ん廻し | ご機嫌菊龍気楽な毎日

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 76年は、三遊亭の二つ目兄さん方から随分と稽古をつけていただきました。この『ん廻し』は、先年亡くなられた円好(当時梅生)兄さんから教わりました。
 円好兄さんは、初めは円楽師のお弟子さんで、本名の甘粕の甘を取って甘楽という前座名でした。ところが圓生師のお弟子さんがみんな二つ目になってしまった(最後の弟子が圓龍兄)ので、圓生師の世話をする為に移籍しました。まっ、それは後で解った事ですが。オイラが入った時は、もう二つ目で梅生になっていましたからね。
 この噺は浅草の二階の楽屋で稽古をお願いしたンだと思います。浅草演芸ホールは、一階、二階と楽屋があって、二階は主に色物の方が使われています。でも本数が少ないし着替えを済ませば、出番まで一階の楽屋でお喋りなんぞをしながら待機しますから、一席くらいの時間は空いている事が多いので、此処で稽古します。でも、更にもう一階上がった所に三畳位の座敷があるので、今は此処を使う事が多いようですね。
 『ん廻し』は『寄合酒』の一部を膨らませたような噺です。これも短いので、時間が無い時には重宝です。ツナギにかかった時には、『寄合酒』へ入れば結構長い噺になります。
 この噺は圓生一門の方が良くなさってました。という事は三遊亭の噺なんでしょうかねぇ。オイラは噺のルーツだとかは、あまり良く解りません。ですから噺の解析なんて出来ませんので…
 じゃァ何でこの噺を稽古したのか、っていうと、円好兄さんの噺の中の隠し芸披露の際の
『鍵屋と鍵屋が喧嘩して、片っ方の鍵屋が逃げていく…』
っていう所が面白くて、それを演ってみたかった事、何れ『寄合酒』も覚えたいと思っていたからなんですねぇ。
 二つ目になっても暫く演っていたンですけど、あまりウケなかったンで演らなくなっちゃいました。他人(ひと)のは面白いのに、自分で演るとちっとも面白くない。長い噺は、何処かでウケりゃァいいンだど、短い噺って、ウケる前に終わっちゃう。だから短い噺は気が抜けない。難しいワ。

(  2011年11月12日  )