へ行ってきました(^_^)/
展示されている国宝は、
第四残巻
・国宝 刀 無銘正宗 名物太郎作正宗【〜11/26】
・国宝 剣 銘吉光 粟田口吉光作【〜11/26】
・国宝 春日権現験記絵より
巻八【〜11/26・場面替えあり】
・国宝 動植綵絵 伊藤若冲筆
群鶏図【〜11/5】
薔薇小禽図【〜11/5】
の、6件8点です。
今回から複数回に分けてレポートします。
今週末(11/5)までの、期間のものが多いので、展示が終わってしまうかもしれませんが、ご容赦ください(^_^;)
では早速始めましょう〜
第四残巻
三の丸尚蔵館所有の国宝。平安時代(12世紀)書写のもの。
今回は、皇居三の丸尚蔵館所有のものと、加賀百万石前田家所有のものを対比する形での展示が多く、この万葉集もその1つ。
"金沢本"と名が付いていることからもわかるように、元は前田家所有で皇室に献上されたものです。
「巻第二」と「第四残巻」の2冊があるのですが、両方とも展示されてました!\(^o^)/
これが何気に良いですね!
1冊だけの展示だと、どっちを見たのか分からなくなるんですよね~
「巻第二」「第四残巻」の2冊に分かれていますが、どちらも書写したのは、藤原定信。平安の三蹟の1人藤原行成を祖とする、世尊寺流の能書家です。
で、これが達筆過ぎて、まぁ読めない(^_^;)
縦20✕横13cmほどの冊子本で、キレイな和製唐紙を使用し、粘葉装(でっちょうそう)
で装幀されています。
"唐紙(からかみ)"というのは、キレイな装飾がされた舶来製の"紙"の事です。それを真似て、日本で制作した紙が使われています。
「巻第二」は厚さ1cmほど、「第四残巻」は5mmほどです。
つぎは、書かれている内容を見ていきましょう。
「巻第二」はキービジュアルにもなっています。
クリーム色の料紙に、白く浮き出るように、唐草がデザインされています。
"雲母摺(きらず)り"と呼ばれる技法で、糊で唐草の絵を描いて、その上に雲母の粉を撒いています。
そのため、角度を変えながら見ると、キラキラしています✨
そこに藤原定信が、漢字と平仮名で万葉集を書写しています。
構成として、①誰が誰に贈った歌か?②歌を漢字で書く③歌を平仮名(連綿)で書く、を繰り返しています。
「巻第二」で開かれているページでは、三種の歌が書かれています。
⑴
①「鏡王女奉和女歌一首」
この前のページに、天智天皇(中大兄皇子)が鏡王女へ贈った歌があり、それに対する"返歌"となっています。
②「秋山之 樹下隠 逝水乃 吾許曽益目 御念従者」
③「あきやまの このしたがくり ゆくみづの われこそまさめ みおもひよりは」
意味は、
(秋山の、樹の下に水が流れていきます。あなたの私を思ってくださる想いより、私のあなたへの想いの方が強いですわ。オホホ)
みたいな感じでしょうか?気の強い女ですね~(^_^;)
⑵
① 「内大臣藤原卿娉鏡王女時鏡王女贈内大臣歌一首」
女から男への歌です。鏡王女が内大臣藤原卿へ贈ってます。この"内大臣藤原卿"ってのは、あの藤原鎌足!です。
②「玉匣 覆乎安美 開而行者 君名者雖有 吾名之惜」
と、書いてます。ポスターでは切れちゃって、その後は見えませんね。
③「たまくしげ おほふをやすみ あけていなば きみがなはあれど わがなしをしも」
意味は、
(「化粧箱の蓋を閉めとけばいい」と言って、あなたは夜明けに帰るけど、それはあなたが男だから。女の私に"浮き名"が立つのは困ります)
って感じ。
ようは、「男性が来てくれるのは嬉しいケド、暗いうちに帰って欲しいわ……朝方に帰られると人に見られるじゃない😠」とプンプンしてますね。
この見開きページには、もう一首あります。
⑶
①「内大臣藤原卿報贈鏡王女歌一首」あの藤原鎌足が、鏡王女に贈った歌とされています。お互いに歌を贈りあってるんですね~
②「玉匣 将見圓山乃 狭名葛 佐不寐者遂尓 有勝麻之」
③「たまくしげ みむろのやまの さなかづら……」と次のページに続きます。
意味は、
(御室山の"サネカヅラ"じゃないケド、おまえと寝ないで、帰れる訳無いじゃない)
"サネカヅラ"はツル性の植物。ベッドで絡み合いたい……と言ってる訳です(^_^;)"小寝(さね)"とも掛けて書かれていて、藤原鎌足エロいな(^_^;)。
それにしても、鏡王女って、天智天皇(中大兄皇子)と藤原鎌足を手玉に取ってて、なかなかの女ですね~
ここに蘇我入鹿が入ってたら、完璧だったのにな。
「第四残巻」の方は……
達筆過ぎて、読めなかったです。スミマセン😢
前田育徳会所有の国宝です。平安時代(12世紀)書写のもの。
先の、前田家が皇室に献納したものの残りです。すべてを献納したのではなく、少し残しておいて「皇室に奉納した」という証拠を残しておいたんですね。
なので、基本的に三の丸尚蔵館本と同じもの。
「巻第三・第六残巻」とありますが、冊数としては"1冊"です。
見開きページは、雲母摺りで"続き七宝文"が表された、キレイなデザインです。
内容は、最初は長歌の後半なので、これは省き、
「反歌二首」から見ていきましょう(^_^)/
ここに書かれているのは山部赤人の歌です。
まずは最初の一首。
⑴「奥嶋荒礒之玉藻潮干満伊隠去者所念武香聞」
「おきつしま ありそのたまも しほひみちい かくりゆかば おもほえむかも」
(沖の島の藻は、潮が満ちて隠れてしまうと、どうなっちゃうの?)
⑵「若浦尒塩満来者滷乎無美葦邊乎指天多頭鳴渡」
「わかのうらに しほみちくれば かたをなみ あしへをさして たづなきわたる」
(若の浦に潮が満ちてくると、干潟が海水に覆われちゃうので、鶴は葦辺に向かって鳴きながら飛んでくよ)
この後は、別の歌人の長歌が書かれます。
次回は、刀剣編です。