この噺、ネタ下ろしは74年の4月11日、名古屋大須演芸場の第二部でした。だからそれまでに教わったと思うのですが、ネタ帳が見つからないンですよねぇ。大体書いて覚えるンで、何かに書いたのでしょうが、そのノートが見つからない。新聞広告の裏にでも書いたのかな?
この噺、無筆のマクラを使うので、ボーッとしてると間違えて手紙無筆に入っちゃいます。
噺は覚え易いですよね、業平の『千早振る 神代も聞かず竜田川 唐紅に水くぐるとは』の歌の文句さえ覚えれば、あとはそれにそって話を進めるだけなんですから。
本当は『ちはやぶる』と、にごって発音するンですよね。でも落語だと『ちはやふる』とにごりません。まァ、『ふる』でないとこじつけが上手くいきませんもんね。登場人物も二人しか出て来ないし、易しい噺です。ただ、それだけに単調で味気ないものになってしまいます。
師匠は身体全体を使い、フリを大きくし、声の抑揚を駆使して演るよう教えてくれました。どんな噺でもそうなんですが、登場人物をちゃんと設定してないと平坦な噺になっちゃいます。二人しか出て来ないンだから、二人の対比をはっきり出さなきゃァダメですよね。
サゲが余りよくないンですよねぇ。皆さん色々と挑戦なさっている様ですが、未だ良いサゲは見つかってない様ですね。
( 2011年10月26日 )