たぬき | ご機嫌菊龍気楽な毎日

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たぬき
 楽屋入り出来たといっても見習いで、そりゃァ偶には前座さんの代りに行く事もあったけど、仕事はまだありませんでした。ですから結構暇はあります。月に一つは噺を教えて頂いてました。
 『たぬき』と言うと、サイコロに化けるのが有名ですけれど、こりゃァ前座の噺じゃァないからってンで、じゃァ、札に化けるのかと思ったら、それでもなくて鯉に化けるのでした。
 札と鯉の違いだけで、殆ど同じくすぐりの噺です。師匠は、鯉に化けるのは古今亭の一門しか演らないからと言って教えてくれました。でも、古今亭の一門でもあまり演りませんね。
 恩返しに来て、札の方は一晩過ごした翌朝に化けますが、鯉はその晩に鯉に化け、兄貴の家に運ばれます。ですから短いと思ったら、札も覚えて鯉の後にくっ付けちゃえって言ってました。乱暴ですよね。だって、殆ど一緒だって言ったでしょ。サイコロだってそうですよねぇ、化ける時に大き過ぎたり、小さ過ぎたり、くるくる回したりと、くすぐりが一緒だから繋げて演れないですよ。
 鯉に化ける方は、ちゃんとサゲらしいオチが付いてるので、札よりもいいですね。これも演らなくなったけど、他の人が演ってるのも聞いた事がないですね。

  (  2011年10月23日  )