国宝 屏風土代(後半)@三の丸尚蔵館 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

🎍新年明けまして🌅おめでとうございます~🎍


国宝探訪も年を重ね、未見の国宝も減ってきました(^_^)

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。

すでに見たものが786件。87%ってとこでしょうか。(まだカウントしてないのもありますが……)


最近は国宝美術工芸品のみならず、国宝建築物にまで手を広げて、訪問していっています。


ただ、肉体の経年劣化みたいなのを感じるようにもなってきてるんですよね(^_^;)

まぁ、健康第一で睡眠を多く取るのを今年の目標にしようかな?


また、仕事ややる気の兼ね合いもあって、訪問とブログアップに時間差が生じ、タイムリーじゃなくなってきてます(^_^;)この辺は課題ですね~



と、いうわけで本年第一弾のレポートも、古いレポートになっちゃってます……

三の丸尚蔵館 で開催中の、『皇室のみやび ー受け継ぐ美ー 


』 のレポートの続きです。

すでに昨年12/24で、第一期は終了してしまいましたm(_ _)m



・国宝 屏風土代 小野道風筆(後半部分)

平安時代 延長6年(928年)の作。

平安の"三跡(さんせき)"のひとりで、世尊寺流の祖 小野道風の筆です。
"三跡"とは、平安時代の字の上手い人トップ3のこと。藤原佐理・藤原行成そして小野道風です。

"小野道風"については、前半部分のレポート 


をご参照ください。

その小野道風が、醍醐天皇から宮中の屏風の作成を依頼されます。その屏風の下書きが"屏風土代"。"土代"は下書きって意味だそうです。
醍醐天皇の命により作成されることになった屏風。そこに貼り付ける"色紙形"に、漢詩を書くよう大江朝綱が仰せつかります。
大江朝綱は、七言律詩と呼ばれる漢詩を8首と、七言絶句3首の合計11首を書き上げました。
その漢詩を清書したのが、小野道風です。"色紙形"そのものではなくて、屏風に書く前の"下書き"なので、巻き物形式です。
展示は巻末から2m弱を展示しています。
漢詩は、6首目からの展示です。

訳は、Google翻訳をベースに、私がさらに意訳した、ポンコツ翻訳です(^_^;)
⑥林塘避暑
入林斗薮満襟埃 看取香蓮照水開
池上交朋唯対鶴 樹間鋪設不如苔
境閑客熱辞身去 葉密松風払面来
何必古時河朔飲 残盃更被晩蝉催
(林塘にて暑さを避ける
森に入って池を目指そう、そして水の中に咲く香り高いユリを眺めよう。
この池にいるのは、私と鶴だけ。森の木々の間は苔むしている。
鶴は急ぐように飛び立った、松の葉が風に飛ばされる。
昔はなぜ川で水を飲んだのだろう、割れた杯が蝉に追いかけられる様に転がっているよ。)
⑦山中自述
碧峰遁迹臥松楹 謝遣喧喧世上栄
竜尾旧行応断夢 鶴頭新召不驚情
商山月落秋鬚白 穎水波揚左耳清
唯有池魚呼後至 各随次第自知名
(山で人生を顧みる
緑の美しい山々には、松が並々と並んでいる。今までの人生の、様々な出来事に感謝しよう。
私の旅と夢は終わったようだ。もちろん、これからも色々な出来事が起こるだろうが、驚くことじゃあない。
月は山に沈み、秋には髭が白くなるように、これからも歳を重ねていくだろう、穏やかな水の波音が耳を清めるようだ。
池の中の魚だけが波音を追いかける。そして、人は自分の意志で歩むものだろう。)

⑧送僧帰山
一自方袍振錫行 別師還媿六塵情
雖観秋月波中影 未遁春花夢裏名
谷静纔聞山鳥語 桟危斜踏峡猿声
夜深莫歎迷帰路 定有霜鍾度嶺鳴
(先生を送り、山で別れる
衣が錫杖とともに揺れ、また先生が考えごとをしている。
秋月に波の影を見、夢の中で春の花も見たけれど、その名を思い出すことはできなかった。
渓谷が静かなときだけ、山鳥のさえずりや猿たちが谷を横切る音を聞くことができる。
夜中に道に迷っても、ため息はつかないようにしよう。山々に霜の鐘が鳴り響く。)

続いて、七言絶句3首です。
①問春
山吐雲晴樹競粧 高低無処不添光
再三請問得知否 何故猶残鬢上霜
(春に問う
山々には雲が咲き、清らかな木々が競い合い、高いところも低いところも、すべて光に覆われています。
なぜ、私のこめかみに、まだ霜が付いているんだろう?何度でも聞きたい。教えておくれ。)

②楼上追涼
煩熱蒸人不異炊 登楼凜然還有衣 (登楼快被遠風吹)
凜然還有衣裘想 安用袁宏一扇為
(涼を求めて楼上に登る
暑さで、料理ができないよ。階段を上るときは服を着ているのさえ嫌だ。(でも、階段を登った瞬間、遠くからの風に飛ばされそうになる。)
まだ服のことを考えながらも、服を扇代わりに利用している。)

③七夕代牛女
独坐青楼漏漸深 支頤想像暁来心
風従昨夜声弥怨 露及明朝涙不禁
(七夕の牛女
売春宿で​​一人座っていると、だんだんと想像に胸が膨らみます。
昨夜の女は牛女、最悪だったぜ。明王朝を恨んでやる。)


以上です。


また、下書き故に、文字を書き比べているところもあります。

その他、小野道風が加えたものか?はわかりませんが、七言絶句の②楼上追涼の一文
凜然還有衣を、快被遠風吹としている所があって、興味深いです。

全体を眺めてみると、そんなに字が上手いとかキレイって感じしないのですが、文字1つ1つ見ると、ヤッパリ上手い!キレイ!です!!

下書きで、あってもね(^_^)

主に行書で書かれていて、たまに草書を交ぜているという感じです。
書かれている漢詩は、大江朝綱のもの。小野道風が考えたんじゃなくて、大江朝綱の詩を清書しただけなんです。それでも、国宝にまでなっているんだから、凄いですねー。

同じ国宝で小野道風の書いた、国宝 三体白氏詩巻 


は、本番オリジナルなので、やはりキレイに書いてますよね。


でも、やっぱり全巻まるまる展示して欲しかったなぁ(^_^;)



と、言うわけで今年もよろしくお願いします\(^o^)/