以前、日銀は売り方に転じたという報道があったが、実際にはETFに関しては一度も売却したことはなく、地銀などから引き取った株を少しづつ売却していたことで、ETF購入額よりも株式売却額が大きくなっていたと日刊ゲンダイの記事に書かれている。

株式投資には自己責任原則というものがあるが、日本の金融機関の場合は「機構」や日銀に責任を取ってもらうことができるらしい。

(その記事に書かれている「地銀など金融機関から引き取った株式」というのが何なのかは不明だが、それが銀行等保有株式取得機構のことなのであれば、機構の買い取り上限額は20兆円とのこと。日銀はETFについては現在のところ売却していないそうだが、「地銀など金融機関から引き取った株式」については売却している。民間金融機関が買った株式を「機構」が買い取り、それを日銀が買い取り、市場で売却しているのかもしれない。)

 

【参考】2024年1月28日の記事

2010年から、日銀は事実上の「株式」である上場投資信託(ETF)を買い続け、株価を下支えしてきた。「市場をゆがめている」「官製相場に持続性はない」と批判されもしたが、積もり積もった日銀保有のETFの直近の時価は、現在の株高により、推定67.6兆円(東証の時価総額の7%強!)、含み益は30.4兆円にものぼるのだ。

となると、日銀はこの株高に乗じてこっそり利益確定売りをしているのかと勘ぐりたくなるが、それはない。株価下落を誘発しかねないなどの理由で、これまで日銀は、購入したETFを一度として売却したことがないのだ。
日銀は、かつて地銀など金融機関から引き取った株式を少しずつ市場で売却している。

昨年はETF購入額よりも株式売却額の方が大きかったことから、日銀が初めて「株の売り方に転じた?」などとニュースになったものだ。

今回の株高に日銀のETF購入が寄与していないことは悪い話ではない。いざ株価下落が始まった際には日銀が下支えできる余力を残しているからだ。市場や投資家にとっては心強いことだと考えていいだろう。(丸)

 

【参考】

自己責任原則

投資者が、証券取引の投資判断を誤り損失を被ったとしても、それは全て自らが負担するという原則のことをいいます。常にリスクの伴う証券取引においては、投資家はそのリスクを十分理解したうえで、投資について調査・検討し、自らの責任の下で投資を行わなければなりません。

用語集 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)

 

【参考】

銀行等保有株式取得機構

銀行間の株式持ち合いを解消するために設置された機構。平成14年(2002)に大手銀行・地方銀行が出資して設立。株価下落のリスクを回避するため、銀行が保有する持ち合い株を市場を通さず直接時価で買い取り、時間をかけて市場に放出する。株式市場に影響を及ぼさずに銀行経営を安定させ、貸し渋りを防ぐことなどがねらい。

平成20年(2008)の世界的金融危機による株価の下落で銀行の含み損が拡大したため、緊急市場安定化策の一つとして、同機構による株式買い取りを再開する法案が成立した。平成21年(2009)3月から3年間の時限措置で、買い取り枠は最大20兆円。

機構は時限機関で2006年にいったん業務を停止したが、リーマン・ショックなどの金融危機のため2009年に業務を再開。その後、時限立法で業務期間をたびたび延長し、2012年の改正銀行株式保有制限法成立で買い取り期限は2017年3月末までとなった。機構は買い取った株式を市場に売却し終えた時点で解散する。

2002年2月から買い取りを始め、当初、銀行の保有持ち合い株や企業が保有する銀行株を買い取っていたが、上場投資信託(ETF)、上場不動産投資信託(REIT(リート))、優先株、優先出資証券へと買い取り資産を広げた。買い取り対象は銀行のほか農林中央金庫、信金中央金庫など。買い取り資金は、政府保証付きでの銀行からの借り入れや、銀行等保有株式取得機構債の発行で調達する。買い取り上限額は20兆円。買い取った株式を市場に売却して損失が出た場合、拠出金で穴埋めするが、拠出金を超える損失が出ると公的資金で穴埋めすることになる。

銀行等保有株式取得機構(ギンコウトウホユウカブシキシュトクキコウ)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

 

 

 

最近の株価暴騰に日銀は関わっていないらしいが、今後、暴落が起きた場合に日銀はそれに立ち向かい、下支えするのではないかという観測もある。

もしこの歴史的な株高から歴史的な暴落になるのであれば、その強烈な波に飲み込まれることなくまた噴き上げることができるのかどうかは不明。

最近の日本経済は大企業も金融機関も政治家(自民党)も全て日銀次第なのですといった姿勢になっている。

今の相場は不自然な状況にあるのだから、日銀がこのままETFを売らずに保有し続けたとしても、遅かれ早かれ、ゆがめられた市場は正常化していくはず。

去年の5月から始まった異常な暴騰は買い支えなどではなく、何者かが先物や指数寄与度の高い銘柄に巨額資金を投じて噴き上げさせ、ショートカバーを誘発してきたもののようだが、そのような乱暴な相場操縦によって強気相場を演出し、新NISAなどで個人に高値掴みをさせようと思っても、今は誰がどう考えても状況が悪いのだから結局は株価指数がまるで仕手株のように落ちていくのだろう。

(つまり、日銀が永久に株を買い支えることで、永久に株価が上昇し続けるということはないと思う。投資環境として良くないことは様々な理由から明らかなのだから、全てスーパーマン頼みにすれば助けてもらえるというその態度が間違っているし、結局上手くいかないように思える。)

 

【参考】

相場操縦的行為とは

相場操縦的行為とは、本来公正な価格形成が行われるべき相場に人為的に作為を加えて、これを歪める行為を指します。これらの行為は、取引所金融商品市場の公正な価格形成を歪める行為であり、法令諸規則等により禁止されております。なお、相場操縦的行為者は金融商品取引法により、刑罰や課徴金等の罰則が科されることになります。

買い上がり(売り崩し)

ある特定の株式の価格を意図的に高く又は安くする事で、あたかも相場が上昇又は下降していると他の投資家に誤解させ、取引を誘引することを目的とする行為をいいます。

SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA (sbisec.co.jp)

 

【参考】2024年1月15日の記事

先週の株価暴騰の正当な要因だと判断できるものは、まったく見当たらない。おそらく、とくに材料なく株価指数が上昇を始めたので、買い遅れてはいけないと慌てて買い付いた向きが株価を押し上げ、それが先物の売り方の買い戻しや、コールオプションの売り方のヘッジ買いを引き起こした、との推察が聞かれる。買った向きも、これほどの株価指数の上昇になるとは思ってもいなかっただろう。

同期間の東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)の週間上昇率は2.1%にとどまっているので、個々の有望な銘柄を調査し買い上げた結果の株価上昇というよりも、日経平均やTOPIXの株価指数先物買いや、代表的な大型銘柄のパッケージ買いなどによる押し上げだと推察される。その点でも、個々の産業・企業の実態面の改善による株価上昇ではなかったと解釈できる。

急騰している日本株が今後暴落しないか心配だ 楽観しすぎの米国株、日本経済も黄信号が点灯 | 市場観測 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

 

【参考】2023年9月2日の記事

8月12日付の英ファイナンシャルタイムズ(FT)紙に興味深い記事が掲載されました。

その骨子は、①ここ数週間、数千億ドルの資産を運用するヘッジファンドが、金利上昇のピークが近いとの期待感から、米国、欧州、日本の株式先物買いポジションをパンデミック前以来の最高レベルに拡大している、

②5~6月の米国株上昇は、相場下落に賭けて失敗した同ファンド筋のショートカバー(空売りの買い戻し)が要因だった、というものです。

つまり今春の世界的株高は、そんな巨大ファンド筋が仕掛けた怒濤の先物買いが主因だというわけです。

 

 

 

 

 

中国恒大集団に清算命令が出たが、「恒大は不動産事業の大部分を中国本土で展開しており、本土の裁判所の許可が別途なければ資産を差し押さえることは難しい」と言われている。

「週末に行われた海外債権団との債務再編交渉が決裂した」という報道もある。

中国恒大集団だけでも負債額が約50兆円もあり、碧桂園、大連万達集団、中植企業集団など、その他の大手不動産デベロッパー、コングロマリット、シャードーバンキング、などの問題も残っている。

中国の不動産バブルの崩壊や金融機関への影響は織り込み済みであるはずはなく、これから始まるのだろう。

去年の時点で既にクレディ・スイスの経営危機(その後、買収)や、シリコンバレーバンクの破綻など、一部で金融不安があったが、今後は中国発金融危機によって金融機関の救済や破綻などが相次いでいくのかもしれない。

 

【参考】2024年1月29日の記事

香港の高等法院(高裁)は29日、経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団に対し清算命令を出した。香港メディアなどが報じた。今後、裁判所が選ぶ管財人が資産売却などを行い、債権者と協議して債務を整理する手続きに入る。同社の2023年6月末時点の負債総額は2兆3882億元(約50兆円)

ただし、恒大は不動産事業の大部分を中国本土で展開しており、本土の裁判所の許可が別途なければ資産を差し押さえることは難しい。経済社会の混乱も懸念され、実質的に中国政府の判断次第となるため、手続きがどこまでスムーズに進むかは見通せない。

 

【参考】2024年1月29日の記事

[28日 ロイター] - 経営再建中の中国不動産開発大手、中国恒大集団(3333.HK)が清算の危機に直面していると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が複数の関係者の話として28日報じた。週末に行われた海外債権団との債務再編交渉が決裂したという。 同社と債権団は先週、新たな再編計画について協議を開始していた。

 

【参考】2023年6月14日の記事

スイス第2の規模を持つ金融大手、クレディ・スイス・グループ。1856年に創業した同行は、欧州を代表する銀行の1つとして知られてきたが、2023年3月に発生した信用不安により経営危機に陥った。スイス最大の金融機関UBSによる買収で経営破綻は免れたものの、世界の金融業界に与えた影響は小さくない。

 

【参考】2023年6月13日の記事

決着が見えないのは、AT1債の無価値化を巡る投資家による訴訟の問題だ。経営不振に陥ったクレディ・スイスが発行した劣後債、AT1債を無価値と判断したスイス金融市場監督機構(FINMA)を相手取る投資家による訴訟は急増し、決着までには相当の時間を要する。

FINMAは3月に、クレディ・スイスのAT1債160億スイスフラン(約2兆4,800億円)について無価値と判断した。

クレディ・スイスの経営不振以降、欧州では銀行の問題は目立って表面化はしていない。しかし、銀行が抱える課題は、米国の銀行と重なる部分が多いことは明らかだ。金融引き締めと銀行の貸出抑制の影響が重なって、ひとたび経済活動が悪化すれば、不良債権問題が深刻化し、銀行の経営不安が広がる可能性を欧州の銀行も抱えている。それは年内にも表面化するリスクだろう。

UBSの買収完了でクレディ・スイス167年の歴史に幕:欧州でも貸出抑制で資金ひっ迫のリスク | 2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 

・過去の記事

 

 

 

 

※ 5chで、なぜ中国経済は瀕死の状態なのに日本に中国人観光客が押し寄せるのかについて以下のような投稿があった。

要するに、キャピタルフライト(資本逃避)を防ぐために中国当局が規制をしているらしいのだが、観光とクレジットカードを利用することで人民元を日本円に交換することができるため、中国人が観光客として入国しているという話になっている。

中国のクレジットカードを使って日本で爆買い後に日本で即売り払うことで外貨(日本円)が手元に残る。

中国のクレジットカードで支払いをしているため、後から人民元で決済されるというやり方をしている。

 

0678ウィズコロナの名無しさん
2024/01/29(月) 14:03:07.15ID:oulObtyd0
でもまだ日本に観光客が来ているのも事実なんだよな

0710ウィズコロナの名無しさん
2024/01/29(月) 14:10:05.39ID:BwM2RGHn0
>>678
容易に持ち出せない中国国内の元を外貨に替えたいから、中国のクレカで外国の貴重品や車を買って、即現地の業者に売るんや。すると消費税と売却した分の外貨が手元に残る。で、後から決済は中国内の元で行うと、元が外貨に変わるという寸法や。

中国恒大集団に清算命令、経営危機の不動産開発大手 [香味焙煎★] (5ch.net)

 

 

 

※ 中国経済が落ち込んでいくと日本の経済成長にも大きい影響があると言われている。

 

【参考】2023年9年1日の記事

さて、中国経済が落ち込んでいけば、日本経済はどうなるのか。

日本の経済成長率もゼロになってしまうリスクがある、と指摘するのは野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

仮に中国経済の成長率が今後2%下振れると、日本経済がゼロ成長になる根拠をこう説明した。ポイントは、こうだ。

(1)国際通貨基金(IMF)によると、中国の成長率が1%ポイント低下すると、世界の成長率は約0.3%低下する。

(2)内閣府「世界経済の潮流(2013年II)」では、中国のGDPが1%変化すると、日本を含む主要5か国の成長率は約0.5%変化すると試算されている。ただし、2012年時点のデータに基づく試算であり、現在の中国経済の規模拡大を考慮すれば日本への影響はもっと大きい。

(3)IMFによると、中国のGDPが世界のGDPに占める比率は2012年の11.1%から2022年には18.1%へと1.6倍以上に高まった。この点を考慮すると、現時点で中国の成長率が1%下振れると、日本の成長率は0.65%下振れる計算となる。

(4)政府は2023年度の日本の実質成長率をプラス1.3%としているが、中国の成長率の前提が2%下振れると、「0.65%×2倍=1.3%」で、ちょうどゼロ成長となってしまう計算だ。そのくらい、中国経済の下振れが日本経済に与える打撃は大きい。

  木内氏はこう結んでいる。

「一方で、資源国の経済には先進国以上に大きな打撃を与えることになる。既述の内閣府の分析でも、中国の成長率の下振れの影響は、資源国では先進国の2倍である。中国経済の下振れは、資源大国であるロシア経済にも大きな打撃となり、ウクライナ紛争の行方にまで影響してくるかもしれない」