今日、京都国立博物館へ行ってきました(^_^)/
前回予告した、和歌山のレポートは、後回しにします。
現在開催中の特別展「畠山記念館の名宝
」前期展示が11/7(日)までなのです。
この展覧会で展示される国宝は、前期と後期で、すべて入れ替わるんです。
"通期展示"ってのが無いんですね。
しかも、そのすべてが私の見たことのないものばかりなんです(^o^)
展示中の国宝は、
の4件です。
すべて、11/7(日)までの展示です。
まずは、畠山記念館についてですが、荏原製作所の創始者 畠山一清(はたけやまいっせい)が、集めた自身のコレクションを、広く一般に公開するために作った展示施設です。
数寄者として益田孝(鈍翁どんのう)と深く交流があったそうで、"鈍翁"に対し、自身は"即翁"と称しました。
そんな訳で、コレクションは茶道具に関するものが多いです。
では、1件ずつ見ていきましょう。
・国宝 禅機図断簡(智常・李渤図) 因達羅筆
中国 元時代(14世紀)の作。
もとは、"禅機図(ぜんきず)"という、禅の世界の悟りを表す説話を描いた巻物でした。それが切り取られて、"断簡(だんかん)"になっています。
5つある断簡はすべて国宝で、それぞれ別の施設が所有しています。
そして、畠山記念館のこちらの作品です。
5つの中では、一番登場機会が少ないので、ぜひ見ておいてください(^o^)
内容は、勉強好きのお役人さん"刺史李渤(りほつ)"が、偉いお坊さん"帰宗智常(きすちじょう)"に、教えを請うているところです。
左側の木の下にいるヒゲモジャのハゲ頭が"智常"で、右にいるのが"李渤"です。
何、言ってるのか聞いてみましょう。
李渤「維摩経読んでてわからないところがあるので、教えて下さい」
智常「いいよ、何でも聞いて」
李渤「芥子つぶに須弥山を入れるって、どうゆう意味ですか?」
智常「それはねぇ〜(^_^)」
何という会話でしょう!これぞまさしく"禅問答"。凡人には全く理解できません(^_^;)
李渤は官服で、手に笏のようなものを持っています。
智常は木の下に座し、その前には水瓶と2つの箱を並べています。経箱でしょうか。智常はメッチャ笑ってますよ(^_^)
この時代の流行りの「面貌細筆・衣紋粗筆」に則って描いています。
顔は細筆で精細に、服は荒いタッチで筆致を少なく描いています。
絵は禅の高僧 因達羅(いんだら)によるものです。
右にある"賛(さん)"は、これまた禅の高僧 楚石梵琦(そせきぼんき)が書いています。
茶室に掛けるには、手頃な大きさですね。
禅機図断簡、5つとも見ることができました\(^o^)/コンプリート!!
・国宝 林檎花図 伝趙昌筆
中国 南宋時代(13世紀)の作。
花鳥画家として有名だった、趙昌(ちょうしょう)の手によるものと伝わります。
うちわ型の色紙に、リンゴの花枝を描いています。
右下から左上にかけて、枝が伸びているのですが、右から左へと蕾が満開の花へと、咲き誇るように繊細に描かれていますよ(^o^)
リンゴの花の白さと、蕾のピンクのグラデーションを繊細に描き分ける技量はさすがです。
しかしこれは、展示に難あり(^_^;)
光量が少ないのと、遠いのとでよく見えません。
掛け軸だから、しょうがないのかなぁ?
・国宝 蝶牡丹螺鈿蒔絵手箱
これまたスゴイ手箱キタ~━━━━(゚∀゚)━━━━!!
梨地の上に、蝶々と牡丹のが一面に配され、隙間を唐草で埋めています。
蝶々と牡丹は、螺鈿と銀平文の2タイプ。
これね、蝶々の形の螺鈿細工ではなくて、蝶々を描く描線を螺鈿にしてるんですよ!
残念ながら、螺鈿が細すぎて、経年でほとんどが欠失していますが、制作当初はスゴくキレイだったんだろうなぁ〜(^o^)
しかも、蝶々は1羽ずつ羽の模様を変えています。羽の終端が、巴文・花文・菊文と変えていて芸が細かい!
・国宝 離洛帖(りらくじょう) 藤原佐理筆
平安時代 正暦2年(991年)の作。
10世紀の字の上手い人、トップ3。
それを"三蹟(さんせき)"と言います。
小野道風・藤原佐理・藤原行成です。
この三蹟のひとり、藤原佐理(ふじわらのすけまさ)の直筆お手紙です。
内容はというと……
佐理が大宰府に転勤するときに、偉い人に挨拶していかなかったんです。それを悔いて、友人に謝っといてって、とりなしを依頼した手紙です。
佐理、ちゃんとしようよ……(^_^;)
力強い大粒の字ですが、思いっきり草書です。字が崩れすぎて、素人にはまったく読めません(*_*;
冒頭が「佐理 謹言離洛之後……」なので、離洛帖。
都を離れてから、失敗に気付いたんでしょうね~
残念ながら前期展示は、11/7(日)までです(^_^;)