原発事故よりペピノ(きゅうり)
6月18日(23;00) 日本時間19日(06;00)
日本のマスコミは、相変わらず原発事故関係と菅下ろしの政局報道に終始しています。さすがに、最近ではいたずらに国民の不安を煽るような報道は減ってきましたが、何号基から基準を超える放射線汚水が出たとか、地価に海水が、とか、一般の人には凡そ関係の無い記事はまだまだ見られます。
原発施設内に放射線が多いのは当たり前、大津波で大打撃を被っている訳ですから、海水が入っているのは当然、余り意味のある内容とは思われません。
スペイン人の友人とゴルフをしながらの会話ですが、大震災・津波の復興状況や原発事故の事後処理など、熱心に質問をしてくるのですが、願し爆弾を投下されたり、原発での被害を受けた経験が全くないので、放射線についての知識が驚くほどありません。
ちょうど我々の前を、イベリア航空のパイロットたちがプレーしていたので、彼らも大変だな、とフライトごとに浴びる放射線の話や、マドリードの放射線量は東京よりも多いなど、スペイン原子力安全委員会のデータを基に説明しても、それが何かに影響するのか、という受け止め方です。
4月に起きたスペインの原発事故についても、少しだけ報道されましたので、その点を尋ねると、多分その事情を知らなかったのでしょう、そんあことより、俺たちにとっては「PEPINO」(きゅうり)事件の方が重要だと、あっさり切り捨てられました。
彼がきゅうりの方が重要とする理由は簡単です。
新型の大腸菌騒動では死者が出ているが、スペインの原発事故での死者はいないから、と言うことらしいです。
スペインのきゅうりは、前にも触れましたが、風評というより、ドイツ政府の先走った報道が元で、生産農家の人は大損害を受けました。その影響で、いまだロシアでは禁輸が続いています。
スペイン政府は、ロルカ地震のときもそうでしたが、動きが早いです。いま、サパテロ首相がロシアに飛び、メドベージェフ大統領とこの件で話し合っています。
ロシアの行動は、単なる嫌がらせなのでこの会見が終わり次第、顔の立った大統領は、少なくともスペインからの野菜については、禁輸を解くと予想しています。
原発問題には余り関心がないようですが、それでも、スペインに原発が必要かどうか賛否を問うと、殆どの人がNOと答えます。
これまたその理由は簡単で、スペインは日本と違い、総消費電力量が少ないので、他の再生可能なエネルギーで十分賄えるからです。
産業規模が桁違いに大きく、膨大なエネルギーを消費するアメリカや、13億の人口を抱える、これからの中国などは、原子力発電以外は考えられないでしょうが、スペインは原発の安全性を議論するまでもなく、その必要性はないと、私も思っています。
運転の効率性などの技術的なことはさて置き、風力発電や太陽光発電に限っていいますと、雨や雪が多く、台風にもみまわれる日本と、その反対のようなスペインでは、立地条件が全く違います。
スペインは国土の大半が「メセタ」と呼ばれる高原台地であり、その所々に、高からず低からず、いわば程よい高さの丘が地形にアクセントを付けています。
特に、カスティージャ・ラ・マンチャ州(そうです。ラ・マンチャの男の舞台です)やアンダルシア州には、変な言い方ですが、風力発電に必要な風を、安定的に供給する適地がいっぱいあります。
「ドン・キホーテ」の舞台で知られる「カンポ・デ・クリプターナ」や「コンスエグラ」「プエルト・ラピセ」「バルデペーニャ」などに広がる丘は、日本の風力発電推進委員会の方にとっては、まさに、垂涎の的のような地形です。
アンダルシア州の最南端カディス県タリファの一帯は、目の前がモロッコを挟んで流れるジブラルタル海峡で、ウインドサーフィンのスピード世界記録が出るほどの強風も吹きますが、いつも適度な風が流れ、無数の風車が回っています。
巨匠ゴヤの故里アラゴン州や大西洋に面したガリシア州でも風力発電は盛んで、日本企業も参加しています。
もう一つの代替エネルギー、太陽光発電については、日本のお家芸ですが、発電量でスペインに抜かれてしまいました。
太陽光発電は、スペイン全土に及んでいますが、夏場では40℃を超す日も多く、冬季でも暖かいアンダルシアが中心になっています。一度でもこの地方を訪れたことのある方ならお分かりだと思いますが、太陽光線の強さといったら日本の比ではありません。
車のボンネットの上で目玉焼きが出来たり、後部座席においていたカセットテープがグニャグニャになったこともあります。
ある人は、スペインには太陽が二つあると言い、ある人は、スペインの太陽は日本の太陽より大きい、と言った人もいます。
発電した電力は、電力会社が買い取ることが義務付けられるなど、ソフトの面でも政府がバックアップしていますので、ハードに掛ける経費の心配があまり要りません。
恐らく、近い将来、スペインはこのクリーンエネルギーの分野でヨーロッパを、否、世界をリードしていくと確信しています。
平成の徳政令
6月17日(23;00) 日本時間18日(06;00)
今日の「ちょっと言わせて」
東日本大震災の被災者救済のため、平成の徳政令が出されるようです。
日本史で学習しましたので、徳政令については細かく述べる必要はありませんが、鎌倉幕府や室町幕府がちょくちょく出した、いわば借金棒引き令です。
色々難しいことを言っているようですが、要するに、返済期間を延ばすとか利息を減免するといったモラトリアムではなく、政府が金融機関に対し、被災した企業には債権の買取りや今後の融資を義務付けたり、個人にはローンの返済を免除するという内容です。
徳政令は、大きな災害や不測の事態、いわゆる想定外の出来事が起きたとき、天皇や幕府が被災者や御家人の救済を目的として出される法令です。
永仁5年(西暦1297)に実施されたのが有名で、1274年、1281年の蒙古襲来という大事件の後に出されています。
東日本大震災は、まさに未曾有の大災害で、被った直接被害だけでも、30兆円を超えるといわれています。
これだけの負担を、地方の中小企業や個人に背負わせるのは、とても無理だというのは素人にも分かります。
金融機関は、大企業の債権放棄(再生したときにはリカバリーが出来るのかもしれませんが)には、政府のプレシャーもありますが、いとも簡単に同意し、数千億の単位の金をチャラにしています。
最近でも、ダイエーや長谷工コーポレーション、JALなどがその良い例でしょう。
思い切った救済なくして被災地の復興はありえませんので、最近の民主党内閣としてはグッドアイディアだと思います。
誰もが首をかしげる「子供手当て」など廃止か後回しにして、即刻、実施すべきと思います。
ただ、不思議に思うのは、こういった徳政令的な発想と並行して、福島原発事故の被害者で、補償金を受け取った「生活保護者」は、収入があったと看做され、以後の保護費が支払われない、という事態が起きていることです。
生活保護費は地方自治体が出しますので、政府は関係ないように見えますが、補償金を受け取った人には保護費を出さない、という苦渋の選択をした自治体の首長は、厚生労働省の指針に従って・・・と言っておりますので、この問題の根っこはやはり国です。
数日前にも書きましたが、原発事故の被害者は被災者ではありません。
政府や当事者である東電が、精神的、肉体的に苦痛を与えたことに対する慰謝料、いわば損害賠償金です。 生活保護については、不正受給や、その受給額が最低賃金よりも高いとか、他の面での問題点は多々ありますが、原発事故の被害で受けたものを、収入と看做すなど、とんでもない話です。
賠償額についても、一応の基準ができ、その線に沿って補償されるようですが、面白いと思ったのは、避難所などで生活する人は、その精神的、肉体的な苦痛が大きいとして、一定額の上乗せをすることです。そのことは、非常に配慮の行き届いたことですので何の異存もありませんが、6ヶ月たったら、その苦痛の程度も少なくなっているだろうから、半額程度に減額する、と考えていることに唖然とします。
私は、全くその逆だと思うのですが皆さんはどうお考えでしょうか。
政府は、平成の徳政令とは、真逆のことをしているように思えて仕方がありません。
プール開き
6月16日(23;00) 日本時間17日(06;00)
6月も半ばに入りり、マドリードの熱さも本格的になりました。
今年はちょっと遅めですが。今日は自宅のあるコミュニティープールのオープン日です。
学校もすでに夏休みに入っているのか、泳いでいる子供もいました。
緑に包まれた非常に閑静なところで、利用する人もさほど居らず、静かです。といっても、プールで戯れるという歳でもありませんので、ゴルフに出かけました。
陽が暮れるのも遅くなり、夜の10時近くまで薄明かりがあるので、1日が有効に使えます。
日本でのゴルフといえば、1日掛かりですが、スペインのゴルフ場は、ハーフが終わった段階で、強制的に食事を摂らせるようなセコイ経営はしていませんので、午前か午後の半日あれば十分です。
今日は、いつもの自宅に近いところではなく、遠い方のメンバーコースに行きました。「モラレハ」という、フリオ・イグレシアスもメンバーで、あの頭突きのジダンやロナウドが「レアル・マドリード」にいた頃、よくプレーするなど、かなり高級感のあるクラブです。
ゴルフコースの脇には、やはりレアル・マドリードにいたベッカムも住んでいました。
コースは、あのゴルフの神様ジャック・ニクラウスの設計で、旧コース18、新コース18の36ホールと、旧コースに併設された9ホールのショートコースがあります。
二つのクラブハウスは完全に分かれているので、混雑が無くゆったり出来ます。
日本から室田、宮瀬選手が参加し、アメリカのフレッド・カプルスのチームが優勝したワールドカップも開催されています。
肝心の今日のスコアーですが、アウトは久しぶりに37と絶好調、インに入っても好調さは衰えず、16番を終わって通算3オーバー、残り2ホールは、そんなに難しいホールではないので、パー、パーで上がって75、ボギー、ボギーでも77と計算したのが間違いの元、これまでの記憶に無い、ダブルボギー、トリプルボギーの大叩き、結局、上がってみれば80のパープレー、色気を出したときのゴルフは本当に怖いです。
スペインのゴルフ事情については、日本の方には非常に興味深いものがあると思いますので、日を改めてアップしようと思います。