「大徳寺 方丈」京都府文化財建造物修理現場公開2022 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

さる、11/5(土)6(日)に、京都府文化財建造物修理現場公開2022 


にて、「大徳寺 方丈」の修理現場公開が行われたので、そちらに参加しました(^_^)

12:30頃に着いたのですが、既に長蛇の列……20〜30分待ちと言われました(^_^;)

でも、色々と面白かったです(^o^)

まず、修理現場への入り方が、通常非公開エリアを通るので、待ち時間もそんなに苦ではありませんでした。
看板の地図で説明すると……
↑通常、方丈へは黄色のルートを通り、庫裏から方丈へ入ります。
しかし今回は、赤のルートで方丈の玄関から入るのです。
この赤のルートだと、通常非公開の重文の経堂や鐘楼を見ることができます。ただし、写真撮影禁止です。(このあたりが禅寺なんだよな〜冷たいっていうか……)
↑こちらが国宝の"方丈及び玄関"の"玄関"。階段を昇って唐破風の付いた玄関から入ります。屋根は覆い屋で見えませんね(^_^;)
↑普段の玄関はこんな感じ。でも、立ち入り不可なので、私達はなかなか見ることはできません。

↑・国宝 大徳寺方丈及び玄関
の、玄関。"方丈"と"玄関"がセットになって、国宝指定を受けているのです。
桁行六間、梁間一間、柱間が6つ奥まであるのが、何とか見えますでしょうか?
↑裏から見るとこんな感じ。
↑2階に上がって、玄関を上から見たところ。桟瓦葺なんですが、瓦はすべて取り払われていますね。
↑そして、2階に上がる途中で、国宝の唐門がチラ見できます(^_^)

さっ、2階に上がってきました。

うひゃ〜瓦はもとより、屋根板も取り払われていますね。
デカイなぁ。桁行(横幅)30mあります。
屋根が無いので、下にいる人たちも見えます。彼らがいるのは"広縁"の部分。前庭を望む縁側部分ですね。
手前に横たわるぶ厚い板は、"桁(けた)"と呼ばれる、柱の上で屋根を支える部材。
樹齢400年以上のヒノキの、質の良い部分のみを切り出しています。

妻側(建物の横側)にまわってみましょう。

↑△の妻が見えてきました。端の部分に、檜皮が残っていますね。
↑切妻の部分。
↑方丈は、入母屋造りです。この角度で見ると切妻と寄棟のハイブリッドな屋根形状なのが、よくわかります。
↑不思議なことに、方丈は瓦葺きなのですが、屋根の端にだけ檜皮が残ってます。
↑軒付(のきづけ)と呼ばれる屋根の先端部分にのみ、檜皮葺の痕跡があえて残されているんです\(^o^)/
こんなの普段絶対見れませんよ!
修理現場公開の醍醐味です。
↑左右に2本渡っている丸太は、"跳ね木"。屋根の重さをテコの原理で"跳ね上げる"部材です。


されたそうです。
↑実物はコレ。

方丈の裏側も、見てみましょう。

↑向こうに見えるのが、雲門庵(うんもんあん)と呼ばれる、開祖 大燈国師の墓所です。屋根の骨組みだけになってます。大徳寺方丈の最大の特徴です。
↑もともとは、こんな感じ。檜皮葺の屋根が付いてたんですね。知らなかった〜
↑拡大してみましょう。雲門庵の屋根です。
↑雲門庵は、方丈の後ろにあってポコッと飛び出た形状になってます。
曝涼の時は縁側づたいに、この下をくぐって一周するんですよ。

下に降ります。

↑ブルーシートが轢いてあるのが、方丈裏の縁側。雲門庵の下をくぐれるようになってるの、わかりますか?
↑拡大してみましょう。ホラね(^_^)
向こうが見えるでしょ。
↑方丈の右端の部屋です。
↑スコーンっ、と抜けてます。畳も襖も全部取っ払ってますね。
↑"釘隠し"はもとより、壁の漆喰まで除却されてます。塗り直しするんですねぇ。本格的だなぁ。
↑ブルーシートで覆われているのは、"雲門庵"。大徳寺の中で一番神聖な場所ですから、見せてくれません(^_^;)
↑もとは、こんな感じ。
↑奥には、大燈国師の木造があるはずです。今は移動してるのかな?

方丈の中心の部屋、"室中(しっちゅう)"に移動します。
↑ここは、中に入れます。
↑"室中"の奥の仏間。
↑上を見上げると、スコーンっと何もありません。天井板も取り外しています。
↑天井板。一番左が人の目に触れる表側。状態が良いですね。右側が人の目に触れない天井裏側。大工さんの落書きがあります。
ここでも、良質の木材が使われていたようです。
↑「たこの浦 打出見れは
 白たへの ふしのたかねに
ゆきはふりつ々」
山部赤人(やまべのあかひと)じゃん!大工さん教養あるなぁ!

目を落とすと、
↑床も何もなしです。畳も床板も取り払われています。
↑日本最古の畳。

↑方丈の左端の礼之間まで来ました。
ここで、くるッと振り向くと、玄関に戻ります。
↑玄関って、両端に唐破風が付いてたんだ……
入口に戻ってきて、見学は終了です。

外には、様々な修理体験ができるテントがあって、子供も楽しく遊んでました(^_^)

↑杮葺き(こけらぶき)の、竹釘打ちの体験。私もやってみました。

↑左はノーマルな檜皮"平皮"。右がコーナー部分に使う"軒皮"。

↑グレーの覆い屋で覆われている、方丈がチョットだけ見えてます。

今回は、コロナで人数制限していたのを、解除しての公開でした。
割と宣伝 


もしていたので、たくさんの人が訪れていました。
文化財に対する理解が深まるのは、喜ばしいことです。

今後もこのように、制限をかけない通常スタイルでの公開が続くといいナぁ(^o^)


大徳寺の過去のレポートは、こちら 



曝涼時のレポートは、こちら