奈良博サンデートーク「室町時代の“公務員”?-幕府官僚の実態に迫る」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

1/19(日)奈良博で行われました無料講座"サンデートーク"を受講してきました(^-^)/
場所は奈良博の入り口すぐ横、講堂です。
当日は奈良博の新館が展示替えのため、閉館しており、その影響でしょうか?参加人数も少な目でした(^_^;)


今回のテーマは「室町時代の“公務員”?-幕府官僚の実態に迫る」。

歴史ファンの中でも特に人気の無い"室町時代"。その中でも、将軍じゃなくて官僚に焦点を当てるというニッチさです(^_^;)

講師は奈良博の学芸部研究員"佐藤稜介"さん。
院卒で昨年から勤務したばかりの若い方でした。サンデートークは今回で2回目だそう。(私は、前回の講義は受けていません)

室町時代の官僚なんて、まったく想像つきませんが、佐藤研究員は我々アラフィフ世代なら誰でも知っている、あの人物を例に講義は進んでいきました。

その人の名は、蜷川新右衛門(にながわしんえもん)

そう、アニメ一休さんに出てくる新右衛門さんです(^o^)

新右衛門さん、室町幕府の官僚だったんですねぇ。へぇ~(^_^)
一休さんの周りをうろちょろしているだけで、仕事してる感無かったですけどね(^_^;)
ましてや、兵を率いて戦ってところなんて、まったく無かったので、武官でなく、完全な文官だったんだ……

普段の新右衛門さんは、中央官庁の中の"政所(まんどころ)"と云う、幕府の財政や民事訴訟を扱う部門で働いていたようです。
その仕事の中には"天皇家の方々のお世話"も含まれていたようで、それなら一休さんの周りをうろちょろしてたのもわかりますね(^_^)

では、その収入源は何でしょう?
①所領からの収入→主に年貢
②礼銭→訴訟の度に権利関係を認める公文書を発給し、礼金を貰う(メインの収入源)
③別奉行→幕府と交渉したい人のために、顧問弁護士のような交渉を手助けする仕事をして収入を得ていた。
等です。(幕府への口利き…といった方が良いかな?)
新右衛門さん、そんなことをしてたんですねー

それらの事を、佐藤研究員は古文書を用いて解き明かしていきます。
公文書の発行機関というのは、それなりの権力なので、付け届けも結構あったようです(^_^;)
国宝 東寺百合文書のチ函150号は、東寺が幕府に"松茸の付け届け"を贈った際のリストです。
将軍3合を筆頭に、計8合贈られていますが、最後の2名は官僚だそうです。

しかし、戦国時代に向かっていくこの時代。武力を使わずに生き残っていくのは自分のスキルだけ。
権力者が代わると、そこに転職して文書発行の職に就く…ということをやってあたようです。
なかなか、普段無い視点での講義でおもしろく聞かせていただきました。
普段私は"国宝を見る"ことを主にしているため、"物をどう見るか?"の方に興味があったので、今回の講義で見聞を広げることができました(^o^)