「皇室と石川―麗しき美の煌めき―」刀剣編 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

前回 


からの、続きです。

今回は、刀剣編です。


」では、国宝の刀剣は2件通期で展示されています。


・国宝 剣 銘吉光 粟田口吉光作【〜11/26】

です。

では、1つずつレポートします。


が、その前に……
今回は、たまたま"刀"と"剣"、両方が展示されているので、チョットだけ豆知識(^_^)

"刀(かたな)"
日本人にはお馴染みの、時代劇のチャンバラで使われるヤツです。
包丁と同じように、片方にだけ"刃"がある"片刃"です。基本的に"反り"があって、緩やかに湾曲しています。
古い時代(聖徳太子の頃)のものは、この"反り"が無い"直刀"もあります。
平安〜鎌倉時代は帯から紐でぶら下げていました(佩刀という)。この場合"太刀(たち)"と呼び、刃を下にして佩きます。
それ以降の時代では、帯に差すようになります。その場合"刀(かたな)/打刀(うちがたな)"と呼び、刃を上にして差すようになりました。

"剣(つるぎ/けん)"
ヨーロッパに多く、代表的なのはアーサー王の剣「エクスカリバー」。両方に刃がある"両刃(もろは)"の剣です。
日本では、古墳時代のものが多いです。

てな感じで、後は展覧会のレポートを……




・国宝 刀 無銘正宗 名物太郎作正宗【通期〜11/26】

前田育徳会所有の国宝です。鎌倉〜室町時代(14世紀)の作。

銘はありませんが、その作風から刀工 相州正宗の作と目されています。
徳川家康の家臣 水野太郎作正重が所有していたため、この名がついています。
水野太郎作正重は16歳の時、桶狭間で水野忠重とともに、水野信元の元で戦いました。
姉川の戦いでは、兜の上から敵の頭を叩き切った……と伝わります。
名物太郎作正宗の刃を、す~っと眺めていると、欠けた箇所があります。この時に欠けたのでしょうか?
享保名物牒に記載され「名物」となっています。

"刀"なので刃を上に向けての展示。
身幅が広くたくましい印象。根元から切っ先まであまり太さが変わりません。反りが少なく、太い棒樋を一本通してます。
樋は茎(なかご)まであるので、元々は今よりも長く、擦りあげられて今の長さになった事が見て取れます。

茎(なかご)に銘は無く、目釘穴はひとつ。

刃文は遠目に見ると、真っ直ぐな直刃(すぐは)に見えますが、よく見ると具の目調で、小さく乱れています。




・国宝 剣 銘吉光 粟田口吉光作【〜11/26】

Wikipedia より
白山比咩神社所有の国宝で、鎌倉時代(13世紀)の作。

徳川家光の養女 大姫が、加賀藩4代の前田光高へ嫁いだときの持参品。
その大姫が亡くなった際、息子の5代前田網紀がその菩提を弔うため、白山比咩神社に奉納したものです。

粟田口(藤四郎)吉光の作刀。
”剣”なので、両刃。両刃の小刀です。
両面の鎬(しのぎ)の上に、細い樋が入っています。刃文は直刃。
日本刀剣史上、著名な「剣」だそうですよ(^_^)

石川県立美術館に寄託されているようで、わりと頻繁に展示されます。


次回は、絵画編です。