心の余裕 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

朝は一日の顔である。


笑顔で家を出たらその日、一日は笑顔で過ごせる。


苦い顔で家を出たらどうも一日、テンションが上がらない・・・


だから誠は出来るだけ朝は笑顔で居る事を心がけていた。


それは妻や娘の為ではない・・・


自分自身のためにだ。


人間には2種類の人種が有ると思う。


争いを好む人種と争いを好まない人種。


誠はどちらかと言うと争いを好まない人種であった。


何だろう・・怒鳴った後の空気が嫌いなのだ・・


感情的に良い争いをしても何の解決も生まないし・・・


相手に罵声を浴びせた後に自分自身のそんな行動に凄く後悔をするのも嫌であった。


だから、誠は何時も今日子の理不尽な行動や言葉にも何の文句も言わずに従った。


それが、彼の中で「平凡な生活」をこなす為の唯一の方法だったからだ。


ただ、そんな生活でストレスがたまらない訳が無かった。


きっと、世の中の全ての優しい物わかりが良いなんて妻が自慢をしている旦那はストレスでイッパイであろう。


誠はそんな優しい旦那などこの世に存在しないと思っている。


もしも、そんな男が居たならばその男がもの凄く妻を愛している人間か・・


何か別のストレスを発散する手段を得ている人間だけであると思う。


朝から日課の弁当を作りながら今日子の愚痴が始まる。


誠は出来るだけ聞こえない素振りをした。


そんな誠の態度に余計に今日子が声を荒げ愚痴を叫び出す・・・


そんな性格だからだよ!


誠は無表情でそう心の中で呟いた。


誠は出来るだけ妻と関わりにならないようにしていた。


何の趣味も持たない・・・


なんのストレスを発散する方法を持たない誠にとって・・・


ストレスの元である妻との接点を出来るだけ持たない事が唯一の発散方法だったに違いない。


ストレスを持たない生活をどう作って行くか??


基本的に誠のような我慢する人間は結婚に向いていない。


孤独が嫌いだけど・・孤独が好き・・・


そんな矛盾した考えの持ち主だからだ。


休日は1人で好きな読書でもしながらビールを飲んでうとうとしていたい。


一週間、必死に働いているのだ・・・


そんな小さな願いくらい叶えさせろよ!と誠は何時も呟いていた。


余裕・・・


夫婦生活を潤滑に過ごす唯一の方は「余裕」であると誠は思っている。


お互いの余裕・・・


相手の気持ちを察し、相手が何を望み何を我慢しいるのか・・


自分なりに気を使ってあげる優しさがストレスを無くして行くのは無いのだろうか??


それは自分が過ごす現実社会でも言える事である。


妻ならば幼稚園やママ友との関わりの中で「余裕」を持った生活を送れば良いし・・


旦那なら職場と言う世界で周りの人間に「余裕」のある接し方をすれば潤滑に行くに違いない。


全ての自分以外の人間は他人である。


それは妻でも子供でも愛する恋人でも同じである。


考え方も違うしストレスの原因も違う。


自分が正しいと思うことは、大体、相手にとって間違いだと言う事が多いような気がする。


そんな溝を埋めるのが「心の余裕」では無いのだろうか??


まして誠のようの自分の心の状態を上手く表現できない人間は何時も心に余裕を持って居ない。


何時もギリギリの所で生活をしている。


旦那が理解が無い・・・


妻が何を考えて居るのか解らない・・


自分の子供が親の言う事を聞かない・・・


そんな悩みを持っている全ての人間にはきっと、一歩、後ろに下がり全体を見つめる余裕が無いのだと思う。


今日子の愚痴を聞き流しながら誠は仕事に向う。


正直、こんな気持ちで仕事に出かけないといけないのなら起きて居ないほうが気が楽である。


勝手に自分で弁当を作り、勝手に食パンをかじりながら家を出た方がどんなに楽であろうか解らない・・


夫婦って何だろう???


その時の誠にとって妻と言う存在は、ただの自分を苦しめるストレスの原因でしか無かったのかもしれない。


何時も・・何時も・・後悔をしていた。


今日子以外にもあんなに沢山の女が周りに居たのに・・


自分は何でこの女を選んでしまったのか??


でも、きっと、今日子も自分に無関心な誠に対して同じ事を考えるに違いない・・


そして、最後は2人も同じ答えにたどり着く・・


「でも・・仕方が無い!選んでしまったのだから・・」


それがきっと、全国の夫婦の共通の答えに違いない・・・


誠は「行って来ます!」と元気な声で家を出る・・


せめて、出かける挨拶だけも元気よく・・・


職場と言う戦場に向う為に・・・


人生は辛すぎて私の手には負えない・・