帰宅恐怖症・・ | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

5月に入って直ぐに葵の誕生日であった。


幼稚園の仲間達で誕生会などが行われる。


4月にはオカメの娘が誕生日でオカメの家で4月に誕生会が行われたので2回目の誕生日会である。


オカメの娘の誕生日会は実に質素な会であった。


ケーキ屋から買って来たケーキにスーパーの出来合いの惣菜・・


それに各参加者が持ち寄った料理・・・


でも、一番最初だったので誰と比較される事も無くオカメの誕生日会はそつなく終了した。


そして5月に入り二回目の葵の誕生日会に・・・


今日子は朝から気合を入れてケーキーを自分で焼き、数品の手の凝った料理をテーブルに並べる。


その料理に比べたら皆が持って来た料理は実に貧そに思え・・・


そして2回目ともあって葵の誕生日会は盛大に行われたのだ。


オカメの娘がオカメに小声で呟く・・


「良いな~葵チャンは・・羨ましい・・・」


笑顔であった。全ての参加者が・・・


しかし、心の中では1人、1人、同じ事を考えて居た。


「こんな盛大にやられては・・次の私が大変じゃないのよ!」


「何よ!これ・・自慢???マジ・・うざい女・・・」


「うちの娘の時には簡単な料理しか作って来なかったくせに・・

私をバカにしているの!

せいぜい・・自己満にしたっていなさいよ!」


1人・・1人・・笑顔の裏でやっかみと妬みが渦巻いていた。


今日子は誕生日会の出来栄えに満足そうに笑った。


そんなママ達の気持ちも知らずに・・・


その日の夜、誠の夕食は何時もとは違い豪華な食事であった。


テーブルに並べられた残り物の料理を見ながら・・


久々に出された肉料理を堪能した・・・


それから数日後に事件は起こる。


何時ものように駐車場で今日子はオカメを待っていた。


すると、その駐車場の横を他の園児の母親とオカメが楽しそうに話しながら通り過ぎていく・・


「おはよう!」


今日子は笑顔でオカメに向って挨拶をする。


オカメはまるで気が付かないようにそのママと笑いながら話をしている・・・


「えっ?何よ・・それ・・」


それが今日子の率直な感想であったに違いない。


それでも、オカメは知らん顔で駐車場を歩いて行ってしまった。


急いで葵の手を引きながらオカメの後を追った・・・


帰りは帰りでいつもならタヌキと3人で帰るのにオカメはさっさと1人で帰ってしまった。


「どうしたのかしら?オカメ・・」


今日子のそんな言葉にタヌキは少しだけ意味ありげな笑いを伴いながら・・


「どうしてかしら?ね・・」と呟いた。


急に態度を変えたオカメに今日子は困惑し落ち込む・・・・


私が何をしたと言うの??何か気に触る事をしたかしら???


自宅に戻り今日子はキッチンのテーブルの椅子に座りながら悩んだ・・・


7時過ぎに誠が帰宅をする。


何とも暗い空気に一瞬、誠はチッと舌打をした。


台所で今日子が泣きながら電話をしている・・


相手は聞かなくてもわかっていた・・


どうせ・・母親だろ・・どうせ・・


「それでね!何で彼女が私を無視すのかまったくわからないのよ!

何でだと思う・・」


そんな声が聞こえる。


どうやらママ友と何かあったようだ・・


誠は不機嫌そうにドアを手荒に閉めた。


ドン!と言う大きな音に今日子がビックリしたように振り向く・・


しかし、誠の事等お構い無しに話を続けた。


誠は不機嫌そうに浴室に向かいシャワーを浴びた。


浴室から出て来ても今日子はまだ泣きながら話をしていた。


暗い家だな・・この家は・・・


何のために家に帰るのか???


一日の疲れを致す為に家があり妻が居て家族があるのでは無いのだろうか?


それは男の勝手な理想なのかもしれないが・・・


多くの男が家庭と言う物にそんな理想を描いているに違いない。


出来る事なら出来るだけ遅く帰宅したい・・・


妻と一緒に居る時間を出来るだけ短くしたい・・・


そんな思いが仕事場から帰れない旦那を産むに違いない・・・


誠は不機嫌そうに自分で炊飯器から自分の茶碗にご飯をよそった。


そして冷蔵庫から適当なおかずを選ぶと無言で食事を始める。


今日子は隣の部屋に何時のまにか移動をしていた。


誰も居ない食卓でテレビの音を聞きながら誠は寂しい食事を始める。


自分は何の為にこの女を養っている??


自分は何の為にこの女と一緒に暮らしてるのか???


冷たいおかずを口にほおばりながら・・少しだけ涙がこぼれる・・


でも自分はロボットだから・・何も感じない。


そんなものだ・・夫婦なんて・・


理想を持ってはいけない・・家族や夫婦と言う物に・・理想を・・・


「誠ちゃんは何も聞いてくれないのよ!」


今日子のそんな声が聞こえる・・・


誠は居たたまれなく日課の夜のウォーキングに出かけた・・


人生は辛すぎて私の手には負えない・・