コロナが流行し始め市販のマスクが手に入らなくなった頃、手作りマスク用にと、買っておいた布が残っている。それらを使って、突如トートバックを縫い始めたのは、今年2月のことだ。
その事については、何度か記事にした。最初は、それなりにしっかりした布なので、裏は付けずに縫ったのだが、なんだか締まりがなくて、全部解体した。
マスクの裏地に使おうと、一反買ってあった晒し木綿を出してきて、裏地としたが、やはりどうもなんだかビシッとならない。
また解体し、接着芯を購入し貼り付けると、しっかりと立体的にすらなったので、それで12袋縫った。
真ん中の猫柄はそれぞれ違うので、縫っていてもまったく飽きない楽しい作業だった。
出来たものを次々ぶら下げていく。いくつもぶら下がると、その部分だけは雑貨屋のようである。
自分で使うのは、模様部分が若干ズレた出来損ないのものと決め、あとは
「娘と、Yちゃんと・・・」
と使ってくれそうな人を思い浮かべた。
娘が来たときに
「こんなに縫ったの!!!」
と驚かれた。
そして
「ぶら下げていてもしょうがないでしょ、これなら売れるよ、売ったら?」
夫も同じことを言うのだが、どうも私はそういう気には一切なれないタイプなのである。
「売るなら安く設定したらダメ。この手間隙、裏地も接着芯も別にお金かかってるんだし」
「いや、原価はそれほどでも・・・」
「色々なサイトに、チャチでしょうもないものが、強気な値段で掲載してあるんだよ。自信持ちなさいよ」
「売るとしても、未知の人とやり取りして振込だの決済だの・・・メンドクサイ・・・」
「面倒じゃないでしょ」
「・・・」
トートだもの、高くてもせいぜい2000円として、12袋・・・、全部売れても2万4000円・・・だけど差し上げたい人は決まってる。
娘が来る前に、Yちゃんにふたつ、Yちゃんのお母さんと妹さんにも、と計4つ持たせた。
娘も持って行くし自分用はとても売り物になど・・・。
残るのは5袋・・・全部売れても10000円・・・いやいや、売れなくて結局値を下げる羽目になるかも。それでも売れなくて、ショックを受けるかも・・・ええい!アホらし!!!
娘に
「汚れたら取り換えられるように・・・」
とふたつ勧めたが
「こういうのは一つで良いのよ」
ときっぱり断られ、パソコン入れ仕様に横長に縫ったものだけを持って行った。
それは特に特別製(くどいな)で、接着芯(強め)を二重に貼り、更に裏地との間に緩衝材を入れてある。
私は、自分用に大2、小1を確保し、あとは友人と、伯父伯母の命日に、ずっと変わらず必ず心づけを送ってくださる、某代議士夫人(昨今騒がれている変な宗教とは関係ありません)、夫の仕事をサポートしてくださるプロショップの社長にお礼として送った。
代議士夫人からは丁重な礼状をいただいたので、人様が使うにも大丈夫そうで良かったとホッとした。
私のこういう手仕事はある日突然始まり、自分でも訳が分からないまましばらく続き、突然終了する。所詮好きなようにやっているだけである。
だからこんなことでは、商売など無理なのだ。
ハンドメイド商品を作り続けて、売って、幾ばくでもお金を得ている人は凄いなぁ、と、つくづく感心する。
暫くして、娘がこんな写真を送ってよこした。
「T(婿殿)が、これどうしたの? 使って良いの? って欲しがったから、今はTが使ってるよ~」
婿殿は、このバッグにタブレットを入れ、携帯し、日々営業マンとして走り回っている。
余は満足である(笑)。