三井寺文化財収蔵庫で、国宝 智証大師関係文書典籍を見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

↑こちら三井寺の文化財収蔵庫


では、国宝 円珍関係文書典籍の一部が公開されています。

公開情報がまったく無いため、訪問するまで何が展示されているのか?わからなかったんですが、実地調査してきました(^_^)/

展示は以下のとおりです。


・国宝 智証大師関係文書典類
二、入唐関係文書 5種のうち
三、求法目録 5種のうち
四、伝法関係 10種のうち
円珍請伝法公験奏状案 2巻の中から


の、3点の展示でした。

それでは、ひとつづつ紹介していきます。
なお、三井寺文化財収蔵庫は、展示室内の撮影禁止です🚫




二、入唐関係文書 5種のうち

↑昨年の大津歴史博物館で、写真撮影可時に撮影したもの

中国 唐時代 大中9年(855年)の作。

円珍が唐に渡った際、現地で使用した今で言うところのパスポートです。

こちらは、過去にかなり詳しくレポート


したので、それを見ていただければ幸いです。




  三、求法目録 5種のうち

三井寺HPより
中国 唐時代 大中9年(855年)の作。

円珍が入唐し、長安の青龍寺で得た経典類の目録です。
巻頭から1mほどを展示していました。
巻子装(巻物形式)で、薄い界線が引かれ、楷書で書かれています。
円珍のきちゃない字じゃないので、現地の写経生の字でしょう。
↑冒頭「日本国上都延暦寺僧円珍求法目録」で始まっています。
空海が学んだあの"青龍寺"で、円珍もまた学んだんです(^_^)
円珍は優秀だったみたいで、青龍寺の法全阿闍梨からお褒めの言葉をいただいています。
巻末に法全阿闍梨直筆で
「円珍は最上乗の教えに精通したので、これから多くの人々のために尽くすであろう。再び浄土で会おうぞ。」
と記されています。
"法全加筆証明"とは、それを指しています。しかしながら、巻末に書かれているので、見えません(^_^;)
巻頭じゃなくて、巻末を展示して欲しかったな……

また、大事な文書なので、紙と紙の継ぎ目に、割り印のように「全」の字が書かれているそうです。
↑黄色で囲んだトコ。「全」の字がありますね。私は、現地ではぜんぜん気づけませんでした💦




四、伝法関係 10種のうち
円珍請伝法公験奏状案 2巻の中から


三井寺HPより
平安時代 貞観5年(863年)の作。

巻頭から70cmほどを、展示していました。


"円珍請伝法公験奏状案"は、円珍が、先輩の最澄や義真に倣って、帰国の後に伝法のための「公験(くげん)←証明書のこと」を、発給してもらうため、朝廷に願い出た奏状の案文……つまり"下書き"です。
入唐から帰国までの経緯を、詳細に記しています。

では、現在展示されている"草本"をじっくり見てみましょう。
↑「十禅師延暦寺前入唐求法伝燈大法師円珍謹言」で始まるけっこう長い巻物。一文字ずつ丁寧に書かれています。
"紙背文書"(←紙の裏にも字が書かれ、紙が再利用されている)になっていて、この裏に書かれているものが、最初の奏状で、それを推敲したものが表の奏状案なのです。
この"奏状"により得られたのが、太政官給公験牒です。←私はまだ見てない!

レポートは、以上です。



「紫式部と三井寺」と銘打って、国宝の金堂内で、ミニ展示がされていました。

こちらでは国宝の展示は、ありませんでした。