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スペインの食品検査


6月15日(23;00) 日本時間16日(06;00)


 福島の原発事故を受け、ヨーロッパ各国では、日本からの輸入食品に対し、放射線検査をしているということは耳にしていましたが、EU委員会の規則に従っての正式なものとは知りませんでした。

 他のEU諸国の事情はともかく、少なくともスペインでは、全くといって良いほどそのようなニュースは流れておらず、当局が勝手に作って勝手に実行しているという感は否めません。

 この放射線検査は、商取引、個人にかかわらず適用されているようで、商業用は抜き打ちだそうですが、個人宛てのもの、例えば郵便物などは100%が検査の対象になります。

 検査の結果、基準以上の放射線(ヨウ素1-131、セシウム134、137など)が検出された場合は、当然、差し止められるのは分かりますが、何と、その検査費用として、一品目あたり90ユーロ、、おまけにVAT(18%)まで徴収されます。

 たとえ、インスタン・トラーメンでも計12000円余りかかる計算になります。もちろん、負担するのは商品の受取人です。

 万が一を考え、当局が検査するのは勝手ですが、異常に高額な検査料を徴収するというのは、他人の不幸に付け込むようで、先進国政府の行為としては、如何なものかと思います。

 それならば最初から禁輸にした方がすっきりします。

 

 例えはちょっと違いますが、新種の大腸菌騒ぎで、ロシアがEU諸国からの野菜の全面輸入禁止を発表すると、EU当局は目の色を変えて抗議するするのですから、ご都合主義ですね。

 鯨やクロマグロなど、自分たちがあまり口にしないものに対しては、自然保護やら絶滅の恐れがあるとか何とか

 適当な口実を付けて捕獲規制や、禁止措置をとったり、動物愛護を訴えるご夫人の団体が、会議にミンクのコートを着て出席する感覚と、どこか共通するところがあるように思います。

  もっとも、ロシアの場合は、日本からの中古車の輸入にあたり、規定以上の放射線が検出されたので返品したり、再洗浄をせよ、と難癖を付けては値引きさせる彼らの常套手段で、底の浅いのが見え見えです。

 EUからの野菜禁輸も単なる嫌がらせでしょう。彼らが本気で国民の健康を気遣っているとは、とても思えません。

 放射線に至っては、現職の駐日ロシア大使が、自国の首都モスクワの放射線量は東京の2倍、といってはばからないのですから、推して知るべしです。

 

 ちょっと横道にそれてしまいましたが、もし、こんな検査状況が事前に分かっていれば、一般の日本人なら誰も食品を送らないでしょう。

 誰も知らない(例外はあるでしょうが)、ということは、保険の契約証書びっしりと並んでいる小さな文字ほどにも読まれていない官報の片隅にでも報じられただけなのでしょう。

 3月25日から始まったようですが、被害というか、検査料を支払った人や荷物を放棄した人もいるようです。

 私は、5月の始め頃、実際に支払いを余儀なくされた、マドリードで日本レストランを経営する友人から、その話を聞きましたが、日本大使館でさえ、今月(6月)号のマドリードの情報誌に、「お知らせ」として、検査規則とこれまでの経過を載せた程度です。

 この検査は、一応、6月30日迄だそうですので、お知らせは遅きに失した感があります。


 今日(15日)カナダ政府は、日本からの食品輸入を全面的に解禁する、という明るいニュースを発表しました。EU諸国も、恐らくはカナダに追従してくれる、と希望的観測をしていますので、延長は無いように思います。


 先の話とちょっと重複しますが、ヨーロッパも新種の大腸菌問題で大変な時期であり、放射線に汚染された食品の対策にも神経を尖らせるのは良く理解できますが、それなら、もっと徹底的にやれ!と言いたくなります。

 例えば、空港到着時の荷物検査です。

 私は、5月1日に、多量の日本食品を持ってマドリードに戻ってきました。

 と言いますのも、4月1日から、JAL、全日空をはじめとする主だった航空会社は、これまでの重量制から、個数制に切り替えました。

 このことで、従来よりも遥かに重い荷物がチェックインできるようになりました。

 新しいシステムでは、エコノミークラスで23キロx2個=46キロ、ビジネスクラスで32キロx3個=96キロが、超過料金なしで預けられれます。

 変更の意図がどこにあるのか、未だに分かりませんが、利用客にとっては大変ありがたい変更です。

 絶好のチャンスですが、さすがに96キロまでは重くて持てず、50キロ以上はありました。

 大きな荷物を3個、カートに載せて運びましたが、税関はフリーパスでした。

 日本からの食品検査を本気でやろうとするのなら、荷物に付けられたタッグの色でも、EU域外からであるのはたちどころに分かりますし、東洋人の顔をした男が大きな荷物を運んでいるわけですから、ちょっと待て!くらいは言って良いのではないでしょうか。

 なに!空港の税関には測定器が無いので、取りやすいところから取る!そんな程度でことが済むのなら、最初から食品検査などやらないで下さい。

  持って来たのは食品ばかりだったので、たとえ荷物を調べられても、何の問題もないと思っていたからこそ言えることです。

 事前に、食品検査のことを知っていれば、怖くて持ち込めなかったでしょうね。

 知らなかったことで、これほど得をしたケースは初めてでした。


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こんな食品にも高額な検査料が・・・。

身勝手な東京電力

6月14日(23;00) 日本時間15日(06;00)


 YOMIURI ONLINEを見ていると、「東電オール電化PR子会社の整理を発表」という記事が目に留まりました。

 原発事故の後、ガス会社との熾烈な競争を勝ち抜くため、東電が推進してきた「オール電化」戦略の行方が気になっていました。

 環境保護や手厚い助成金、節電効果などが謳いあげられ、2004年頃から本格的に始まったこの作戦は、5年間で4倍の85万戸にまで膨れ上がりました。

 何でもかんでも、全部電気に頼るという生活スタイルは、リスク・ヘッジが全く考えられておらず、最近の節電対策や計画停電を考えれば、お先は真っ暗です。

 確かに、一つ一つの器具の電力消費と比べ、システム的に使用する住まいのオール電化は電気代の節約にはなりますが、総体的には大量の電力が必要です。一説には、福島原発の一基分に相当するともいわれています。

 遅ればせながら、そのことにやっと気づいたのかと思っていると、どうもそうではないらしく、原発事故の被害者への補償金を捻出するため、経営合理化の一環だといいます。

 そこには、ガス会社との安易な競争が引き起こした結果と、電力の需給に関する危機管理が、出来て居なかったことへのお詫びの姿勢など全くありません。

 これまでに、甘言に乗せられてオール電化を取り入れた人たちも被害者です。

 ブログ上のある人の試算では、東京電力の供給可能な電力量はかなり余っており、節電は叫ばれても計画停電は起きないと言い切っています。にもかかわらず、電力不足を言うのは、何が何でも原発を推進していくための方便では、と疑問を投げかけています。

 それが事実ならまだ救われますが、本当に計画停電をやられたら生活が成り立ちません。

 それと、PR子会社の整理というのは、オール電化を推進するための宣伝を止めるというのではなく、それ自体を中止するということになります。

 このことによる被害は、多くの他業種にも及びます。

 必然的にオール電化システムのマンションや、一戸建ての家は売れなくなるでしょうし、新たに建設に入ることも出来ません。その派生被害は甚大です。

 

 被害者の補償金に当てるという大義名分はありますが、資産の売却により、自分だけ6000億円もの資金を調達し、後はほったらかしというのはあまりにも身勝手です。


 このブログに、ちょっと彩をと思い、オール電化に関するページを検索し、「東京電力本店」(東京・千代田区)という写真を見つけました。

 よし!これをアップと思ったところ、撮影者(誰だかわかりません)か東電の意向か知りませんが、「無断転載・複製を禁じます」と書いてありました。

 

 




スペイン「憤慨」デモ

6月13日(23;00) 日本時間14日(06;00)

 

 政府の雇用政策、経済不況、役人の汚職など、数多の社会現象に不満を募らせる、若者を中心とした「INDIGNADO」(憤慨)デモは、15-M(月15日)にマドリードから始まり、瞬く間にスペインの主要都市に飛び火して拡大しています。

 明後日で1ヶ月を迎えますが、当局の取り締まりも強化される中、下火になったとはいえ、社会不安の根は深く、マスコミの報道を見る限り、まだまだ勢いはあると感じていました。


 実際はどんな具合かと、その発祥の地となった、マドリード市内の中心地「PUERTA DEL SOL」(太陽の門広場)の様子を見に出かけました。

 デモの始まった頃は、数日前のブログでもちょっと触れましたが、各々が憤慨の内容を書いたプラカードを掲げ、シュプレヒコールなども起き、ごく普通のまじめな抗議行動のようで、大きく広がっていく予感があり、数日後に控えた統一地方選挙の行方にも、かなりの影響を与えるだろう、とも予測していました。


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太陽の門広場におけるデモ発生当時の模様(新聞から転写)

 特に、失業率の高い若者たちの抗議デモですから、心のうちでは同情し、頑張れ!!と応援もしておりましたが、今日の太陽の門は、その頃と様相が一変し異様な空気に包まれていました。

 スペインのキロメートル0地点や、ゴヤの名作「5月2日」の戦闘場所としても知られ、市内有数の観光ポイントである広場は、夜を徹するため、テントやダンボールで作った彼らのねぐらで、立錐の余地もないくらいでした。


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デモ隊の寝床

 中には、初心を貫徹している人もいるのでしょうが、そばで見る限り、彼らはすでに、目的、目標を見失しなった「烏合の衆」と化しているようで、とても崇高な理想を上げて抗議している姿ではありません。


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広場に所狭しと張られたテント



 TVも入っていたようで、カメラの前で、裸になってパフォーマンスをしているのを見ると、厳しい言い方ですが、暇をもて余している単なる目立ちたがり屋としか映りませんでした。

 

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カメラの前での裸パフォーマンス

 警察当局も、その辺は十分に見極めていると思いますので、早晩、何らかの処置を講じるとは思います。

 公平な目で見て、折角、遠くから訪れた観光客のためにも、1日も早く、元の平穏を取り戻して欲しいと思いました。