【告知(4/4)】答案作成の2つ のスタイル【補足】
さて,10月からの指導方針についていくつかの記事にして告知してきましたが,最後に1点,意識しておいていただきたいことがありますので,別記事を作成しております。忙しい人は要点だけでも見ていってください。【要点】論文の作成のスタイルには,①制限時間内に,何も見ずに書いた「本番形式」②時間無制限,基本書やテキストの参照をしながら,一定の文字数を上限に,自分なりにベストの答案を作成した「レポート形式」の2種類があり,学習状況,達成目標に応じて2つを使い分けるべし添削指導をやっていると,実に様々な答案を受け取ることになるのですが,その多くはおそらく,「制限時間内に,何も見ずに書いたもの」,すなわち本番形式の答案であるように感じます(このようなスタイルの答案をひとまず「本番形式」と呼ぶことにします。)。確かに本番形式で解くこと自体は重要です。時間内にどれだけのことを書かなければならないか,今の自分はどれだけのことを書くことができるか,「合格」に対して自分の実力がどの段階にあるのかを測り,適切に戦略を立て,知識やノウハウを身につけていくという点で効率的な方法であり,Twitterなどでも多くの合格者,指導者の方が推している学習方法です。私自身もそのようなスタイルでの答案作成をするメリットは大いにあると思います。しかし,上記本番形式で答案練習を重ねていく方法は,「学習が一通り終わっている人」「論文の書き方がある程度身についている人」がやって初めて効果のあるものだというように思っています。学習があまり進んでいない方,論文答案の書き方がまだ定着していない方が本番形式で答案を書くことは非常にハードルが高いように感じます。実際,知識不足を理由に書くことをためらわれる方も多いのではないでしょうか。添削依頼を受け取る答案(のうち,「本番形式」で書かれたもの)の中には,論点が的確に抽出できていないもの,文章の構造が破綻しているもの,その他「添削がやりにくい答案」があることもまた事実です。そのような答案をいただいても,「この論点書こうね」「全体的に論理がよくわかりません」のような抽象的な指摘に終始せざるを得ず,文章力や答案の型といった具体的な部分を見ることができないため,あまり効率的な添削指導になりません。この1年で300通以上添削してきてそのように実感するに至りました。要は学習が十分進んでいない段階で「本番形式」で答案練習をしても,あまりそのメリットを享受することができないのではないかということを考えているわけです。そこで,「本番形式」とは別の方法として,「時間無制限,基本書やテキストの参照をしながら,一定の文字数を上限に,自分なりにベストの答案を作成する」スタイルを提唱しています(このような書き方のスタイルを「レポート形式」と呼ぶことにします。)すなわち,本番形式による時間的制約,能力的制約にとらわれることなく,なにを見てもいいからとにかく自分なりに納得のできる答案を作ってみようということです。ただし,字数無制限にしてしまうと冗長になってしまうので,一定の上限を設けることになります。この形式によるメリットは,・問題文をよく検討し,論点抽出を行うことになるため,「問題発見能力」が養える・論点の知識をテキスト等で確認しながら自分の言葉で書いていく中で「論点知識」や「論点圧縮力」が身につく・一定の文字数の中でどのような言葉を選択し,情報を盛り込むかに意識が向き,「文章力」「表現力」が向上することにあると思います。学習が進んでいない状況では,このような「レポート形式」による答案練習で,論点知識や書き方のノウハウを実践しながら帰納的に獲得していくのが効率的であるというように感じます。そのため,添削答案を見て,学習がまだ不十分かもしれないというように感じた場合には,このような「レポート形式」による答案作成及び提出を指導するようにしています。地道かつ時間のかかる作業にも思えますが,1つの問題に深く向き合うことで得られるものはとても大きいと思います。実際,司法修習においても,修習生は裁判所でいくつかの起案をさせられることになりますが,どんなに多くても「週に1通」あるかないかくらいの課題量です。単純に記録が分厚いし傍聴もあるから処理しきれないというのもありますが,1つ1つの起案をよく吟味して作成することの重要性に対する意識が背景にあるように感じます。このように,「慣れていない段階,論文に対する苦手意識がある段階では,時間に囚われずにじっくり書けばいい」ということが受験指導業界では軽視されているように感じる次第です。私の添削指導では,常にそうではありませんが,適宜「本番形式」または「レポート形式」で書くように指導することにしていますので,その点をご理解いただければと思います。ある程度論文に対する苦手意識がなくなれば,「本番形式」の答練を繰り返せばいいということです。結局のところ,学習状況や到達目標に応じて両者を使い分けするのが合格の早道であると思います。少なくとも,私の教え子はそのようなスタイルの併用によって,無事合格することができたので,全く非効率な方法でもないはずです。受験生におかれましては上記指導方針をご理解いただき,添削をご利用いただきますようお願い申し上げます。以 上