中国では以前から大手不動産デベロッパーの恒大グループや碧桂園(カントリー・ガーデン)のデフォルトが取り沙汰されているが、今度は「影の銀行」と呼ばれる大手資産運用会社の中植企業集団(中植)が深刻な債務超過に陥ったという報道がある。

「約4兆600億円の保有資産に対し負債は推定約9兆3400億円」という数字が出ているが、関係者が行方不明になっているらしい。
「2015年のある報告書は、中国のシャドーバンキングの3分の2が銀行からの資金と推定している」とも言われており、銀行が規制をかわすために預金の一部をシャドーバンキングに流し、シャドーバンキングがそれを使って融資や投資をしていたようだが、中植は既にかなりの額の債務超過に陥っているし、他のシャドーバンキングでも同様に破綻するのではないかと懸念されている。

この問題が中国国内で表面化すれば事業の継続が困難になる企業が多く出てくるだけではなく、銀行が巨額不良債権によって破綻し、金融危機に陥り、預金封鎖や取り付け騒ぎなどが起きるのかもしれない。

投資や融資ができなくなれば、さらに需要も低迷し、不動産の供給過多によって住宅価格が暴落することになる。

そうなれば地方政府の主要な収入源となっている土地使用権売却収入も減少し、財政難に陥るとも言われている。

中国では若年層の失業率も非常に高く、中国版就職氷河期のような状況にもなっている。
恐らく、中国経済は一度落ちるところまで落ちないと立ち直れないところまで来ており、ハードランディングは不可避なのだろう。

それゆえに、中国海警局の船が日本やフィリピンなどで過激な行動を取ったり、調査船が尖閣諸島周辺で挑発的な行動を取ったり、中国軍の戦闘機による煽りや軍高官などによるあからさまな敵対的発言があったり、戦争準備とも取れるような軍事行動が目立つようになってきている。台湾への圧力も強まっている。

つまり、中国政府は国外に矛先を向けさせることで国民の不満を一時的にしのごうとしているらしい。
 

 

【参考】

11月下旬、中国の大手資産運用会社の中植企業集団(中植)は自社が「深刻な債務超過」に陥ったと発表した。約2000億元(約4兆600億円)の保有資産に対し負債は推定4600億元(約9兆3400億円)。

問題は、中植が中国のシャドーバンキング(影の銀行)の重要なプレーヤーであることだ。シャドーバンキングはノンバンク企業による融資や投資で、中国では盛んに行われている。

 

2008年の金融危機以降、中国では大規模な景気刺激策により信用が拡大し、シャドーバンキングの役割が急激に広がった。資金の大半は不動産市場に投資され、株式市場や商品市場にも流れ込んだ。

銀行は高金利の住宅ローン、特に販売前のローンを奨励した。不動産開発業者は、これらの資金を元手に信用取引を行った。このような信用、規制、不動産建設の結び付きは、不正や腐敗の機会を生んだ。

 

【参考】

中国経済の不振の中核にあるのが、長引く不動産不況だ。不動産投資額は1-6月に前年同期比-7.9%と悪化したが、7月はさらに下落幅が拡大したとみられる。不動産価格が下落するなか、さらに不動産開発業者の資金難から住宅建設が停止し、購入した住宅の引き渡しがなされないことを警戒して、個人の間では住宅購入を手控える動きが広がっている。その結果生じる住宅価格の下落は、既に住宅を購入している個人にとっては保有資産の目減りを意味し、それが逆資産効果を生んで、個人消費の低迷にもつながっているのである

中国大手デベロッパー・碧桂園にデフォルト懸念:深まる中国の不動産不況と経済の長期低迷リスク|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 

【参考】

中国の住宅実需は2021年が直近のピークであり、2022年以降は減少する。国連の“World Population Prospects 2022”によると、中国最大の実需層を形成する30歳~34歳人口は過去10年間で29.5%増加し、2021年は1億2,280万人となった。しかし、同推計はこの人口層は今後の10年間で34.7%減少し、8,021万人に減るとしている。

実需が大幅に減少するということは、供給調整がうまくいかなければ住宅価格暴落の可能性があるということだ。住宅は居住目的だけでなく、家計と企業が投資目的で保有することも多く、先行きの不透明感が強まれば、負債圧縮を目的に、家計は消費を、企業は投資を抑制する。銀行も不良債権増大により貸出余力が低下することになろう。地方政府は主要な収入源である土地使用権売却収入が減少して、財政難が深刻化することで、成長のための投資余力が低下することになる。これが、今まさに起きていることなのかもしれない。

特徴的なのは、デフォルトを起こした32社のうち、民営デベロッパーが実に29社を数えた一方で、国有デベロッパーはわずか3社にとどまったことである。中国版総量規制は、デベロッパーの財務の健全性向上が目的ではなく、民営デベロッパーの淘汰が目的とされる所以である。ここにも「国進民退」(政策の恩恵が国有企業に集中し、民営企業は蚊帳の外に置かれる)問題が発露している。多くの民営デベロッパーで資金繰りが悪化し、工事中断問題が社会問題化したのである。
さらに、この問題には負の連鎖がある。中国では、建設中に物件を購入し、住宅ローンの返済が始まるケースが多いが、引き渡し不能リスクを懸念する市民は、民営デベロッパーの建設というだけで、購入をためらう

中国:最悪ケースは金融危機のトリガーに (dir.co.jp)

 

【参考】

銀行は、企業に貸し出すお金をどこから調達しているのでしょうか?
その答えは 個人や企業の「預金」です。
皆さんが預けているお金(預金)をもとに、銀行は個人や企業にお金を貸しているのです。

 

【参考】

イタリア脱退で一帯一路から離脱する国が出てくる可能性があるという観測も出ている。プロジェクトに参加した開発途上国の相当数が莫大な借金に苦しめられているためだ。中国が開発途上国に提供した借款規模は約1兆ドル(約144兆1800億円)だが、現在パキスタンなど12カ国が債務不履行(デフォルト)を宣言するか経済危機に陥った状態だ。

 

【参考】

係留型のブイは平成25年と30年にも同じ位置で確認されており、「重りが切れるなどしたブイが流される度に中国側が新たにブイを設置してきた」(海保関係者)という。

「30年に漂流したブイを調査した際、気象や波のデータなどを送信していたことが判明した」

「データは人工衛星経由で中国本土に送られ、海警船の行動や軍事行動に用いることができる」

「ブイはデータ収集が目的というより、尖閣周辺でプレゼンス(存在感)を示し、尖閣支配の既成事実化を狙って設置された」

中国海警局は軍艦を改修した大型船を配備して武装強化を図っており、海洋進出を強める中国の公船の活動が活発化している。

 

【参考】

中国海警局は日本の漁船と数隻の巡視船が、9日に沖縄県・尖閣諸島の周辺を航行したことに対し、「中国の領海に不法に侵入した」と主張し、「必要な取り締まり措置を取り警告を発した」と明らかにしました。

 

【参考】

フィリピン政府は、中国と領有権を争う南シナ海で、10日朝、フィリピン軍の輸送船が中国海警局の船に衝突され損傷したとして非難する声明を発表しました。一方、中国海警局はフィリピン側の船が故意に衝突したと主張し、南シナ海をめぐって両国の間に緊張が高まっています。

公開された映像にはフィリピンの巡視船が中国側の複数の船に囲まれて水を浴びせられる様子や中国海警局の船が輸送船に近づいて側面に衝突する状況がうつっています。

中国海警局はフィリピン側の船が不法に侵入し、1隻が「危険な方法で急旋回し、法執行を行っている中国海警局の船に故意に衝突し傷をつけた。責任は完全にフィリピン側にある」と主張しました。

 

 

 

 

・追記

【参考】

ベテラン投資家のカイル・バス氏によると、中国の銀行システムは崩壊しており、同国の不動産危機により金融システムから 4兆ドルが消滅する可能性があるという

不動産危機により、中国には 30億人が住むのに十分な空き家が残されており、未使用の住宅の供給の洪水により不動産セクターに巨額の経済的損失が生じるだろうと元中国高官は述べた。

 

・追記

【参考】

銀行業務を行うにあたっては、信用が重要な位置をしめる。そのため、経営が悪くなっても活動を続けることが出来る他の産業とは根本的に異なり、経営が悪くなれば信用がなくなり、取り付け騒ぎに発展して破綻したり、批判を受けながら政府の救済を受けたりする。それ自体は預金保険制度、健全性規制、ベイルイン(株主・債権者負担)といった諸制度により防がれる。(しかし、より直接に経営責任を問う制度は十分に整備されていない。)

「銀行の経営は信用があって成り立つか、融資する価値がないと判断されて成り立たなくなるかのどちらかだ」(モルガン・スタンレー、ローレンス・マットキン)より引用

銀行 - Wikipedia