※2022年版が完成しました。情報整理をしているのでまずはこちらからどうぞ。

 

 

 

※2021年、情報をアップデート。⇒「なぜ定期的に外国人留学生デマが飛んでくるのだろうか

 

※2020年版が完成しました。⇒「国費留学生制度はおかしいのか

 

※2018年、再編しました→(前編中編後編

 

こんにちは。藤村です。

今日は外国人留学生のお話です。

(ここでは日本へ留学してきている大学生・大学院生を指すことにします)

 

①留学生へのヘイト
Twitterなどをはじめ、

「外国人留学生は優遇されている。」
「日本人学生は奨学金を借りて借金まみれなのに、外国人向けの奨学金は返済不要。」
「韓国人や中国人が日本の大学を云々。」

など、外国人留学生制度への批判が一部で見られております。
その急先鋒は、田母神敏夫、タレントのフィフィ、

 

 

 

その他有象無象
しかし外国人留学生優遇説の論拠は薄く、優れた反論がすでに多くされています。
 

たとえばこちら。それにこちら

特に前者のWikiにおける、
・学費等を国から支援される「国費留学生」は留学生全体のごく一部に過ぎない。
・中国・韓国からの留学生は数が多いが、彼らが留学生の中で特別、あるいは不当に優遇されているという事実は確認できない。
・優秀な留学生を国が支援することは「国益」に叶った行為である。

という表現はまさに正鵠を射ているものではないでしょうか。

 

フィフィが引用しているビラなどを見ても、この田母神のツイートを見ても、

あたかも留学生全員が返済不要の奨学金を得ているかのような、悪質な印象操作が見られ、
フィフィは「外国人留学生に無返還の奨学金制度があるのに、この国の学生への奨学金はローンだとか、貧困家庭の進学援助を怠っている日本政府を指摘している」としていますが、

別に日本人学生・留学生の対立構造にする必要はなく、日本人学生にも外国人留学生にも返済不要な奨学金は存在しているが、どちらも不十分と言ってよろしいはずです。

 

②実際の留学生の実態
では、実際外国人留学生の経済実態はどのようなものなのでしょうか。
前提として外国人留学生のほとんどは私費留学生(=国費留学生や母国の政府派遣生を除く)で、自費で留学費用をまかなっております。

日本人学生の多くは、学費や生活費を奨学金の借入によってまかなっていますが、外国人留学生はそれを利用することすら出来ません。

 

そんな私費留学生の調査を、日本学生支援機構が行っています。
こちらによると、(下線部引用)

収入源は「「アルバイト」が 2,623 人(57.1%)で 68,000 円、「仕送り」が 2,477 人(53.9%)で 75,000 円、「奨学金」が 1,685人(36.7%)で 57,000 円と続く」としており、多くの留学生がアルバイトで収入をまかなっているようです。

実際アルバイトについて、「74.8%が従事していると」回答し、一週間のアルバイトの時間数は「「週 20 時間以上 25 時間未満」が 1,511 人(33.5%)と最も多く、次いで、「週 15 時間以上 20 時間未満」が 900 人(19.9%)となって」います。

週15~25時間のアルバイトが大きな負担となることは疑問の余地がありません。

ここで別資料ですが、「全国大学院生協議会」の行っているアンケート調査を引用します。
これによると、
週当たりの学外アルバイトの時間について、「週 10 時間以上 15 時間未満」が14.2%、「週 15時間以上 20時間未満」が13.2%と高く、こちらでも多くの留学生が長時間アルバイトに従事していることが報告されています。

また、「私費留学生の、収入の不足や学費の負担が研究に与える影響」について、「院生全体と比べ、「影響はない」と回答した院生は少なく、「アルバイトやTAなどをしなくてはならない」という回答は、院生全体と比べて約10%多かった」とのことです。

さらに「院生全体の19.9%が週10時間以上学外アルバイトに従事していたのに比べ、私費留学生は35.8%」と高く、アルバイトの負担の重さが日本人学生以上のものであると示されています。

 

③まとめ

・外国人留学生が奨学金面で優遇されているというのはデマです。騙されないようにしましょう。

・多くの調査から、外国人留学生の経済的困窮が報告されています。

・日本人学生も、外国人留学生も、どちらも学費負担が非常に重いものとなっています。

あいつらは恵まれているから・・・という狭っ苦しい視点しか持たない必要はなく、どちらとも拡充の方向を取っていくべきではないでしょうか。

 

・しかし、これまでの政府の留学生の増やし方にも問題が無いと言ったら嘘になります。その点は、別記事で。