国宝 十輪院本堂 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

奈良県は奈良市にあります、十輪院


に行ってきました(^_^)/

十輪院は、元は元興寺の子院だったと考えられており、元興寺の近くにあるので、併せて訪問することを、お勧めします。(訪問するまで、気づかなかった……💦)

また、国宝の本堂の内部拝観については、ハッキリ定まっている……という訳でも無いようなので、事前に拝観可能時間をご確認のうえ、訪問するようにしてください。

では、レポートします。




・国宝 十輪院本堂

鎌倉時代の作。

特徴的なのは、この本堂の後ろに、重要文化財の"石仏龕(せきぶつがん)


"があり、本堂がその"石仏龕"の礼堂のような役割を果たしているところです。

航空写真で見ると、良くわかりますよ。
この部分に、"石仏龕"があり、緑でマークした部分が本堂です。
航空写真だと、屋根が寄棟造り


なのも、良くわかりますね。
桁行き(けたゆき/正面)5間、梁間(はりま/奥行き)4間の、長方形の建物です。詳しく見ていきましょう。
↑まずは、桁行きから。お堂の正面から見てみると、柱間は5つありますね。これを"桁行き"5間と呼びます。

"間(けん/げん)"は、柱と柱の間の数を言います。(長さの単位のことではありません。)
↑対して、"梁間"は4間です。
①の1間は、壁がありませんね。吹き放ちの広縁になっています。
④の1間は、少し奥まっています。石仏龕を拝観するための入口が、本来ここなのです。詳しく見ますね。
↑縁側が途中で切れて、少し奥まっているでしょ。今は結界があって、入れませんが、昔はここから入って石仏龕を拝んだようです。
↑わかりにくいですが、反対側はこのように奥まった入口はありません。縁側が奥まで続いています。
↑こちらは、①の吹き放ち部分。広縁が作られて、すっきり開放されてます。
では、広縁に上がってみましょう。
↑正面3間は、跳ね上げ式の蔀戸(しとみど)、左右には連子窓が設えられています。
↑低い天井は、竿縁天井。下から押し上げれば、板がズレるので、エロ本が隠せます(^_^;)
↑平三斗……というか、出三斗で桁を支えています。デザインとしてはシンプルめ。
↑"蟇股(かえるまた)"もシンプルなもの。正面の柱は面取りされた角柱ですが、"蟇股"とともに、創建当時、鎌倉時代のものが残っています。
↑軒には垂木の無い、"板軒(いたのき)"。
↑"貫き(ぬき)"の"木鼻(きばな)"は、繰形(くりがた)の「大仏様」です。

さぁ、内部に入りましょう。
ですが、残念ながら内部は撮影禁止🚫です。

内部は、中央3間が主室で、両サイド1間は脇室となっています。
主室には、内陣が組まれ、その背後石仏龕を拝観するための"相の間(あいのま)"があります。
↑外から見ると、こんな感じ。

石仏龕は、石の内側をくり抜いて石像を彫り出したもの。石像彫刻の1種で、重要文化財指定を受けています。
中央に地蔵菩薩、両脇に釈迦如来弥勒菩薩を配しています。モルタルでの補修痕が見られるのが残念。

また、脇室には宝物類を展示していました。

主室の柱は円柱で、脇室の柱は角柱と、使い分けられ、仏の世界と人の世界を明示しています。

レポートは、以上です。

鎌倉時代の住宅の要素も垣間見える、シンプルで静謐なお堂でした(^_^)/~~