平成の徳政令 | スペイン好きですか?

平成の徳政令

6月17日(23;00) 日本時間18日(06;00)

 

今日の「ちょっと言わせて」

 東日本大震災の被災者救済のため、平成の徳政令が出されるようです。

 日本史で学習しましたので、徳政令については細かく述べる必要はありませんが、鎌倉幕府や室町幕府がちょくちょく出した、いわば借金棒引き令です。

 色々難しいことを言っているようですが、要するに、返済期間を延ばすとか利息を減免するといったモラトリアムではなく、政府が金融機関に対し、被災した企業には債権の買取りや今後の融資を義務付けたり、個人にはローンの返済を免除するという内容です。

 徳政令は、大きな災害や不測の事態、いわゆる想定外の出来事が起きたとき、天皇や幕府が被災者や御家人の救済を目的として出される法令です。

 永仁5年(西暦1297)に実施されたのが有名で、1274年、1281年の蒙古襲来という大事件の後に出されています。


 東日本大震災は、まさに未曾有の大災害で、被った直接被害だけでも、30兆円を超えるといわれています。

 これだけの負担を、地方の中小企業や個人に背負わせるのは、とても無理だというのは素人にも分かります。

 金融機関は、大企業の債権放棄(再生したときにはリカバリーが出来るのかもしれませんが)には、政府のプレシャーもありますが、いとも簡単に同意し、数千億の単位の金をチャラにしています。

 最近でも、ダイエーや長谷工コーポレーション、JALなどがその良い例でしょう。


 思い切った救済なくして被災地の復興はありえませんので、最近の民主党内閣としてはグッドアイディアだと思います。

 誰もが首をかしげる「子供手当て」など廃止か後回しにして、即刻、実施すべきと思います。


 ただ、不思議に思うのは、こういった徳政令的な発想と並行して、福島原発事故の被害者で、補償金を受け取った「生活保護者」は、収入があったと看做され、以後の保護費が支払われない、という事態が起きていることです。

 生活保護費は地方自治体が出しますので、政府は関係ないように見えますが、補償金を受け取った人には保護費を出さない、という苦渋の選択をした自治体の首長は、厚生労働省の指針に従って・・・と言っておりますので、この問題の根っこはやはり国です。

 数日前にも書きましたが、原発事故の被害者は被災者ではありません。

 政府や当事者である東電が、精神的、肉体的に苦痛を与えたことに対する慰謝料、いわば損害賠償金です。 生活保護については、不正受給や、その受給額が最低賃金よりも高いとか、他の面での問題点は多々ありますが、原発事故の被害で受けたものを、収入と看做すなど、とんでもない話です。

 賠償額についても、一応の基準ができ、その線に沿って補償されるようですが、面白いと思ったのは、避難所などで生活する人は、その精神的、肉体的な苦痛が大きいとして、一定額の上乗せをすることです。そのことは、非常に配慮の行き届いたことですので何の異存もありませんが、6ヶ月たったら、その苦痛の程度も少なくなっているだろうから、半額程度に減額する、と考えていることに唖然とします。

 私は、全くその逆だと思うのですが皆さんはどうお考えでしょうか。

 政府は、平成の徳政令とは、真逆のことをしているように思えて仕方がありません。

 


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