国立歴史民俗博物館で、国宝 宋版史記(黄善夫刊本)を見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

千葉県にあります国立歴史民俗博物館 


へ、行ってきました(^_^)/

と、いうか、年末に行ってました……

こちらの常設第2展示室では、所蔵の国宝を常時1点展示しています。
国立歴史民俗博物館には、5件の国宝があります。
国宝 宋版史記(黄善夫刊本)
国宝 宋版漢書(慶元刊本)
国宝 宋版後漢書(慶元刊本)
国宝 額田寺伽籃並条里図
国宝 後宇多院宸記〈(文保三年具注暦)/御自筆本〉
の5件です。
その中でも、史記・漢書・後漢書は常時いずれか1点は展示されています。

一方で、国宝 額田寺伽籃並条里図と国宝 後宇多院宸記は見たことがありませんし、「展示された」と聞いたこともありません(^_^;)この2つはレア国宝です。
↑場所はこちら第2展示室の「印刷文化」のコーナー。



それでは、レポートします。




・国宝 宋版史記(黄善夫刊本)90冊より
巻四二

南宋時代 慶元年間(1195〜1201)の作。

宋版史記の現存最古本で、全巻揃っているという貴重なもの。
全90冊あり、今回は"巻四二"を展示しています。

"史記"というのは、中国前漢の武帝の時代に、司馬遷によって編纂された、古代中国の歴史書です。

今回展示のものは、南宋時代に作られた木版印刷本ですが、保存のために1500年代に装丁し直されています。
↑新しい大きめの台紙に、オリジナルの史記の本文が、ずいぶん端に寄せて貼られていますね。
これは、元々袋とじだったオリジナルの史記のページを開いて、大きな台紙の中央に貼り付け直したためです。
そして、この台紙を中央で折って、袋とじにし、糸綴じの冊子本に装丁しています。
オリジナルと同じ大きさの台紙にすれば、良かったのにね(^_^;)
↑袋とじになってるの、わかるかな?
赤表紙で、糸綴じの冊子本なのもわかりますね。


"史記"は、本紀(帝王の事績)・表(年表)・書(制度沿革)・世家(諸侯の系譜と事績)・列伝(人物伝)の五部に分かれますが、この"巻四二"は「世家」にあたる部分のようです。

↑一部欠損してますが、「晋丗家 十四」とあります。

また、この本はオリジナルの"史記"に注釈を3つ(集解・索隠・正義)も加えた"三注合刻本"だそうです。
ちなみに、"集解(しっかい)"は宋の時代の注釈、"索隠"は唐の時代の注釈、"正義"も唐の時代の注釈です。
(集解注釈の史記は杏雨書屋でレポ 


しましたね)
それがすべて網羅されているんですね~
文中にもそれが示されています。
史記の原文は、一行で書かれていますが、注釈は界線内に二行で書かれています。
↑ご覧のように、"索隠"の注釈は「索隠曰く……」と書かれ、"正義"の注釈は「正義曰く……」と書かれています。


漢文で書かれているので、何が書いてあるか?サッパリわかりませんが、外形からでも、わかることが色々あってオモシロイです(^o^)


レポートは、以上です。1/8(祝)までの展示ですが、引き続き違う巻が出展されるでしょう。





国立歴史民俗博物館 は、日本の歴史を網羅的に学べる工夫がされています。

特に立体展示物を多用しているので、目で見てわかりやすいですね。
↑藤原道長も住んでいたであろう、東三条殿の予想復元模型。

国立歴史民俗博物館は、じっくり見て回ると、時間が足りなくなってしまいますよ~(^_^;)