ふくやま美術館「正宗十哲」後編 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

前回 


からの続きです。


・国宝 脇指 銘 来国次
個人蔵所有の国宝。南北朝時代初期(14世紀)の作。
国宝指定名称は「短刀 銘 来国次」。
展示での名称が"脇差し"になっているのは、刀身の長さによるものです。
一般的に30cmまでのものを"短刀"、60cmまでのものを"脇差し"と、呼称するようです。
確かにこの"銘来国次"は、刀身が32.8cmと、僅かに30cmを超えるので、展示名を"脇差し"にしているのでしょう。(ちなみに国宝で"脇差し"の名称を持つものはありません)

作者の来国次は、来国俊の弟子。正宗十哲の一人です。
↑目釘孔は2つ。"来國次"の銘が切られています。
↑幅広の刀身の短刀で、太い棒樋(ぼうひ)を一本通し、そこに極細の樋(ひ)を一本添わせています。
↑刃文は大きく乱れ、"樋"と相まって、迫力満点です。

来国次、唯一の国宝です。




・国宝 太刀 銘 筑州住左 号 江雪左文字(こうせつさもんじ)
"太刀"なので、刃を下にして展示しています。
目釘孔が5つもあることから、かなり磨り上げられていることがわかります。
刀は、"柄(つか)"という"持ち手"に差して使います。じゃないと指切っちゃいます🩸
その"柄"と"刀身"を固定するのに、刀身に開けた穴、それが"目釘孔(めくぎあな)"です。この"目釘孔"に竹釘を差して、"柄"に固定するんです。
"目釘孔"が5つもある、と云うことは……磨り上げては短くなり、また新しく目釘孔を開ける、ということを何度か繰り返していることなんですね~
↑また、"茎(なかご)"に切ってある「筑州住 左」の銘にも特徴があります。"銘"は、鏨(たがね)を打ちつけて彫るので、直線的なものになりますが、こちらの"銘"は、流れるように流麗に切っていますね。

「筑州住 左」とは、今の福岡県の西"筑州"に住んでいた、"左"という刀工の作である。という事です。
この「"左"文字」は、相州正宗十哲の一人です。
"号"の「江雪左文字」は、北条家の家臣だった岡野江雪斎の愛刀だったことに由来します。

次に刃文を見ていきましょう。
太い"棒樋(ぼうひ)"を通してます。
↑刃元から中央にかけては、大きくのたれ、
↑刃先になると、穏やかに静まります。
↑先のモニュメントの足元。この波🌊は、江雪左文字の刃文を表しているのでしょうね。




・国宝 短刀 銘左/筑州住 号じゅらく(太閤左文字)
ふくやま美術館所有の国宝。南北朝時代前期(14世紀)の作。
国宝指定名称は「短刀 銘左/筑州住」。
先程の江雪左文字と同じ刀工、筑州左文字の代表作です。
↑長さ23cmの短刀で、目釘孔は2つ。
表に「左」の銘が切られています。
こちらの"銘"も、流れるように流麗に彫られてますね。
↑刃文は全体的に、小さく"のたれ"ています。

「正宗十哲」のうち、3口の国宝刀剣の紹介でした。
最近のふくやま美術館での刀剣の展示は、写真📷撮影可👌が多いので、良いですね。
レポートする時に画像が無いと、伝えづらいことが多いので、撮影可は助かります\(^o^)/
さて、次回はどこでしょう?

お楽しみに〜