中学生のとき、濃塩酸を見て
その恐ろしさにぞっとした方も多いことだろう。
でも、実は濃硫酸のほうがはるかに怖い。
濃硫酸には脱水作用というのがあるからだ。
(触れると、肉体が真っ黒な炭になってしまう)
そのうえ、濃塩酸がマックスで35%程度なのに対し、
濃硫酸だと100%もありうるのだ。
人間はなぜ、
こんなにも恐ろしい物質を生み出してしまったのだろう、
と身震いしそうになるシロモノだ。
濃硫酸に比べると、濃塩酸がまだ可愛く思える。
そして、さらにもっともっと怖いのがフッ酸。
フッ化水素(HF)が水に溶けたものである。
何が恐ろしいかというと、分子が小さいために、
触れてしまったら最後、骨まで腐食されるのである。
フッ酸はガラスさえも侵すので、ビンに保存できない。
(ガラスに模様をつけることに利用される)
それもそのはず、このフッ素(F)という元素は、
もっとも反応性が激しい元素なのだ(電気陰性度が最大)。
ヘリウムとネオン以外の元素とは即座に反応。
「酸素でさえも酸化」する。
単体は、分離や保存がきわめて困難。
世界で初めて、単体の分離に成功したフランスのアンリ・モアッサンは
ノーベル化学賞を受賞したものの、フッ素で片目を失明してしまう。
さて、今回はこのフッ素の化合物を見てみましょう。
・テフロン:こげつかないフライパン、最も摩擦係数の少ない物質
・フロン:フッ素がオゾンを酸素分子に分解。
・六フッ化硫黄(SF6):安定度の高い無毒、無臭、無色、不燃性の気体。絶縁体、眼科手術
・六フッ化セレン(SeF6):無色の有毒の気体で、ひどく不快な臭い。
・六フッ化テルル(TeF6):無色の有毒な気体、恐ろしい悪臭。
・二フッ化酸素(OF2):特異臭のある無色の気体、液体は淡黄色。有毒。ハロゲンや水蒸気に触れると爆発。
・二フッ化二酸素(O2F2):褐色気体。液体は赤褐色、固体はオレンジ色。
・二フッ化三酸素(O3F2):赤褐色の結晶、液体は暗赤色で粘っこい、極めて不安定。
・二フッ化四酸素(O4F2):赤褐色の固体。詳細は不明。
・一フッ化二酸素(O2F):
・三フッ化窒素 (NF3) :無色、有毒、無臭、不燃性、助燃性の気体
・四フッ化炭素 (CF4) :温室効果ガス
・四フッ化ケイ素 (SiF4) :沸点と融点は4℃しか離れていない。揮発性が高い、無色気体だが、湿度が高いと発煙。火山ガス。
・一フッ化塩素 (ClF):無色の気体、-100℃で淡黄色の液体。塩素とフッ素の中間の特性、水、金属、有機化合物、ガラスなどと爆発的に反応。
・三フッ化塩素 (ClF3):有毒、軍事利用、
・五フッ化塩素(ClF5):無色の気体。
・過塩素酸フッ素(FClO4):
・一フッ化臭素 (BrF):赤い気体、赤茶色の液体
・三フッ化臭素(BrF3):薄い麦わら色の液体、毒性と腐食性、水や有機化合物とは爆発的に反応。核燃料処理に使用。
・フッ化臭素 (BrF5):淡黄色ないし無色の発煙性液体、水や有機化合物と爆発的に反応。
・一フッ化ヨウ素(IF):白色の粉末、無色の液体、毒性?
・三フッ化ヨウ素(IF3):黄色の個体、不安定で詳細は不明。
・フッ化ヨウ素 (IF5):無色~淡黄色液体
・フッ化ヨウ素 (IF7):無色の固体、濃い蒸気は強いカビ臭、融点は4.5℃で沸点は4.77℃。
・フッ化アルミニウム(AlF3):無色結晶
・フッ化カルシウム(CaF2):蛍石
・六フッ化アルミニウムナトリウム(Na3AlF6):氷晶石
・六フッ化ウラン(UF6):無色個体、ウラン濃色
・フッ化ケイ素酸:黄色液体、白色個体
・次亜フッ素酸(HFO):
・モノフルオロ酢酸(CH2FCOOH):無色の固体。針状の結晶。クエン酸回路を阻害。
・ポリフッ化ビニル:レインコート、ホワイトボードの表面材。構造はポリ塩化ビニルに似る。
・マジック酸(FSO2OH・SbF5):最強の酸?
・ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6):白色の結晶性粉末、粘膜に有害
・シアン酸フッ素(FOCN):?