ふくやま美術館「正宗十哲」前編 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

広島県は福山市にあります、ふくやま美術館へ、行ってきました(^_^)/

美術館に向かう途中には、先日設置されたばかりの、刀剣乱舞-ONLINE- 



が佇んでいました。平日朝で🌧雨だったからか、周りに誰もいず寂しそうでした(^_^;)
こちらでは、7件の国宝刀剣が展示されています。

・国宝 太刀 銘国宗
・国宝 短刀 銘国光 名物会津新藤五
・国宝 脇指 銘来国次
・国宝 太刀 銘筑州住左 号江雪左文字
・国宝 短刀 銘左/筑州住 号じゅらく(太閤左文字)

"正宗(まさむね)"は、鎌倉時代末期に相模国鎌倉で活躍した刀工です。

正宗以前は、山城国、備前国が刀の産地でした。山城国からは粟田口国綱、備前国からは三郎国宗を相模に呼び寄せたところから五家伝のひとつ「相州伝」は始まります。

まずは、その"正宗"に連なる先人たちの作を見ていきましょう。



・国宝 太刀 銘国宗
ふくやま美術館所有の国宝。鎌倉時代中期(13世紀)の作。
"太刀(たち)"なので、刃を下にしての展示です。備前三郎国宗の作。
↑目釘孔は3つで、"茎(なかご)"に「国宗」の銘が切ってあります。
元は、もっと長い太刀だったようですが、6cmほど磨り上げられているようです。
"樋(ひ)"は無く、シンプルな姿形。
刃文は薄くおとなしい印象。大小の丁字が交じるも、穏やかです。




・国宝 短刀 銘国光 名物会津新藤五
ふくやま美術館所有の国宝。鎌倉時代末期(14世紀)の作。

こちらは、細身の"短刀"ですね。
享保名物帳に載る"名物 会津新藤五"。
鎌倉時代 鎌倉に住んでいた刀工 国光の作。相州伝の祖、"正宗"の師でもあります。
↑目釘孔は1つ。茎に「國光」の銘が切ってあります。
↑刃文は、ゆらぎが無いく真っ直ぐで、静かな水面のような"直刃(すぐは)"です。


これら、国宗、国光を師として、正宗が現れます。
そして、徳川吉宗が作らせた「享保名物帳」に載る168口のうち、41口を正宗が占めるほどになるのです。

正宗の特徴は、"のたれ"を基調とし、大小の互の目を交えた、豊かなで変化に富んだ刃文です。

それでは、正宗の作を見ていきましょう(^_^)/





林原美術館所有の国宝。鎌倉時代(14世紀)の作。

こちらは、写真撮影禁止🚫です。

厚みのある短刀で、目釘穴は2つ。
無銘(刀身に銘が切られていない)ながら、享保名物帳に「名物 九鬼正宗」として載っており、"正宗"の作と極められています。
その名は、志摩国 鳥羽藩主 九鬼守隆が所持していたことに由来します。

壁面展示だったので、表面しか見られませんでした。表面には樋はありません。(裏には短く細い樋が一本通っています)

刃文は、大小の具の目が交じった"のたれ"。刃元はおとなしいが、刃先に向かって華やかに躍動していきます(^o^)
マグマのような"にえ"がスゴイです。見にくいですが、角度を変えながら見てください。




正宗を、もうひと振り……





永青文庫所有の国宝。鎌倉時代(14世紀)の作。

こちらも、写真撮影禁止🚫なので、ポスターで見ていきましょう。
長さ20cmほどの短刀です。刀身は太く、5cmほどあります。故に"包丁🔪"のように見えるため"庖丁正宗"の異名を持ちます。
↑刃文は大きく"のたれ"、刃元から"耳たぶ"のような"互の目"が四つ見られます。

目釘孔は1つ 。"茎"に"銘"はありません。(無銘です)  
表には、鍬形付きの"宝剣"が彫られています。裏は梵字が彫られているようですが、壁面を背にした展示のため、残念ながら裏は見えません(^_^;)


正宗の紹介が終わったところで、次回は、この特別展のタイトルにもなっている正宗の弟子たち「正宗十哲」の作品を紹介しま〜す(^_^)/~~