特別展「中尊寺金色堂(前期)」後編@東京国立博物館 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

前回 


からの続きです(^_^)


写真📷撮影可だった、金色堂の縮小モデル。
↑内部も、螺鈿装飾のきらびやかな巻き柱や、折上げ格天井まで、正確に再現されていますね〜
↑裏はカットモデルになっていて、内部構造をうかがい知る事ができます。


さて、今回は、中尊寺の子院が所有する国宝をレポートします(^_^)/



中尊寺地蔵院所蔵
・国宝 孔雀文聲

↑こちらは拓本です(Wikipedia より)
鎌倉時代 建長2年(1250年)の作。

16×30cmほどの、大ぶりの立派な"磬(けい)"です。
"磬"は法要の際、お坊さんが打ち鳴らす法具です。
中央の"撞座(つきざ)"に蓮華文。その左右に向かい合う孔雀が表されています。よく見ると、孔雀は花を咥えていますよ。
左右にそれぞれ銘が刻まれており、左には「建長二年毛越寺千手堂」右には「奉施入」とあり、毛越寺から地蔵院に贈られたもののようです。
わりと金が残っていて、鈍く光っています。


が、今回の展示会のために出張してきたようです。



大長寿院所蔵
・国宝 紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図(10幀)より

平安時代(12世紀)の作。

奥州藤原の祖 清衡(きよひら)あるいは、二代秀衡(ひでひら)が作らせたもの。
全10幀あり、今回展示は第三・七幀の2幀です。
140×55cmほどの大型のもので、パネル貼り付けのうえ額装され、2幀並べて展示されています。(画像の右が第三・左が七幀)

これ、すっごく変わってるんです。
紺紙に金泥で、宝塔を描いているんですが……
"金光明最勝王経金"というお経を金の文字で、塔の形に書いているんですよ!

お経は、塔のテッペンから始まり、初層でうまいこと終わってます。
十重の塔に見えますが、九重の塔です。一番下は"裳階(もこし)"でしょう(^_^;)

絵の最上部中央には、扁額が描かれていて、そこに「最勝王経 第○」と書かれています。"巻"じゃなくて"塔"……シャレてますね〜(^o^)

その塔の周囲には、小さく細かくたくさん絵が描かれています。そのお経に関する仏教説話が描かれているんですね。第三幀の塔の初層左側には、弓矢で人を射る人物、首をハネられて死んでる人が描かれています。どんな逸話なんだ……

保存状態も良く、キレイに残っています。ちなみに、国宝指定は"絵画"のジャンルで指定されています。



・国宝 紺紙金字一切経(中尊寺経)(2739巻)より


・附漆経箱(275合)より
巻下経題「大般若経三百内八帙」


平安時代(12世紀)の作です。


国宝指定名称は"紺紙金字一切経〈(内十五巻 金銀交書経)/〉"。


藤原清衡(ふじわらのきよひら)の発願により書写され、「中尊寺経」と呼ばれるお経。

中尊寺に全巻あったのですが、その多くを豊臣秀次が高野山へ持ち出してしまいました。そのため「中尊寺経」という名前とは裏腹に、大半は高野山の金剛峯寺で所蔵(4296巻)され、国宝に指定されています(^_^;)


今回は、中尊寺の子院 大長寿院が所有する内の2巻を、巻頭80cmほど展示しています。


濃紺に染めた紙に、一行ずつ金銀と色を変えて書かれています。銀字は酸化によりくすんでいますが、金字はピカピカです。金泥で書かれた後に、猪のつのを使ってこするんです(^o^)すると、金字の表面の凸凹が平滑(ツルツル)になるので、このピカピカ感が出るんですねぇ(^-^)

では、1巻ずつ見ていきましょう。




巻中50cmほどを展示。

紺紙に金泥で界線を引き、行ごとに金泥・銀泥で交互にお経を書いています。巻中なので、巻頭にある"見返し絵"は見えませんが、平安時代に書かれたものとは思えないほど、キレイに残っています。こちらは、金銀字ともにキレイで、これぞ"金銀字経"です✨



巻頭から50cmほどを展示。

巻頭からの展示なので、金泥で描かれた"見返し絵"を見ることができます。

紺紙に金泥で界線を引き、行ごとに金泥・銀泥で交互にお経を書いていますが、残念ながら銀泥で書かれた文字は、退色してしまっています。



・附漆経箱(275合)より
巻下経題「大般若経三百内八帙」

「中尊寺経」を納めるための"経箱"も展示されていました。

国宝附けたりの漆塗経箱275合から、1つです。黒漆塗りの箱で、側面に内容が書かれたインデックスがあるのですが、なんと文字を螺鈿で書いています(^o^)

シンプルだけど贅沢ですね。





レポートは、以上です。


本館5室のみの小型の展覧会でしたが、大型の5Kスクリーンによる金色堂内のVRや、11体の仏像彫刻も、実物の金色堂では絶対に行けないところまで、近づいて鑑賞できるまたと無い機会ですよ。


ただ、値段がチョットお高め💸なんだなぁ……(^_^;)