佐藤友美と言う女 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

ペタ・・・ペタ・・ペタ・・


静かな廊下にスリッパの何とも言えない音が響き渡る・・・


廊下で立ち話をしていた生徒達がその音が近づいて来るにつれて次々と教室に戻って行く・・


「ったく・・イラツク・・どいつも・・こいつも・・」


彼女はそんな生徒達を見ながらイラついていた。


彼女の名前は、佐藤 友美・・


この学校の新入生だ。


クラスは1年B組である。


髪の毛はアフロと言うのか何と言うのか奇妙なパーマをかけていてまるで鳥の巣のようである。


目つきは鋭く何時もガンと飛ばしている。


口元には何時もトレードマークのマスクを付けていて上履きは履かずに何時も・・


中学校の来客用のスリッパを愛用している。


友美は韮山北小学校の出身であった。


小学生の当時から周りから恐れられていた・・


とにかく気が短く喧嘩が好きであった。


そんな彼女がある日、偶然に屋上である少年を見かけた・・


目の上に大きな傷のある少年・・


彼は数人の上級生に囲まれながらも・・・


鋭い眼差しを崩す事は無かった・・


友美は直感で感じていた・・


こいつは・・強い・・・絶対に・・・


案の定、彼は、数秒の後に上級生達を地面に叩きのめしていた・・・


「やっぱり・・」


物陰に隠れて彼を見つめていた友美はそう呟いた・・


友美がその少年の名前を知ったのはそれから数日後の事であった。


浅田 晃・・・


そんな名前の男・・・


友美は初めて男性に興味を持った・・


もしかして・・これを初恋と言うのかもしれない・・


友美は暇があると必ず、晃のクラスの不良仲間の所に現れるようになった。


ドカンと机の上に座り・・・


引きずるほど長い制服のスカートをめんどくさそうに捲り上げる・・・


友美は何時と何も変わらない・・


何時ものように仲間のスケ番達と馬鹿話をしている・・


しかし、何時も目線は・・


窓際の席に座りボォ~つと外を眺める晃を見つめていた。


ある日、思いもよらない偶然が友美に訪れた。


学校からの帰り道に隣町の中学の不良数人に狩野川の堤防で待ち伏せされたのだ・・・


相手は10人以上居ただろうか・・


しかし、彼女は怯む事無く・・全ての相手にガンをくれていた・・


「大人数だからって舐めんじゃね~~~よ!

私は最強だよ!ムカツク!まったく・・ムカツク!!」


そう叫びながら友美はリーダー格の生徒に殴りかかる!


しかし、次の瞬間・・


数人の生徒に羽交い絞めにされ身動きが出来なくなっていた・・・


「泣けよ!友美・・助けて下さい!って泣いたら許してやるよ!」


そんな相手の言葉に友美はさらに睨む返す。


「誰が泣きを入れるかよ!私を誰だと思ってるんだ!」


すると1人の男がズボンのポケットからキラリと光る物を取り出す・・


その光を見た瞬間・・


さすがの友美も固まった・・・


「そのトレードマークのマスクの下には何があるのかな?

可愛い唇ちゃんかな??どれどれ・・・」


その男はそう呟きながら友美のマスクを取り外す・・


その瞬間・・周りから笑いが起こる・・・


「友美ちゃん・・可愛い唇でちゅね~~~」


それが友美の唯一のコンプレックスであった。


友美は美人であった。しかし、周りの人間に舐められないようにあえてキツイ化粧をしている。


しかし、目の鋭さや髪型は何とかなるが、唇だけはどうにもならない・・


小さな可愛い唇・・・


それが、余計に友美の可愛さを引き立てる・・


その反面、相手に恐怖心を失わせる・・・


「お前・・可愛い唇をしてるな!

口裂け女って知ってる???

なぁ~知ってる??」


ナイフをちらつかせながら彼はそう友美に問い掛けた。


そして、友美の頬をナイフの背でぬるっと1度、口元までなぞった・・・


鳥肌が立った・・・恐怖とはこんな事を言うのか・・


本当の恐怖とは・・


「お前ら!何やってるんだ!女1人に・・・」


不意にそんな声が聞こえる・・・・


友美にはその声の主が直ぐに解った・・


「浅田・・晃・・・」


そう呟くと友美はあまりの恐怖のために気を失ってしまったのだ。


それが、友美と晃の小さな恋の始まりとも知らずに・・