何で結婚すんるんだい?」と
彼は誇らしげな顔をして私の問いに答える。
「もちろん、愛してるからです・・」と
「愛だけなら別に恋人同士で良いのでは??」
そんな愚問に彼は真剣な表情で言った。
「一生、守ってやりたいから・・あいつを・・」と
そんな彼の答えに私は苦笑いをしながら呟く。
「守ってやる??逆だろ?」
そんな私の言葉に彼は不思議そうな顔をした。
愛なんて君は永遠に続く物だと信じてるのか?
ふとそんな言葉を投げかけてみたくなる。
愛なんて永遠になんか続かないなんだよ・・
愛なんて・・・
今の男は自分の妻に優しくなったと言う。
昔の男は亭主関白で女は三つ指ついてハハァ~って旦那の顔色をうかがいながら生きていた。
今の男は逆で妻の顔色を見ながら生きてる。
何も言わない・・
それを優しさだと言う・・
本当にそうなのか?違うだろ??
それは優しさではなく弱さだ・・・
今の男は決して優しいのではない・・・
ある意味、めんどくさがり屋なのかもしれない。
好きなようにやらせておけば良いのだ・・・
そうしたら夫婦の間に荒波は起こらない。
自分の意見を言えない。いや・・言わない・・めんどくさいから・・・
だから、それは優しさではない・・弱さなのだ。
私は不思議そうに私を見つめる彼に呟く。
「結婚は男の墓場なんだぜ!」と
彼は私にこんな話をした事を後悔したようにその場を立ち去った。
その日の夜、私はなるべく早く帰ろうと努力した。
私が店を出る時にまだ、数人の帰りたくない病の男達が事務所でバカ話をしながら酒を飲んでいた。
「店長!今日は早いんですね!」
真っ赤な顔をした副店長の遠藤がそう呟く。
「ああ・・なんとなくな!たまには早く帰って家でメシでも食おうかと・・」
「なんだ、かんだと言って店長は奥さん思いだからな~」と遠藤は嫌味っぽく言った。
愛する女を守ってやりたい!
そんな戯言を言って奴はこんな男たちの姿をどう見るのか?
妻を守ってやりたい・・
そんな守るべき女が待つ家に帰りたくないと安酒を飲みながら時間を潰す哀れな男たちの姿を・・
あまり若者には見せたくないものだとふと思った・・
自宅に戻りふと時計を見るとまだ、8時を少し過ぎた頃であった。
玄関を入る私を妻が見つけ嫌みったらしく呟く・・
「あら、お珍しい・・今夜はお早いお帰りで・・
何か後ろめたい事でもして来たのかしら?」と
私は内心、それはお前だろ!と怒鳴りたくなる。
ふと、私は昼間の部下の言葉を思い出す。
私はこいつを守りたいと思っているのか?一生・・
そして私も何も言えないただの気弱な男では無いのかと・・
「木村から電話があっただろ?昨夜は木村の家に泊まったんだ!
そんな後ろめたい事があるわけないだろ!」
そんな言葉を妻に言う・・それは私の小さな抵抗とでも言う行為であった。