人はなぜに平気で他人を傷つける事が出来るのだろう?
それも20年も30年も生きている完成された大人のくせに・・
まして人の親としてこれから幼い我が子の人生を導くと言う重大な指名を得ている人間が・・
他人を傷つける人間は何を求めて他人をいじめるのか?
それは永遠の謎である。
それは無意識な場合もあるし、それは自己の優越感?ストレスの発散なのか?
誰かを苦しめる事により優越感を得て自己のストレス・・いや卑しい心を補っているのか?
何にせよ・・そんな人間は寂しい心の持ち主である。
ならば、いじめられる人間は何を守るために我慢をするのか??
それも永遠の謎である。
集団と言う群れの中での自分の場所なのか??
それとも孤独になる事が怖いのか???
どちらにしても悪はいじめる人間だ。
そしてそれをどうにも出来ない人間もある意味・・悪なのかもしれない・・
大人になれない大人が子供を育てている・・
くだらない正論・・
大人にもなれて居ない人間が他人を攻撃しながら自分は大人だと自分に言い聞かせている・・
実にくだらない・・なんとも情けない世界である・・
誠には自分の娘の葵を自分の娘と感じる感情が欠落していた。
あまり関心が無いと言う表現が正しいのかもしれない。
妻の今日子に対しても同じであった。
それは結婚してからの今日子の行動にも問題があったに違いない。
結婚してしばらくは何時も一緒に居る二人であった。
2人でそれなりに将来の事等も話し合っていた。
男にとって夫婦生活を送る一番大切な物は何か??
それは自分が家族を守らなければいけないと言う自覚である。
結婚をする時に既に今日子のお腹の中には葵が居た。
だから、2人には夫婦2人だけの新婚生活と言う物が無い。
お腹の子供が成長する。それまでは誠の中に主としての自覚はあった。
しかし、出産のために実家に戻った今日子は変わってしまった。
本来は母親になって戻ってくる所を・・・
今日子は娘になって戻って来てしまったのだ・・・
箱入り娘の母親べったりの娘に・・・
葵が生まれて父親として一番、大事な時期であった。
父親としての自覚が生まれる・・一番、大事な時期であった。
葵が生まれて3年間・・
今日子は1年のうち殆どを実家に帰省をしていた。
そして残りの半分は誠の家に今日子の両親が来ていた。
ある日、誠は今日子に意見をした。
理由さえ思い出せないような些細な事であったと思う。
「ママに聞いてみる・・」
その時、誠は思った・・
あ~この女には自分は必要ではないのだ・・と
自分は跡取りを作る道具であり、生活の為の金を稼いでくる手段であれば良いのだと・・
全ての家族の取り決めは今日子の母親の意見で左右される・・・
それが坂本家の実情であった。
そして何度も離婚と言う言葉が口に出され始めた頃・・・
誠は家族の主である事を放棄した・・
そして、娘の父親である事もある意味、放棄してしまったのだ。
勝手にしろ!その代り俺に迷惑だけはかけるなよ!
何度も・・何度も・・誠はそう呟いた・・
そんな家族が常識のある子供なんか育てられる訳が無い・・
ある意味、葵も被害者なのかもしれない・・
大人のくだらない理屈の・・被害者なのかもしれない・・
だから誠に父性本能と言う物は無い。
ただ、自分の子供は可愛い・・
この子を手放したくない・・・
それが、誠が離婚を決意できない大きな理由でもあったのは間違いないのかもしれない。
ならば、俺はロボットになれば良い・・
感情を持たないロボットに・・
そう思ったのは今から2年前・・
2度目の離婚話が出た時であった。
今は表面的には今日子の両親たちと上手くやっている・・・
しかし、その時、彼らから言われた一言、一言を誠は絶対に忘れては居ない・・
「欠陥商品」
誠は旦那として「欠陥商品」であった・・・
ならば・・欠陥商品は欠陥商品なりに生きれば良いのだ・・
家族なんかに無関心で・・
ただ、決められた日に生活の為のお金を持って来れば厄介な事には巻き込まれないのだから・・
葵の幼稚園の入園日の日・・
誠は事前に入園式に出席をするつもりで有給を取っていた。
しかし、部下が大きなミスをして会社に行かなくて行けなくなった・・・
「悪い!会社に出る事になってしまった・・・」
今日子は不機嫌に言った・・・
「人生で1度しかない事なのに・・
あなたは葵が可愛くないのね・・」と
誠は無表情で無言で家を出た・・・
よく、私の気持ちなんて全然、旦那は理解をしてくれない!なんて女性が言っている・・
でも、そんなあなたも・・旦那の立場や想いを理解してあげようとしていないのでは??
誠は何時もそんな話を聞くたびに思うのだ・・
女には女の事情があるように・・
男には男の事情があるのだから・・
それをお互いが補うのが夫婦なのでは無いのだろうか???
ふと、会社に向かう道を歩きながら・・誠はそう考える・・
俺だって・・行きたかった・・でも、仕事も大事なんだよ!と呟きながら・・
人生は辛すぎて私の手には負えない