遺産相続。 | 暗くなるまで待って

暗くなるまで待って

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

今日はガーナの遺産相続にまつわる話。

と言っても部族によっていろいろ取り決めが変わるでしょうから

あくまでもうちの義父の一例ということで。

 

夫の父親は夫曰く「女性が大好きな人」だったそうで

私からみても「この人女が放っておかないだろうな」と思うタイプだったので

生涯で三人の妻との間とプラス婚外子をもうけ子供が11人ほどおりました。

 

そんな義父が亡くなった後残った財産というと、部屋数が3,4つくらいある

自宅と彼が大切にしていた畑(日本人の感覚で見ると果樹園)くらいのもので

子供達からの仕送りを全部畑に注ぎ込んでしまうような人でしたから

遺産相続のターゲットというと「残された家」しかない状態です。

 

で、この家がなかなか面倒な代物で、現在進行中で三番目の妻と

その一人息子が住んでいるのですが、彼らはこの家の建築に一切身銭を

切っておらず、建てたのは二番目の妻と義父なのだそうです。

ということでこの小さな家の相続を巡って意見が割れます。

 

一番目の妻の子供達:建設には関わってないけど父親が死んだのだから

遺産をもらって当然

 

二番目の妻の子供達:自分達の母親が建てたのだから自分達の母親が

相続するのが当然

 

三番目の妻とその息子:異母兄姉達はみんな財産らしいものをすでに

持っているのだから何も持ってない自分達が相続したい

 

ちなみに一番目の妻はすでに他界、二番目は健在。

一番目とは離婚済みですが、二番目とはまだ婚姻関係があるので

いわゆる一夫多妻状態ですね。

 

三番目の妻は今も住んでいるのに追い出されるの?と夫に聞くと

そもそも貢献していないんだし実家に帰ればいいだけのこと、という答え。

日本人の感覚で言うと「死ぬまで一緒に暮らしていたのに

それはそれでせちがらいなあ」って感じですが、まあ色々あるんでしょう。

 

じゃあこういう時どうするか?

遺言書を探すんですね。

それさえあればどんな内容であれみんな納得するしかないのだそう。

 

大人が大勢で家中ひっくり返して探しましたよね。

でも出てこない。

じゃあ次はどうするかっていうと、やはり最初の話し合いで解決するしか

方法は残っていないのですよね。

 

日本で家屋が相続対象になるというと、売ってそのお金を分けるか

共同名義にするか誰かひとりに譲るかくらいの選択肢になるのでしょうが

ガーナので面白いなと思ったのは、部屋ごとに相続するという案。

例えばこの部屋は誰と誰、この部屋は誰と誰、という風に部屋を相続して

それを貸し出すのだそうです。

一軒家が貸し出されても部屋ごとに大家が違うということですね。

 

結局義父の遺産相続問題は数ヶ月レベルで話が進んでいなかったので

私の興味も薄らいでしまい今どうなったのかわからないのですが

(今度聞いておきます)

この手の話って、お金に困っているから金銭的なものが欲しいっていうより

メンツの問題なんじゃないのかなあという気がします。

 

とどのつまりは、ガーナの多妻文化って男側が勝手に配偶者を

増やしていくだけなので、女側とその子供には不満が溜まるんですよね。

特に子供は悲しんでいる母親の姿をみて育つわけで

そういう鬱憤が当事者の男がなくなると一気に噴出するのかなと。

一夫多妻とはいっても、妻同士は同等じゃなくて日本の本妻と妾文化に

近いものがあって、旦那が死んだら一番目がそれ以下を追い出すみたいな

話も珍しくないですしね。

 

こうやって話していると女にはだらしないし子供には迷惑かけるしで

義父はとんでもないタイプに見えるでしょうし、実際そうなんでしょうが

子供は全員父親のことが大好きなんですよ。

葬儀では30超えた末息子が弔辞読み上げながら「父は自分の親友でした」

って大号泣するくらい。

下手すると女の孫達もみんなグランパのことが大好きで

生きている時は顔見かけると「グランパ~ハート」って飛んでいくし

葬式は「泣きすぎて頭痛い」とか言ってるし

本当に天性の女たらしなんだなと(笑)

うちの夫も文句ブーブー言う割には面倒見るのは嫌がらなかったしね。

 

義父の遺言状を探している時、義父の部屋で見つかったのは

遺言状じゃなくて仕舞われていた子供達のかつての成績表だったんだそうで

そういう部分が子供達に慕われる部分だったのかなあと思います。