奈良博「空海 KUKAI (前期)」第2章 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

奈良国立博物館で開催中の、特別展「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界


」のレポートの続きです。


第一章のレポートはこちら



今回は、第二章ですよ〜




第二章 密教の源流―陸と海のシルクロード


第二章で展示されている国宝は、

・国宝 智証大師関係文書典籍
五、請来経典等 8種のうち
梵夾より
大日経真言・十二天真言(12枚)のうち4枚
・国宝 大毘盧遮那成仏神変加持経 (大日経) 7巻より
巻第三(巻き)
巻第四(巻き)


の、2件です。




第二章では、"密教"がいかにして唐にもたらされたのか……を紐解く展示になっています。



密教は仏教発祥の地・インドにおいて誕生しました。そのインドのお経とはどんなものだったのでしょうか?

それを詳らかにするために、ひとつの国宝を見ていきましょう。





・国宝 智証大師関係文書典籍
五、請来経典等 8種のうち
梵夾より
大日経真言・十二天真言(12枚)のうち4枚


園城寺(三井寺)所有の国宝。中国 唐時代(9世紀)の作。


会場では「国宝 梵夾」とだけしか書いていませんが、正確には、「国宝 智証大師関係文書典籍」からの出展です。

国宝 智証大師関係文書典籍は、昨年ユネスコの"世界の記憶"に選ばれた


ことが記憶に新しいですね(^_^)


後に天台宗延暦寺の座主にもなった、智証大師 円珍が唐から持ち帰った、貴重な文書類です。

これらは、7つのカテゴリーに分けられるのですが、その中に「五、請来経典等 8種」があります。その中の1種に"梵夾(ぼんきょう)"があるので、展示の品はこれですね~


古代インドでは、経典をヤシ類の植物の葉🌿に写し取っていたそうで、それを再現しています。

横長の紙で、スマホをひと回り大きくした位の大きさ。


全部で19枚(葉)あるようですが、展示されているのは、"大日経真言・十二天真言"が書かれた12枚(葉)のうち4枚(葉)でした。※つまり残りの7枚(葉)は"大日経真言・十二天真言"以外の何か。

目録には"展示替えあり"と書かれているので、期間中に残りの9枚(葉)も展示されるようです。



葉っぱ🌿を模した紙に沢山の"真言"が書かれています。サンスクリット語で書かれているので、横書きです。そこに注釈で「不動明尊真言」とか「降三世真言」「」と、漢字が付されています。

こんな感じ。よく見ると、中央左寄りに、小さな穴が開いてるのわかりますか?展示されている4枚(葉)ともに、穴が開いてるんですけど、これ、綴じ穴です。ここに紐を通して何枚か閉じておくためのものなんです。なんとも、中途半端な位置ですね~


こりゃ、珍しいものを見ました(^o^)





では、次に"密教"の根本経典とされるのが「大日経」と「金剛頂経」を見ていきましょう。

まずは「大日経」。

「大日経」は、陸路を通って唐に入ったインドの僧"善無畏(ぜんむい)"により漢訳され、唐にもたらされました。

真言八祖の一人ですね





・国宝 大毘盧遮那成仏神変加持経 (大日経) 7巻より
巻第三(巻き)
巻第四(巻き)

西大寺所有の国宝。奈良時代 天平神護2年(766年)の作。


巻第一は、巻末から70cmほどを展示していました。

ベージュの料紙に薄い"界線(かいせん)"が引かれ、楷書でダイナミックな書体で書かれています。

"界線"は、字を真っ直ぐ書くためのガイドライン

本文中に朱・白で訓点がたくさん書き込まれています。


実はこれ、称徳天皇の後宮に仕えた"吉備由利(きびのゆり)"が発願した一切経です。※吉備真備の娘?妹?


巻第三と巻第四は、巻かれた状態で展示されていました。

こちらの画像、手前で開かれているのが、巻第一。その奥に巻物が2巻あるのが見えますか?これが、巻第三と巻第四です。巻物の肩のところに「三」「四」の記載があります(^_^)



以上です。




次回は、第三章です(^_^)/~~