四天王寺で国宝 扇面法華経冊子(才子訪佳人図)を見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。


へ、行ってきました(^_^)/
〜2/4まで開催していますが、展示される国宝が時期によって異なりますので、注意してください。

・国宝 扇面法華経冊子
無量義経 「才子訪佳人図」(〜1/14)
・国宝 懸守より
松喰鶴文(〜1/17)
・国宝 四天王寺縁起〈根本本/後醍醐天皇宸翰本〉(〜2/24)

現時点は、3件4点と多めの展示です(^o^)

私は、扇面法華経冊子目当てで訪問しました(^_^;)


では、レポートします。



・国宝 扇面法華経冊子
無量義経 「才子訪佳人図」(〜1/14)
平安時代の作。

四天王寺で保有するのは次の5冊、
「法華経」巻一
「法華経」巻六
「法華経」巻七
「無量義経」
「観普賢経」
です。
今回は、その中「無量義経」の帖から1場面「才子訪佳人図」の展示です。

見て分かるように扇面法華経冊子とは、扇形の料紙にお経が書かれたもの。
いわゆる"装飾経"の一種です。
この時代、お経を豪華に飾り付けることが「功徳を得ること」と考えられていたため、高級貴族などはこぞって豪華にデコったお経を奉納しています。平家納経📜などがその代表ですね。

"扇面法華経冊子"は"冊子"と名がついているように、
青線部分で、パタン📖と折り畳めるんです。

それでは、細かく見ていきましょう(^_^)/
まずは、お経の文字です。
↑扇形ゆえに、上の方は大きな字で
↑下の方は小さな字で書かれています。
こうやって、扇の要(かなめ)の方に行くに従って字を小さくしないと、キレイに収まりません。
同じ大きさで書くと、下の方では字が重なっちゃいますからね~
また、お経は墨書するので、絵の黒い部分と重なると見えなくなってしまいます。そうならないように、
↑烏帽子の黒い部分の文字は、金泥で書いてあります。

次に料紙装飾を見ていきましょう。
で囲んだ部分に、金箔銀箔を大きめにちぎった"ちぎり箔"
金銀箔を、さらに細かくアラレ状にした"アラレ箔"。
↑さらに、金銀箔をファイバー状にした"野毛(のげ)"。
少々やり過ぎ感がありますが、"見やすい"ことよりも"豪華"にすることに注力していますので、仕方がないです💦

次は、描かれている"絵"を見ていきましょう。

「才子訪佳人図」とありますので、良家の娘さんのところに、イケメンがやってきて、ここから恋❤が始まる……てな感じでしょうか。

画面左右で対比するように、女性と男性が描かれています。
↑画面左は、屋敷・女性ともに細い線で描かれていますが、画面右は線を太く強調した対比になっています。

まずは、左の女性から見ていきましょう。平安時代の女性なので、屋敷の中、御簾(みす)の向こうにいます。
↑引目鉤鼻で描かれ、扇を広げて持ってますよ。
↑画面右の男性は、籬の隙間から、屋敷を覗いています。
これは、「覗き見❎」じゃなくて「かいま見⭕」(^_^;)
この当時の、男女の出会いの典型です。(今でいうと、「遅刻、遅刻ぅ〜」とパン🍞を咥えて走ってると、出会い頭にバーン!とぶつかって、そこから恋が始まる的な……)
↑男性は、左手に扇に注目!扇は閉じてますよね。

男性は扇をパチンッと閉じて、合図を送ると、
女性は扇を開いて応えた。

と、考えると、二人の気持ちは通じ合ったんじゃないでしょうか?
これから恋が始まる予感です〜〜
↑また、籬の右端にいる小鳥にも注目。これはウグイス🐦で恋の歌を歌っているのかも?

"お経"という、難しくお固いものなのに、カジュアルな恋愛模様が描かれているのが、この扇面法華経冊子の良いところです。
別の場面では、市中の人々の生活場面 


が描かれていたりして、他の装飾経にには無いカジュアルな部分があって、好きな国宝です。

扇面法華経冊子のレポートは、以上です。1/14までの展示です。



次回へ続きます(^_^)/~~