お転婆山姥今日もゆく

 お転婆山姥今日もゆく

 人間未満の山姥です。
 早く人間になりたい。

子供たちとの約束の時間は19時。

 

普段の私の生活からしたら夫の出勤が午前6時前後なので、朝の始まりが早く、そこからスライドしていくと、とっくに夕飯も終わって、そろそろ寝る支度なんて時間帯である。

 

雨はずっと本降り。途中で少々の買い物をし、息子に連絡をしてみる。

 

「〇〇で予約してあるの?」

「そうだよ」

「なら、少し早く入ってるかも」

「了解」

 

18時45分に店に入る。

最後に行ったのが10年ほど前で、その時は娘と一緒だった。

店主は全く変わらず若々しくお元気そうで、マスク姿の私をすぐ視認した。

 

個室に通され、ヤレヤレと腰を下ろす。ほどなくして「いらっしゃい」「こんばんは」という声が聞こえた。

Yちゃんの声だ。

息子夫婦が入ってきた。

更にそのすぐあと、娘夫婦が来た。

はて、仕事もスムーズに終わったのだろうか。

とにもかくにも、このメンバーでは初めてである。

 

伯母の葬儀などで顔は合わせていても、

「水入らず」

というのは初めてである。息子と私が並び、向かいにYちゃんと娘夫婦。

 

息子が

「好きなの頼んで」

と言う。

ここはね・・・とYちゃんとSさん(娘の婿殿を未だに姓で呼ぶのは、名前が夫と同じだからである)と、さらっと説明をする。フンフンと聞いてもらい、賑やかな飲み会が始まった。

 

でん!

と向かいの真ん中に座った娘が、あれやこれやと婿殿に世話を焼く。

 

「何食べたい?」

「〇〇」

「あー、いいね、あとは?」

「んー〇〇」

「お腹大丈夫?」

 

・・・。なんかどこかで見たような光景だ。

婿殿は娘より8歳も年上なんだが・・・ 仕切るのは完璧に娘である。

 

・・・私に似ているじゃないか!!!

 

息子は息子で、こういう場は得意らしく(そりゃそうだ、何年サラリーマンやってるというのか)気配り万全である。

 

とにかく焼き鳥が美味しい店なので、焼き鳥焼き鳥・・・と、何本頼んだかな。

まずはボンジリ、つくね、ネギマ、皮・・・

「とにかく美味しいから」

と、一人何本宛てかな、とにかくいろいろ頼む。

豚バラ、手羽先焼き、椎茸串、お新香盛り合わせ、フライドポテト、炒め物、ちくわチーズ揚げ・・・ お刺身なんかもあるが若い人たちはそういうのは不要なようだ。

そして、Yちゃんと私を除き、3人してビールだなんだと次々頼んで飲むのだ。

 

・・・こんなに飲む人たちだっけ?

 

ウチは夫も私も下戸ゆえ、家に来たときは食事は提供してもお酒を出す頭が無い。

 

大人になった子供たちの飲む姿は新鮮であった。

 

思い出話ではなく、話題は豊富で、私はもっぱら聞き役である。この私が、聞き役!!!

 

しかしいろいろ面白い。乱れる人はおらず、どんどん陽気になっていくのが楽しい。

YちゃんとSさんに、同じ驚きの趣味嗜好があるのが発覚し、二人で私らの知らないあれやこれやで盛り上がっている様子が目新しい。義理のきょうだいだもの、Sちゃんは兄嫁だもの、年齢と立場の違いをすり合わせるのも楽しい。

息子と娘は、やっぱり兄妹、そっくりだ、と思うところがいちいちあり、面白い。

ガヤガヤした中で、時々ボソッっとSさんが発言するのもまた新鮮である。

 

「・・・Mは・・・料理がとてもうまいんですよ」

 

なんて娘を持ち上げてくれるではないか。

そこから料理の話でまた盛り上がり、旅行の話でさらに盛り上がり、そんなこんなであっという間に時間が過ぎた。

 

「昔はシメにラーメンとか頼んだものだけど・・・」

と言ったが、相当食べて飲んでいる人たちは

「お腹いっぱい」

 

そうか、昔は飲むわけじゃなかったものね。子供らが中高生の頃だし。

 

それにしても、当時は居酒屋に食事しに行っていたんだ、店にしたら儲けが少ない客だったろう( ̄▽ ̄;)。

店が21時閉店なので

「そろそろだよ」

と言うと、娘が

「えー、もう? 次はもっと早い時間に始めようね!」

と名残惜しがる。

約束通り、息子が支払いを済ませてくれた。ありがたいことである。

店のご主人に

「相変わらず、ボンジリお好きなんですね」

「覚えてました?」

「はい、もちろん」

「次はもっとお願いします」

「仕込んでおきますよ、まいど」

 

 

帰りにそれぞれに手土産を渡すと、娘からも貰った。

尾道に行ってきて、しまなみ海道をサイクリングして非常に楽しかったそうな。

京都の時もだったが、サイクリング好きなのね(笑)。

 

子供たちが私の庇護から離れて久しい。

私はただただニコニコとしていて、俯瞰すれば

「婆さんにも近くなった」

 

・・・思いは複雑である(笑)。