2014年からの法制度改正によるリバースモーゲージへの影響
2023年3月末時点の契約残高は約2兆円と、2014年3月末時点から利用者は約5倍に増加しています。
2014年6月に施行された「高齢者向け住宅金融法」の改正は、リバースモーゲージの利用環境を大きく変化させました。主な影響は以下の通りです。
1. 契約条件の緩和
- 年齢要件の引き下げ: 従来は70歳以上でしたが、65歳以上であれば利用可能になりました。
- 利用上限額の引き上げ: 物件の評価額の50%から60%に引き上げられました。
- 金利上限の引き下げ: 年利10%から8%に引き下げられました。
- 契約期間の延長: 従来は10年間でしたが、20年間に延長されました。
- 繰り上げ返済の制限緩和: 一定の条件下で、借入金の全額または一部を繰り上げ返済できるようになりました。
2. 制度の透明化と消費者保護の強化
- 貸出金利の表示義務: 金融機関は、契約時に金利の種類と計算方法を明確に説明する必要があります。
- 契約書面の充実: 契約書面には、利用条件やリスクなどを分かりやすく記載する必要があります。
- クーリングオフ制度の導入: 契約締結後14日以内であれば、無条件で契約を解除できます。
- 監督体制の強化: 金融庁による監督体制が強化されました。
3. 金融機関の参入拡大
法改正により、リバースモーゲージ事業への参入が容易になり、多くの金融機関が参入しました。これにより、商品やサービスの選択肢が広がり、競争が促進されました。
4. 利用者の増加
契約条件の緩和や制度の透明化により、リバースモーゲージの利用者が増加しました。2023年3月末時点の契約残高は約2兆円と、2014年3月末時点の約5倍に増加しています。
5. その他
- 住宅金融支援機構による「リバースモーゲージ支援制度」の創設
- 地方自治体によるリバースモーゲージに関する相談窓口の設置
法改正の影響まとめ
2014年からの法制度改正は、リバースモーゲージの利用環境を大きく改善し、利用者にとってより魅力的な制度となりました。今後もリバースモーゲージは、老後の資金計画における重要な選択肢の一つとして、ますます注目されることが予想されます。