悪夢 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

私の目の前に彼が立っていた。


「あんた・・別れてくれよ!友美と・・

どうせ、愛してなんか無いんだろ??

おれはあいつを愛してるんだ!

あんたは友美を不幸にしてる。

愛なんかまったくないのに・・

友美を愛してるなんて言ってあいつを家庭に縛り付けて・・

俺と会って居る時の友美を見たかい?

妻でない・・ママでもない・・女の友美の顔を・・

あんたは世間体と言う名の自分の都合で友美を縛り付けているんだ・・

結婚と言う名の呪縛で・・

友美・・美人だろ??

体だって30代にして崩れてないんだぜ・・・

なぁ~そろそろあいつを解放してあげてくれよ!

俺が・・あいつを・・

女の友美を幸せにしてやるから・・

別れろ!別れろ!!!別れろよ~~~~」


「このクソガキが!!」


私はそう叫びながら夢の世界から現実の世界に舞い戻った

もの凄い寝汗が私の顔にしたたり落ちているのが解る。


私はゆっくり目を開く。


そして天井を見つめる。


見慣れない蛍光灯が真っ先に私の目に飛び込む・・


ここは・・・何処だ??


必死に昨夜の記憶を思い出す。


しかし、私の記憶の中に昨夜の事は殆ど消えていた。


自宅ではない事は確かなようだ・・


私は焦ったように自分の下半身を確認する。


射精した形跡は無いようだ・・・


そんな状態に安心するのはなんとなく男とは悲しい生き物であると思う。


周りを見まわすと高そうな家具が並んでいる。


いったい、私は何処に居るのか?


すると部屋のドアが静かに開く・・・


その隙間から1人の少女が顔を覗かせた。


なんとなく見覚えがあるような?無いようなその少女を私は見つめた。


「おはよう・・」


私がそう笑顔で彼女に話しかけると彼女は少し恥かしそうに・・


「おはようごじゃいます!」と深々と頭を下げて呟く


「君のお名前は??」


そう私が聞くと


「木村ユカです!」と力強い口調でまるで叫ぶように彼女は言った。


木村・・そうか・・木村の家に私はいるのか・・


そう思い安心をしたした瞬間、頭をに激痛が走る・・・


久々のこの感覚・・


どうやら二日酔いのようだ・・


私はゆっくり立ち上がり枕元に綺麗にたたんであるワイシャツに着替えた。


「ユカちゃん!悪いけどパパの所に連れて行ってくれるかな?」


そう私が彼女に言うと彼女は嬉しそうに・・


「まかせなしゃい!」と叫び小さな胸を1度、ポン!と叩いた。


彼女に連れて行かれリビングに向う。


昔とまったく変わっていない家の作りになんとなく懐かしく感じる。


若い頃、私はこの家に毎日のように遊びに来ていた。


毎晩のように酒を飲み・・・


毎晩のように皆で笑っていた・・


リビングに行くと木村は朝食を食べていた。


社長なのに作業着である。


「おはよう・・昨夜は迷惑をかけたようで・・」


私がバツが悪そうに木村にそう呟く・・


みそ汁をすすりながら木村は笑顔で言った。


「やっと、お目覚めか?酔っ払い大魔王様!」と


なんか、木村のマイブームのようで何でも彼は大魔王を付けて表現したがる。


昔と変わらない・・こいつは・・


変わったのは私だけなのかもしれない。


ふと、台所を見ると木村の妻の美香が忙しなく動いている。


私は出来だけ笑顔で彼女に挨拶をした。


「昨夜は申し訳ありませんでした!夜分、遅くに・・」と


美香は少しだけ引きつった笑顔で・・


「良いんですよ!パパが友達を家に連れてくるなんて珍しいのよ!

今度は外でなくうちに飲みにいらしてくださいね!」と


美香がまったくそんな事を思って居ない事は私には十分、解っていた。


木村と過ごした時間と同じくらいに私はこの女と同じ時間を過ごしたからだ。


「メシ・・食えるか??

あいつ、朝から気合を入れて朝飯作ってたから・・

悪いけど無理してでも食べてくれないか?」


木村が小声で私にそう呟く・・


私が椅子に座ると二日酔いの私は見ただけで吐き気がする程の量の食事が並べられた・・・


私は笑顔で言った・・


「美味しそうな食事ですね!うちなんか毎朝パンなんですよ!

味気ない朝食です・・・」


そんな私の言葉に美香は少しだけ嬉しそうに微笑んだ・・・


私はその一言で昨夜の宿代を払ったと言う訳だ。


そして全部、出された食事を食べきる事で・・


木村への恩を返した。


「また来いよ!また・・連絡する・・・」


私はそう木村に言われ追われる様に彼の自宅を後にするのであった。