1973年11月、弟弟子が入門しました。現在の志ん彌さん、前座名菊弥さんです。なので師匠の会で二人共同じ噺しか持っていないと、片方は高座に上がれません。そこで二つ目の噺を教わりました。それが『浮世床』です。
ですが、夢までは行きません。マクラの熱い蒸しタオルから、昔の床屋の様子、将棋、本の件までです。時間にして、7~8分ですかね。あとは自分でマクラを考えて付けなさいと言われました。
これも書かずに覚えました。だって、書く程の事ァありませんものね。稽古も一度だけ、上げてもらう時に仕草とか言葉の抑揚を注意され、あとは実際にやりながら工夫する様注意されました。
12月に師匠のお客様の忘年会があり、二人揃って連れて行っていただきましたが、オイラは『たらちね』を演りましたので、『浮世床』の初演はもっとずっと後になってからでした。余り良く覚えていないのですが、多分見習いで寄席に入ってからだったと思います。見習いで寄席に入ったのは、翌年の四月中席、浅草演芸ホールだったかと思います。それまでは入門してても寄席には出られず、自宅待機の身の上でした。でも、そのお陰で、時間が沢山あったので、寄席へ出るまでに随分と噺を教えていただきました。
さて、三つ目の噺は何だと思います?これは時季外れの意外な噺でした。
( 2011年10月12日 )