山田屋に電話をした後に義明は病院に電話をした。
「息子を明日、迎えに行きます・・」
そんな簡単な言葉に彼の並々ならぬ決意が込められていた。
次の日、義明は病院に行く前に役所に晃の出生届けを提出した。
「これで晴れてお前は俺の息子と認められたんだぞ!
仲良くやっていこうな!」
そう義明は晃に向かって呟いた・・
時刻は5時をまわっていた・・
義明は晃を乳母車に乗せながら狩野川のほとりを歩いていた・・
夕日が伊豆長岡の駅から温泉街を繋橋を真っ赤に染めていた・・
ふと、川の向こう側にまるで要塞のように立っている山田屋が見えた。
義明は乳母車から晃を出して抱っこをしながら呟いた・・
「晃!よく覚えておけ!俺たち二人の復讐と言う名の戦いが今日から始まる!
よく覚えておけよ!あそこに住んでいる人間達が・・
お前の母親を殺したんだ!
俺はどんな事をしても復習を成し遂げる!
お前も協力してくれよな!」
キャハハ・・・・・・・・・
そんな義明の言葉を理解したのかしないのか・・・
晃は義明が話し終わると大きな声を出して笑った・・
あそこに俺たち親子の敵が居るんだ!あそこに・・
のうのうと生きていやがるんだ!
お前の母親を殺したくせにな!
俺はどんな手を使ってもあそこの人間だけは許さない!
絶対に山田屋をぶっ潰してみせるから・・
義明は心の中で何度もそう呟くのであった。
それから数日後、晃との生活が落ち着くと義明は仕事を探し始めた。
そんなある日、小雪が義明を訪ねてきた。
「義明さん!お店を経営してみるつもりは無い??」
そんな小雪の突然の申し出に彼は少しだけうろたえた・・
「店をやるも何も・・俺にはそんなノウハウも無いよ!
それこそ仕入れの仕方もわからない!
そんな俺に店なんか出来ないと思う・・」
「あのね!ほら、吉野屋さんの横にある「杉本商店」さんのおじいさんが店を閉めるようなのよ!
それで居ぬきで買ってくれる人を探しているの!それであなたの事を話したら商売のイロハを
教えてくれるって言っていた!どうする?義明さん・・
もしも買うつもりがあるのなら私が話をつけるけど・・」
義明にとって願っても居ない話であった。
地道に会社勤めなんかしていてもどうやっても山田屋に復讐する事など出来ない。
あいつらと同じ位置まで登りつめなければいけない・・
義明は二つ返事で小雪に言った!
「頼むよ!お願いしてくれ!」
ついている!俺は絶対に・・
天国で悦子がきっと味方をしてくれているに違いない!
それに自分で商売をする方が晃を育てるには都合が良かった。
義明が面倒を見れない時は長屋の女達が面倒をみてくれると約束をしてくれた。
それから、一ヵ月後・・
伊豆長岡の町に一軒の雑貨屋が誕生した。
「浅田商店」
そんな名前の小さな何でも屋!
この店が数年後に支店を出すほどの成功をおさめようとはその時、誰も考えて居なかったのである。
1969年・・9月のある日・・もう季節は秋になろうとしていた。