東博「本阿弥光悦の大宇宙」は3/10(日)まで | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。


で開催中の特別展「本阿弥光悦の大宇宙 


」のレポートです(^o^)
レポートが遅くなってスミマセン……
こちらの展覧会に出展されている国宝は、以下のとおりです。

・国宝 舟橋蒔絵硯箱(本阿弥光悦作)
・国宝 刀 無銘正宗(観世正宗)
・国宝 刀 金象嵌銘城和泉守所持/正宗磨上本阿
・国宝 短刀〈銘備州長船住長重/甲戌〉
・国宝 平家納経より
蔦蒔絵唐櫃

6件のうち4件が"刀剣"ということで、本阿弥家が刀剣の鑑定を行う家柄だったことが良くわかりますね。

それでは、1件ずつレポートしま〜す(^_^)


まずは、展覧会のキービジュアルにもなっている、こちらから。



・国宝 舟橋蒔絵硯箱(本阿弥光悦作)

東京国立博物館所有の国宝。江戸時代 (17世紀)の作。
出典:ColBase
独立展示ケースで、展示されていました。ぜひとも、くるくる回って360°から見て下さい。

三角おにぎり🍙みたいな、独特の形をした硯箱で、中には硯や水差しが入っています。(ただし、蓋をしたままの展示なので中を見ることはできません)
全体に、密に金蒔絵を施した"沃懸地(いかけじ)"という手法が使われています。磨きはマットに抑えられているので、シブイ印象。
出典:ColBase
↑舟が4艘並んでいるのわかりますか?
その上を黒く渡っている「橋」。
黒く変色してしまっていますが、鉛の板が貼り付けられていて、これで「舟橋」に見立てています。おにぎり🍙の海苔みたいですね(^_^;)
出典:ColBase
↑黒い部分が、アーチ型の橋に見えますよね。
↑また、細かいですが"水面の波🌊"にも着目。
"付描(つけがき)"という手法が使われています。

そして、硯箱全体に"銀"で作った板文字が散らされています。
↑この文字は「後撰和歌集」の「東路の 佐野の"舟橋"かけてのみ 思ひ渡るを 知る人ぞなき」から取ってあるそうです。
"舟"と"橋"が抜けていますが、これはモチロン図柄が代用しています(^o^)

本阿弥光悦のアバンギャルドなデザインセンスが光ります!




・国宝 刀 無銘正宗(観世正宗)
↑過去に東博で撮影したものです。
東京国立博物館所有の国宝。鎌倉時代(14世紀)の作。

太い棒樋(ぼうひ)を一本通した、刀(打刀)です。"鎺(はばき)"付きで展示されていました。
↑"棒樋"というのは、太めの"樋(ひ)"のこと。"樋"とは、刀の"みね"側にある溝のことです。軽量化のためとか、人を斬った時の"血の流れ道"とか、言われてますが、私は装飾だと思ってます。
↑刃文は、ゆったりとした"のたれ"。
↑目釘孔は2つ。"棒樋"は茎(なかご)にまで続いているので、この位置からすると、かなり摺り上げられてそうです。(元はもっと長い刀だったものを、磨り上げて短くしたと考えられます)
↑"樋"の中には、なんと梵字と宝剣が彫られています。("茎"の裏は、梵字と倶利伽羅龍が彫られているそうですが、壁面展示のため見ることはかないませんでした)

本阿弥家が、"別格"の評価をした逸品です。




・国宝 刀 金象嵌銘城和泉守所持/正宗磨上本阿

colbase より
東京国立博物館所有の国宝。鎌倉時代(14世紀)の作。

本阿弥家の9代目光徳により、鑑定されたものです。
↑それを、金の象嵌(ぞうがん)で証明しています。「正宗磨上本阿」とあるのは、「刀工正宗の作であると本阿弥光徳が鑑定した」証明です。

"樋"は無く、目釘孔は1つ。
刃文は、ゆったりとした"のたれ"です。





個人所有の国宝。南北朝時代 建武元年(1334年)の作。

レア国宝です\(^o^)/

個人所有の国宝は、なかなか展示されないので貴重です。私はこの国宝を見るために、東京行きを決めました!

長重(ながしげ)は、備前長船(びぜんおさふね)で活躍した刀工で、備前伝に相州伝を取り入れた"相州備前"の名手、だそうです。

本阿弥光徳唯一の"指料"と伝わります。つまり、光徳が実際に身に着けたもの……ということですね。

長さ26cmほどの短刀で、直線的な一振り。
霞がかった刃文で、目釘孔は1つ。
"茎"に「備前長船住長重」の銘が見えます。(茎の裏には「甲戌」の銘が切られているようですが、見えません)





徳川美術館所有の国宝。鎌倉時代(13世紀)の作。

鎌倉時代(13世紀)の作です。

三代将軍 徳川家光が、娘の千代姫の結婚相手 尾張徳川家 光友に贈った、祝いの短刀です(^_^)

長さ28cmほどの長細い短刀。
"茎"に4つの目釘穴と、"吉光"の銘が切ってあるのが見えます。

粟田口派の刀工 藤四郎吉光の作で、自分の作品の証明として、自らの名「吉光」を刻んでいます。
じゃあ、"後藤"は?というと、これを所持していた"後藤庄三郎光次"という人物からとっています。それが、流れ流れて家光→光友の手に渡ったんですねぇ。

刃文はゆるく乱れてますが、遠目から見ると直ぐ刃。
見る人が見ると「吉光の作としては珍しい乱れ刃だ」となるそうですが、私にはよくわかんないですf(^_^;




・国宝 平家納経(厳島神社)より
蔦蒔絵唐櫃

今回、国宝の平家納経は出展されていません。出展されているのは、国宝 平家納経を構成する内の1つ、「蔦蒔絵唐櫃」です。

わかりにくいですね(^_^;)
詳しく話します。
国宝 平家納経は、
法華経(開結共)30巻、阿弥陀経1巻、般若心経1巻、平清盛願文1巻の計33巻
金銀荘雲龍文銅製経箱
蔦蒔絵唐櫃
で構成されています。

今回の展覧会では、そのうちの「蔦蒔絵唐櫃」が展示されていたわけです。上記の3点で1セットとすると、経箱も唐櫃(からびつ)も見ないとね❤(^o^)

では、レポートします。


蔦蒔絵唐櫃(つたまきえからびつ)

厳島神社所有の国宝。桃山時代 慶長7年(1602年)の作。

平家納経が補修された際に、奉納されたものです。俵屋宗達が関与したと考えられています。
黒漆塗りで、蔦(つた)の金蒔絵が施されており、平家納経を納めるに相応しいものです。脚は4本ですが、唐櫃の角(かど)ではなく、各辺の中央から生えてます。


ただ、こちらの展覧会で良かったのは、重要文化財の鶴下絵三十六歌仙和歌巻でした✨
俵屋宗達が下絵を描き、そこに本阿弥光悦が和歌を書いたもので、ほぼ全巻展示でした☺
これは、圧巻でしたね~
こちら、京都国立博物館所有の重要文化財で、私も京博で数回見ていますが、いつも部分展示だったんですよ。それが今回全巻展示され、その全貌の素晴らしさに驚きました\(^o^)/

残念ながら、3/10(日)までで終了です。
お近くの方は、ぜひ足をお運びくださいね😊